ご両親や配偶者の方が亡くなり,実はその亡くなった方に借金があった,という話はよくあります。
借金については相続しなければいい(相続放棄すればいい)ということを,テレビなどの情報で知っている方も多いかと思います。
ただ,借金があった=相続放棄すればいいと短絡的に考えすぎると,思わぬことになりかねません。
典型的なのは,その亡くなった方がマイホームを持っていた場合ですが,借金があるといっても,資産全体で見ればプラスという場合には,
基本的に相続放棄せずに相続したほうが経済的に有利なわけです。
特に東京圏などの不動産価値が高い場所の場合,消費者金融で数百万円の借金があったとしても,住宅価値がそれを大きく上回ることがほとんどでしょう。
すると,相続放棄せずに相続を行うという選択になるわけですが,住宅の所有権を得るのと同時にやはり借金も相続することになります。
家を売るという選択ができる状況の方であれば,家を売却し,その売却価格から借金を一括で払ってしまえばいいかと思いますが,
その家を売ってしまうと自分の住む場所がないという状況の場合は,そう簡単に家を売却するという選択は採りにくいと思います。
このような場合に,借金を返済していくことが難しそうであれば,任意整理するという手があります。
自身で借金をしたことがない方にとってはまったく聞いたことがないということも多いと思いますが,
任意整理とは,要するに借金を今後どう支払っていくかについて,債権者と交渉する手続です。
これを行うことで,住宅を売ることなく借金の返済を行えることもありますので,
相続放棄すべきなのか,という問題に直面した方は,いずれにしても弁護士に一度お問い合わせいただくのがよいかと思います。