自己破産が認められると,裁判所が,債務を支払いをしなくてよいですよ,という決定を出します。
これを免責決定といいますが,免責決定を受けても,支払いの義務を逃れることができない債務があります。
非免責債権と呼ばれるものです。
簡略化していますが,概ね以下のものが非免責債権となっています。
①租税債権
簡単に言えば税金です。支払いは国民の義務ですね。
②悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
相手をだましてお金を借りたような場合,その借金の返済についてまで免責を認めるのは騙された被害者にとっては酷だといえるでしょう。
③故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく債権
例えば飲酒運転で交通事故を起こして大けがをさせてしまったが,お金を払うことができないので破産します,という自己破産は許されるものではないと思います。
④親族関係の債権
養育費や別居中の婚費の支払いなどです。
保護すべき権利と考えられているため,これも非免責債権となっています。
⑤雇用関係の債権
勤め先が破産した場合,未払いの給料が払われなければ困ってしまいます。
養育費等と同様,要保護性の高さから非免責債権とされているものです。
⑥債権者名簿に載せなかった債権
手続的な話となってしまいますが,債権者は破産を認めるか否かについて意見を出す機会が保障されなければなりません。債権者は事実上返済を受けられなくなるという大きな不利益を被るからです。この機会を奪われた債権者の権利は保護するという趣旨です。
⑦罰金等
本人に負担させるべきものとの考えから,これも非免責債権です。
主に政策的な理由から免責を認められていないものです。微妙に理由は異なってきますが,羅列してみると,免責されないこととされているのもうなずける部分はあるのではないかと思います。
ちょっと踏み込んだ内容になってしまったのですが,ざっくりいえば,「破産してしまえば何もかも支払わなくてよくなる,というわけではありませんよ」ということになるでしょうか。細かい話は弁護士から直接聞いたほうがよいと思いますが,ざっくりまとめてみました。
何かの参考になれば幸いです。