容疑者

「容疑者Xの献身」。少し前に映画の方で観ましたが,名作でした。

 

この「容疑者」という言葉,弁護士等法曹関係者は基本的に使いません。

起訴される前は刑事訴訟法では「被疑者」という用語が使われています。たしか大学時代にも,「容疑者というのはメディア用語だ」と教わった記憶があります。

いろいろ調べてみると,容疑者という言葉を使う背景は,マスメディアが「被疑者」と「被害者」とが紛らわしいという点を配慮してということのようです。たしかに一文字違いなので紛らわしいようにも思います。

ただ,さらに調べていくと,犯罪捜査規範等で「容疑者」という言葉は被疑者と別に使われているようです。そうなると,「容疑者という言葉は法律用語ではない!」と断言することはできないみたいです。

 

もう1つ,マスメディアでは,起訴された後は,「被告」と呼んでいますが,刑事訴訟法上は,被告「人」です。民事訴訟では訴えた方を「原告」,訴えられた方を「被告」と呼んでおり,「被告」と「被告人」とは明確に区別されています。

民事裁判を起こされた方は,原告側から「被告」と呼ばれることになり,普段テレビなどで聞いている用語であるために気分を害される方もいらっしゃるようですが,刑事法違反を争うわけではありませんのでご安心ください。

 

とはいえ「被疑者Xの献身」だと語呂が悪い気がします。「容疑者X」なんですねやっぱり。