不動産担保切替

不動産担保切替という過払いの争点があります。

 過去には貸金業者が借主の不動産を担保にすることで追加の借入れをしていたことがあります。

通常は不動産を担保にしてまとまったお金を借入れる契約をしますが、借入額の一部を従前の契約の債務への返済に充て、実際には差引額の金銭を受け取る、という処理をしていることが多いようですが、これも事案ごとに異なります。

 平成24年の最高裁判決で、不動産を担保に入れた際に一括で借入れをし、その後一度も追加の借入れをすることなく取引を終えた、という事案については、不動産を担保にする前後の取引は別物と判断しています。

 不動産を担保にした後の取引経過がそれ以前と大きく異なり、返済だけしていた、という点も、考慮要素とされていると読める内容です。

 しかし、不動産を担保にする際も、他の借入れと変わらない、何度も借入れが可能でいわゆるリボ払いで返済していく契約となっていることがあり、現時点でこの場合についての最高裁判決は出ていません。

 最高裁以下の下級審レベルでは、結論が分かれている状況にあります。

 難しい争点といえるかと思いますので、過去不動産を担保に借入れをした方で過払金返還請求についてご検討の際には、一度弁護士に相談されることをお勧めします。

和解と過払

過払金請求をする中で、過去の合意が問題となることがあります。

合意にいたる典型的な流れとしては、借入れ返済を繰り返すなかで、途中で返済が滞ってしまったところ、貸金業者からの提案を受け、その時点で残っている債務につき、あらためて毎月いくらずつ返済します、という合意をするケースです。

ところが、この合意をした時点で計算し直すと、そもそも借金はもうなくなっており、むしろ過払金の返還を求められる状態だった、という場合があります。

その場合、過払金の請求にどういった支障が出るのか、という点が問題となってきます。

この争点は、大きく分けると、民法でいうところの「和解」にあたるのか、当たるとしてもその合意の範囲に過払金請求はなお可能なのか、和解が無効(取消)とならないか、という3つに分けられるといえます。

民法上、和解というのは、「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめること」をいいます(民法上695条)。

要素としては、互いに譲ること、争いをやめることに分けられるかと思います。

ここからは事案によりけりですが、よくある事例では、その当時残っている債務を確認したうえで、その返済を合意します。

さて、この場合、債務者側は譲歩しているといえるでしょうか?

また、債務額について双方認めていた通りだったとするならば、やめるという前提の「争い」自体あったといえるでしょうか?

過払金請求と過去の合意に関する事件では、まずどういう合意だったのか、という法的評価から争われることが多く、貸金業者側にも弁護士がい選任されることが多い印象です。

過去の和解が争点となる過払請求については弁護士に相談することをお勧めします。

過払い金が出ないケース⑵

先月に引き続いて過払金が出ない場合についてのお話です。

 

銀行,信用金庫等から借入れをしていた場合です。

過払金は,改正前の「出資法」という法律が,「利息制限法」で定められていた利率を超えた金利を定めており,貸金業者は利息制限法で定められた利率を超えた利息での貸付を行っていました。

しかし,銀行は「銀行法」という法律の下,従前から利息制限法を超えた利率での貸付を行っていませんでした。

そのため,利息の払い過ぎが生じないため,過払は出ないです。

ただ,銀行系のカード利用(「三井住友カード」,「UFJニコス」であったり,銀行っぽい名前の入ったカードです)の場合は別です。

似たような名前なのでわかりにくいですが,銀行とは別の会社です。難しいですよね。。

 

過払が出ない場合とはやや異なりますが,払い終わってから10年以上経過しているケースも過払請求が認められない場合が出てきます。

過払金請求の時効は最終取引日から10年です。

この「最終取引日」というのがいつになるのかについては争いがあり,一部例外はあるものの,最後に返済した日は1つの基準となってきます。

 

前回も書きましたが,法律問題については1つ1つの事件ごとに事実関係が異なることから,弁護士としての立場上何事も断言することは難しいのですが,ご参考になればと思います。

過払い金が出ないケース

クレジットカードの負債がなくなった後,過払い金がないかどうかのお問い合わせをいただくことがあります。

以前に過払い金発生の仕組み等を書いたことがありましたが,今回は「過払い金が出ない場合」を取り上げてみたいと思います。

何事にも例外があるため弁護士としての立場上断言はできませんが,以下ご参考までに。

 

まずショッピング利用についてです。

お店やインターネットで物品購入する際にカードを利用し,それをリボ払いで分割して支払う,ということがあるかと思います。また,ショッピングリボとキャッシングリボを併用していると,毎月何に対していくら払っているのかわかりにくくなってしまうかもしれません。

しかし,過払い金というのは,キャッシング,つまりお金そのものを借りた場合の,利息制限法の利率を超えた分の利息が払い過ぎになることから発生するものです。

「ショッピングでも分割にしたらお金がかかるじゃないか!」という疑問が出るかと思いますが,これは「分割手数料」であるために,過払金が発生しないものとなります。

 

次に住宅ローンです。

上記のとおり,利息制限法の上限を得る利息が過払となりますが,ご存じのとおり住宅ローンの利息は数%,最近だと1%以下だったりします。

金額も高くなりますし,最終的には高額の利息を支払っているから過払金の発生を期待してしまうところですが,基本的に過払金の発生はありません。

ただ,「不動産担保ローン」に切り替えたケースに関しては,過払金が発生する場合があります。

過払金のイメージ

過払金。ピーク時に比べるとややご相談の数は減っているところですが,今でも過払に関するご相談があります。

お金が戻ってくればそれでよしっ!というところもあるかもしれませんが,過払金発生の仕組みについて簡単にまとめてみたいと思います。

かなり簡略化しているため正確なところからははずれてしまうところもあるかと思いますが,イメージをつかんでいただければなと思います。

 

「過払金」というのは,読んで字のごとく「払い過ぎたお金」です。

なぜ払い過ぎが生じるのかについては2つの法律がかかわってきます。

1つは改正前の出資法,もう1つは利息制限法です。

利息制限法では10万円未満で年20%,これをこえて100万円未満まで18%,100万円以上は15%が上限となっていますが,改正前の出資法では,29.2%まで利息が認められていました。これの利息制限法の利率の上限と改正前の出資法の上限の間の金利がいわゆるグレーゾーン金利というやつです。

 

計算が複雑になってしまうのでごくごく簡略化しますが,例えば100万円借りていて,毎月3万円払っていたとします。毎月払う3万円のうち,元々の契約では1万円が元本返済,2万円が利息の返済だったとしましょう。元本が1万円ずつ減りますので,完済まで100払いとなります。

ここで,実は利息制限法の利率に引き直して計算すると,本来利息は1万円までしか払う必要がなかったとします。利息名目で毎月1万円余分に払っていたということになりますね。そうすると,払い過ぎた分はすべて元本への返済に充てられるべきじゃないか,となるわけです。

 

さて,上記のケースで,返済を続けていたとすると,毎月3万円×100回=300万円返済しているはずです。

しかし,2万円は元本に対する返済であったならば,前半の50回,計150万円返済した時点で,2万円×50回=元本100万円の返済を終えていたはずです。

にもかかわらず,払い終わっていないと思って支払い続けていた後半50回分は,実は払い過ぎだった過払金,ということになります。

 

…なんとなくイメージはつかめたでしょうか?

実情はずっと複雑ですので,過払になっているか,請求できるのか,といった詳細は,あらためて弁護士にご相談ください。

 

事務所の集合写真更新されたようですので良ければご覧ください。

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