保険会社の対応は会社によって違うのか

交通事故の被害に遭うと、事故の加害者が加入している保険会社の担当者とやりとりしていくこととなります。

自分の保険会社であれば会社を選べますが、加害者の加入している保険会社ですから、どの保険会社が相手になるかは完全にランダムということになります。

では、保険会社ごとに良し悪しなどはあるのでしょうか。

そもそも何をもって良い・悪いを決めるのかというのが難しいのですが、弁護士として交通事故被害者の声を聞いていると、賠償金額などの保障の内容というよりは担当者の人柄に対する評価の方を口にする方が多いように思います。

そうなってくると、会社の違いというよりは担当者レベルでの対応の違いの方が重要ということになりそうです。

つまり、「A社の対応が良かった」「B社の対応が悪かった」という人がいたとしても、それは「A社の良い担当者にあたった」「B社の悪い担当者にあたった」ということである可能性が高い気がします。

ちなみに、保障内容に関して保険会社ごとの良し悪しはあるのかという点ですが、全くないわけではないかもしれませんが、これもどちらかというと担当者であったりサービスセンターごとの違いの方が大きいような印象です。

もちろん、これはあくまで任意の交渉で解決する場合の話ですので、理不尽な内容を相手が提示してくるような場合には裁判手続をとることでよりよい解決ができる可能性が高まります。

自転車保険

趣味というほどではないですが,私は時間のある日に,時折サイクリングに行くことがあります。

東京都内は近い距離に様々な建物,施設が所狭しと存在しているので,電車で行くとそれなりに時間がかかる場所でも,

案外自転車で行ける範囲内だったりすることが多い気がします。

ですので,何の気なしに自転車に乗り,ずーっと走っていると「気づいたらこんなところまで来れた!」という

自己満足が得られます。笑

ところで,弁護士になると車に乗るのが怖くなる・とても慎重になるという話があるのですが,

自転車についても同じことがいえると思います。

今では以前と比べてだいぶ周知されてきたかとは思いますが,やはり自転車保険に加入していない人はまだまだ相当数います。

しかし,普段道を歩いていても,自動車以上に接触の危険を感じるのが自転車だったりしないでしょうか。

もちろん,接触してもそこまで大きなけがにはなりづらいというのはあるかもしれませんが,

接触の可能性としては自動車と同等以上のものがあると思います。

特に,高齢の方などは自転車を素早く避けることが難しいうえに,自転車との事故でも重傷化することが少なくないので,大いに注意が必要でしょう。

万一自分や自分の子供が加害者となってしまったときに,非常に高額の賠償義務が発生するかもしれないという問題は,

自動車に乗る場合も自転車に乗る場合も同じですので,気軽に乗れるからといって,保険の有無に無頓着となるのは避けるべきです。

私も,弁護士になってからは自転車に乗るという行為にそれまで以上に重みを感じるようになっています。

無保険車との事故

自動ブレーキシステムの普及などもあり,年々交通事故は減少していますが,

まだなくなったというわけではありません。

交通事故に遭ってしまった・起こしてしまったという場合に保険が役立つ場面は,少なくとも当面の間は続くはずです。

 

自動車保険は,まず強制加入である自賠責保険があり,その上に任意の民間保険があります。

多くの方が任意保険にも加入されていますが,他方で任意保険に未加入(無保険)という方も少なくないです。

事故の程度によっても異なりますが,自賠責保険だけでは賠償に不十分なことが多いため,

その不足分を任意保険で賄うことになりますが,無保険の場合は加害者自身が支払いを行う必要が出てきます。

 

任意保険に加入されている場合は,事故後の示談も賠償手続も保険会社が行ってくれますが,

無保険の場合は示談自体も賠償も自分で行わなければならないことになります。

被害者にとっても加害者にとってもこの2点はかなり負担となってきます。

 

賠償面では,特に被害者の重症度が増すと,賠償額が非常に高額になり,支払いを行うことが困難となってきます。

それでも長期分割払いで払えるならまだ良いのですが,高齢で収入がなく,他に財産もなかったりすると,

現実的に賠償を受けることが困難となってきます(裁判で勝つことはできても差し押さえるものがない状態。)。

 

弁護士をしているとどうしてもそのようなケースに遭遇することがありますが,

人身傷害保険や無保険車特約といった,いわば自分の身体にかける保険に被害者が加入していると,

その保険から相応の支払いを受けることができるので,状況はまるで変ってきます。

 

世の中には様々な保険がありますが,人身傷害保険は,自動車をお持ちの方にはぜひ加入してほしい保険だと思います。

日弁連交通事故相談センター

以前このブログでも書いたことがあったかもしれませんが,

交通事故の示談を直接保険会社の担当者と話していてもうまくまとまらない場合,

次の選択肢が裁判しかない,というわけではありません。

ADRと呼ばれる裁判外紛争解決手続があります。

 

比較的知られているのは交通事故紛争処理センターの方でしょうか。

こちらは全国11か所にあり,間に立つ仲介役の弁護士が中立・公平の立場から和解がまとまるように導いてくれます。

 

これとは別に,交通事故の裁判外紛争解決手続を行う機関として,日弁連交通事故相談センターがあります。

こちらは全国に159箇所あり,やはり弁護士が間に立って同じように和解がまとまるように話を進めてくれます。

 

この2つがどう違うのかというと,まず,審査結果が拘束力を発揮する対象に違いがあります。

損保会社と一部の自動車共済に対して拘束力があるのは紛争処理センター,

特定の自動車共済に対して拘束力があるのは日弁連交通事故相談センターとなります。

ですので,基本的には相手の保険会社に対して拘束力があるのはどちらなのか,がまず大事です。

 

ただ,例えば損保会社を相手として日弁連交通事故相談センターが使えないというわけではないので,

どちらを使った方がいいかはきちんと考えた方がいいかもしれません。

 

間に立つ弁護士の進め方にもよりますが,一般的に日弁連交通事故相談センターの方が申立てから終了までが早い傾向があると思います。

ですので,特に争点がなく,(多額ではない)金額の争いであれば,日弁連交通事故相談センターを利用するのも手かもしれません。

 

むちうちの後遺障害 その2

前回,むちうちの後遺障害の有無は,事故に関連する各種事情により判断されることになるとお話しさせていただきました。

今回は,その各種事情とはたとえばどのようなものがあるのか,ということについて書かせていただきます。

 

まず,よく言われるのが通院の期間や回数です。

これは,長期間・多数回通院している以上,当然症状の程度が重いだろうと考えられることから,重要になってくるものです。

 

次に,事故の態様も大切になります。

これは,大きい事故であればあるほど,それによる怪我も大きいだろうと考えられることから,

後遺障害の有無を分ける要素になってくるものです。

例えば,歩行者や自転車対自動車の事故である場合,事故の衝撃が直接身体に加わっていることになりますので,

怪我の程度も大きいものと考えられやすいです。

また,自動車同士の事故である場合も,事故後の車両の損傷具合(一目で損傷していることが明らかな場合などは衝撃が強いと考えられやすいです。)などの事情が

後遺障害の判断に影響を与えます。

 

また,年齢も事実上影響することがあります。

これはどういうことかというと,「後遺障害」というからには,その後も基本的には症状が治らないことが認定の前提となるのですが,

若い方とご高齢の方を比較すると,ご高齢の方の方がその後の改善の見込みが低いと一般的に考えられるため,

若い方よりもご高齢の方の方が,後遺障害が認定される方向に傾きやすいということです。

特にはっきりと明言されているわけではないのですが,実務を取り扱っているとたしかにその傾向はあるように思います。

 

その他にもいろいろな事情が考慮されて,後遺障害の判断はなされることになりますが,

最終的にはそれらの事情を鑑みて,認定する側がどのように感じたかということになってきますので,

弁護士として日々取り扱っていても,やはりむちうちの後遺障害は複雑だなと感じます。

むちうちの後遺障害の認定 その1

交通事故で最も多いけがといっても過言ではないのが,いわゆる「むちうち」です。

むちうちと一言にいっても,その程度には差があり,ひどい場合には後遺障害に該当しうるということは,

インターネット上でも多くの弁護士事務所が書いていることかと思います。

 

しかし,基本的にむちうちという症状は,レントゲンやMRIといった,画像診断によって何かわかるというものではなく,

究極的には,痛みの有無・程度は本人にしかわからないものです。

そのため,後遺障害の認定を受けられるかどうかの境界線もどうしてもあいまいな部分が出てきます。

 

では,実際のところどのように認定を行っているのでしょう。

もし可能であるならば,痛みの程度を数値化して,いくつ以上を後遺障害に認定する,というようなことができればいいのでしょうが,

現実的にはそれができないため,結局その他の事情から症状の程度を推し量ることにより後遺障害の有無を判断することになるのです。

 

具体的にどのような事情が後遺障害認定の判断を左右することになるのかという点については,次回のブログにて綴らせていただきますが,

むちうちの後遺障害認定の特色は上記のとおりです。

 

つまり,例えば関節が曲がりにくくなったというのであれば,どの程度動かなくなったのかを角度で測ることができますし,

目が見えにくくなったというのであれば視力を測ることができます。

身体に傷が残ったという場合には,傷の大きさ・長さを測ることができます。

そのため,ある程度はっきりとした根拠に基づいて後遺障害の有無を考えられるのですが,

むちうちは症状を直接測ることができないので,各種事情により基本的に判断されることになるのです。

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主婦休損2

前回の続きで主婦の休業損害について書いていきます。

 

主婦休損に関する誤解で多いのが,主婦休損が専業主婦しかもらえないものだと考えているというものです。

昨今の社会事情では,主婦の方も何らかのお仕事をもたれている方が多数派だと思います。

そして,よく相談者の方からお聞きするのが,“パートを休まなかったから休業損害はもらえない”という言葉です。

 

一般的に,全女性の平均収入以下,1週間の労働時間が30時間以下といった基準で,主婦休損の対象となるかどうか判断されることが多いです。

パートの方で全女性の平均収入を超えることはあまりないかと思いますし,1週間で30時間というと平日毎日6時間勤務でやっと届く数字ですから,

これを上回るパート勤務の方というのも多くはないのではないかと思います。

ですので,主婦休損がもらえることになる兼業主婦の方はかなりの人数がいらっしゃるはずです。

 

前回のブログで書かせていただいたように,主婦休損は一般的な休業損害と比べて,事実上かなり有利に取り扱われることがあります。

配偶者やお子さんなど,誰かのために家事業を日常行っているという方で,怪我を負わされたために家事業に支障が出たという方は,

主婦休損を請求する余地がないかどうか一度ご検討されるといいかもしれません。

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主婦休損

主婦の方にも休業損害が認められるということについて,意外と情報が正確に行き渡っていないなと感じることがあります。

 

主婦休損とは,交通事故などで負傷したときに,通院を余儀なくされて家事の時間を奪われること,また傷病によって家事労働が制限されてしまうことについての損害です。

仕事をして収入を得ている方が負傷したときに,仕事を休むことを余儀なくされ,それにより収入が減った時に認められる休業損害の主婦バージョンといえるものになります。

 

ここまでの情報は知っていても,”主婦休損なんて大した金額にならないんでしょ?”と思っている方も少なくありません。

たしかに,保険会社は主婦休損として,1日当たり5700円という最低限の基準で計算してくることがほとんどです。

しかし,弁護士は,主婦の年収は全女性の平均年収で計算すべきだと主張します。

これが認められると1日あたりの金額が1万円を超えるので,主婦休損はかなり高額となってきます。

 

また,実務上,ほかの休業損害と比較して,主婦休損は長期間認められやすいという事実があります。

もちろんお怪我の程度によって,休業損害が認められる期間は変わってきますが,普通なら1,2か月くらいしか休業損害は認められないだろうというお怪我の場合であっても,

主婦休損であれば3,4か月認めてもらえるということが多いです。

 

どのような方が「主婦」にあたるのかは次回のブログに譲りますが,このように主婦休損は弁護士に依頼することでかなり増額が望める損害項目です。

共同不法行為

交通事故の被害にあわれた方が,数か月後にまた事故に遭遇してしまう…というような事態が意外と存在します。

私も弁護士となってから大変驚いたのですが,おそらく,皆様がイメージしているよりもはるかにこういったケースは多いのではないかと思います。

被害者の方は,まさに踏んだり蹴ったりということで非常に辛いと思います。

怪我の治りが遅れるといった問題もさることながら,実は賠償の観点からも複数の事故が立て続けに起きると,非常に複雑な問題が生じることがあります。

共同不法行為と呼ばれるのですが,立て続けに事故が起きて,怪我を負った場合,それぞれの加害者の行為が合わさって,現在の被害者の怪我を生じさせていると考えられます。

すると,それぞれの加害者が全体のうちどれだけの部分を賠償しなければならないのかといった問題が生じ,時として両加害者の保険会社同士で話がまとまらず,被害者に対する賠償が置いてけぼりというような事態も生じます。

このような状態となってしまい,ご自身で解決するのが難しそうだということで弁護士に相談に来る方も多いです。

すでに交通事故の問題でご依頼していただいている方が再度事故にあってしまった,ということもしばしばあります。

そのようなときには,上述のような問題がありますので,どのような対応をするのがベストなのか,いつも以上に慎重になって対応させていただいています。

自転車が相手となる事故の後遺障害について

交通事故は,自動車が相手になっているものだけではありません。

自転車対歩行者,自転車対自転車といった事故も交通事故の一種です。

自動車が相手となっているケースと比べて,重傷に至るケースは少ないのではと思われるかもしれませんが,

こちらも歩行者であったりあるいは自転車である場合は,自動車に乗っている場合のように身体を守ってくれるものがないので,重傷に至るケースも少なくありません。

 

相手方が自動車である場合と比べて,まず大きく違うのが,自賠責保険が存在しないということです。

自賠責保険があることにより,自動車によってけがを負わされた被害者は,少なくとも一定程度の補償を受けることができます。

後遺障害が残った場合についても,それが賠償の対象となる後遺障害といえるかどうかを自賠責が認定してくれます。

自転車事故の場合には,こうした役目を負ってくれる機関が基本的に存在しないのです。

 

そのため,対自転車の事故で後遺障害にあたり得る怪我を負った方が適切な賠償を受けるには,裁判を起こすということも少なくありません。

裁判官に後遺障害の存在を認めさせるというのは,難しい作業ではありますが,

裁判官からしても“自賠責保険がどのような認定をしているのか”を参照することなく判断することになります。

 

自賠責保険が後遺障害について一定の判断をしている場合,裁判官はどうしてもその判断にある程度影響されることになります。

自転車事故の場合,自賠責保険がないため,そうした先入観を持たずに後遺障害の判断がされるのです。

ですので,よりいっそう弁護士がきちんと立証することが大事になってくるといえるでしょう。

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過失割合に争いのある場合の対応(交通事故)

弁護士に相談に来る交通事故のトラブルで,過失割合を巡る争いがあるというケースは,当然ながら数多く存在します。

その場合に,どのようにして自分の正しさを主張していくのかというのは,非常に難しい問題です。

 

事故が起きた時のそれぞれの位置,速度などに争いがない場合には,

たいてい大まかな過失割合には争いがなく,細かな事情による過失割合の修正の有無が争いとなります。

他方,事故状況そのものに争いがある場合には,そもそもどちらが被害者でどちらが加害者かというレベルの問題にもなりえます。

 

いずれにしても,双方がそれぞれの主張を繰り返しているだけでは話が前に進みませんので,

信頼できる第三者の客観的な観察状況がある場合には,まずそれが大事となってきます。

具体的には,警察官による実況見分が行われている場合には,実況見分調書の内容が重要な資料となります。

実況見分は,人身事故への切り替えを行うととり行われるので,

過失に争いがあり,怪我もしているという場合には,まず人身事故への切り替えを行うべきでしょう。

 

実況見分調書は,弁護士であれば手続をとって開示を求めることができます。

ですので,過失割合に争いがある場合には,弁護士としてはまず実況見分調書の内容を把握することになるでしょう。

 

また,調査会社に調査を依頼するということが考えられます。

これはある程度の費用がかかってしまうものではありますが,例えば車両の傷の状況や事故現場の状況などを踏まえ,

専門家が過失割合を分析するというものになります。

こちらもやはり専門家の意見ということになるので,ある程度尊重されるものになるでしょう。

 

人それぞれ解決にかけられる費用等に違いがありますので,一概にどの方法が良いとは言えないですが,

やはり第三者の意見が大事であるということは間違いないところです。

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損保会社の事情

交通事故の被害者が加害者の損保会社に不満を覚えることは,当然ながら多いです。

ただ、この間は良い意味で少し驚くことがありました。

いわゆるむち打ちの症状で後遺障害の14級が認められた場合、弁護士がついていると、労働能力喪失率5%、5年間の労働能力喪失期間が認められることが多いです。

しかし、この被害者の方は、身体の複数の箇所に14級が認められていたため、当方としては,それに応じて喪失率と喪失期間を長めにして、損保会社に主張を行いました。

通常、複数箇所に後遺障害が認められていても、労働能力喪失率や喪失期間が長くなるとはいえないとして損保会社が反論してくることが多いのですが、今回の損保会社は、労働能力喪失率こそ5%であるものの、労働能力喪失期間はこちらの主張よりもかなり長い期間を認め、結果としてほぼこちらの主張どおりの賠償額が存在することを認めました。

おそらく、損保会社の内部の問題で、喪失率は変えられなかったものの、どうにかこちらの請求に応じるために喪失期間を調整することにしたのだと思います。

損保会社の誠実な対応があったといえるのではないかなと思いました。

損保会社は営利企業なので,どうにかして賠償額を減らそうとしてくる,というのも事実かもしれませんが,

損保会社で働いている人たちも人間ですので,こうした取り扱いをしてくれることはありうるようです。

交通事故と労災

交通事故と労災が関係のあるものだということは,意外と知られていないかもしれません。

労災は,業務上の事故はもちろんですが,通勤中の事故も対象となるので,

業務中会社の車を運転していた際に起きた事故はもちろんですが,朝晩の会社への行き帰りで生じた事故についても

労災の対象となるのです。

 

交通事故の加害者と労災の両方から受け取れるからといって,受け取る金額が増えるわけではありませんが,

支払口が増えることになるので,事実上,より賠償を受けやすくなるといえます。

 

これはどういうことかというと,例えば加害者側保険会社に対して賠償を求めていたところ,

請求どおりには認めてもらえず,一部のみ認定されるというようなことがあります。

このとき,労災に請求してみたところ,請求どおりの金額が認められ,

結果的に請求先が複数あったことにより満足な賠償を受けられる,ということがあり得るのです。

 

また,加害者が任意保険会社に加入しておらず,支払いが滞るような場合にも

労災に請求を行うことで現実に賠償を受けられた,ということもあり得ます。

 

交通事故にあってしまった際には,事故の加害者に賠償を求めていくのは当然ですが,

業務中ないし通勤途中の事故ではないかということについても

一度確認してみることをお勧めします。

後遺障害のある場合の賠償額

様々なサイトで、弁護士が入る前と後とでは交通事故被害者の受けとる賠償額が変わるということは言われていますが、後遺障害が残ってしまった場合には特に顕著です。

保険会社が賠償額を提示する際、弁護士がついていることがわかっていると、はじめから比較的高額の提示をしてきます。

しかし、先日相談を受けた方は、弁護士がつく前に後遺障害の認定を受け、保険会社から示談案を提示された方でした。

すると、後遺障害慰謝料の項目が、弁護士基準の3分の1強という非常に低い金額提示がなされていました。

後遺障害が残っていない方も、弁護士がつくことで慰謝料増額の余地があることが多いですが、より重症である後遺障害の残った方は、弁護士を頼むか頼まないかで、その後の治療や生活に非常に大きな影響が出てしまうという怖さを改めて感じました。

評価損

交通事故被害にあわれた方の相談で,

評価損の請求をしたいという方は少なくありません。

評価損は事故車となってしまったことで,車両の価値が下がってしまうことの損害ですが

これが認められるかどうかは難しいところです。

 

外車などの高級車であって,購入からの期間が短ければ認められやすいとはされていますが,

裁判でも認める場合,認めない場合と見解は分かれています。

評価損に限らないことではありますが,“確実に払われます”というような約束ができないのが

こちらとしても苦しいところです。

ただ,そうだとしても評価損を請求したいという方については,

とことんこちらも証拠集めをし,請求をしていきます。

高速道路での事故

先日,お盆ということもあって,お墓参りに行くために東京都内の高速道路を走行していたところ,

接触事故発生による渋滞が発生していました。

現場を通り過ぎる時に,事故車の様子が見えましたが,まだ警察も到着していない段階であり,

事故当事者が第2事故発生を防ぐために活動している様子が見られました。

 

高速道路での交通事故は,車両の速度が速く,もともと事故が大きくなりやすいうえに,

後続車両との第2,第3事故発生のおそれもあり,大変危険です。

万一事故にあってしまった場合は,急に飛び出したりせず,冷静な対処が必要です。

交通事故の示談交渉の特色

交通事故の被害にあってしまった場合、

相手に任意保険会社がついていれば、

基本的には相手(加害者)の保険会社の担当者と

治療期間や示談の交渉を行うことになります。

 

弁護士に依頼に来られる被害者の方々の中には、

保険会社の対応が悪いと憤られている方が少なくありません。

 

保険会社の対応が実際どうなのかというと、

会社レベルというよりも、担当者レベルで

かなりの差があります。

同じような事故で、同じような通院経過をたどり、

加害者の保険会社が同じ会社という場合でも、

保険会社の提示してくる慰謝料金額にかなりの開きが

ある場合も珍しくありません。

 

保険会社内部の事情によるものなのかもしれませんが、

このように担当者の巡り合わせによって大きな違いが出るのは、交通事故の不思議な(おかしな)ところかもしれません。

 

被害者の方が、そのような偶然による不利益を被らないようにするのが、

弁護士の役目かなと思っています。

後部座席は安全か

先日,新聞に【「後部座席は安全」は間違い、席別致死率トップ】という記事がありました。

交通事故の死亡率に基づくデータだということですが,

後部座席の死亡率が高い原因として,後部座席ではシートベルトの着用率が低いということや

後部座席にはエアバッグが搭載されていないことが多いということがあるようです。

 

交通事故が起きないことが一番なのは当然ですが,万一の場合に備えて対策はしておきたいですね。

後部座席に座っているからといって,前に座っている場合と比べて特に安全というわけではない…

しっかりと憶えておきたいと思います。

交通事故被害者の方が考えていること

交通事故の案件を扱っていると,弁護士である以上当然依頼者の方と連絡させていただく機会が定期的にあるわけですが,

どういう連絡のときに最も喜んでくれるのかな,と考えることがあります。

 

最終的な示談交渉が,満足のいく形でまとまった際にとても喜んでくれる方ももちろん多いです。

しかし,最近思うのは,“先々の見込みが立つこと”に依頼者の方は強い安心感をもつのだということです。

 

普通,交通事故の被害にあうことは人生で初めてであり,慣れているということはありません。

当然,事故解決までの流れなど把握していないのであり,保険会社が現状治療費を支払ってくれているとはいっても

いつまで払ってもらえるのか,など不安が多いわけです。

だからこそ,「○月○日までは保険会社が治療費を支払ってくれるそうです」というような報告をすることで,

依頼者の方はとてもほっとしてくれるのだなと感じます。

 

当たり前のことといえば当たり前のことですが,こうした当然のことを忘れないようにしたいなと思いました。

 

後遺障害

後遺障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

その名の通り,何かしらの被害にあってしまった場合に,

治療をしても治らない障害が残ってしまうと後遺障害ということになります。

 

交通事故にあい,後遺障害が残ってしまうと,けがをさせられたことに対する慰謝料とは別に,

後遺障害についての慰謝料なども請求することができます。

 

その際に重要となってくるのが,自賠責から後遺障害の認定を受けられるかどうかということです。

交通事故の被害にあって,けがの治療を続けたけれども,完全には治らなかった…ということが実際のところ少なくありません。

こうしたけがは,先ほど説明した「後遺障害」の内容に当てはまるのですが,

自賠責から後遺障害の認定を受けられるかどうかというのは,また別の話になってきます。

 

実際にはひどい症状が残っているにもかかわらず,認定を受けられないがために苦しむ…

などということがないように,日々努力したいと感じています。