元号

元号の変更が話題になっていますね。

さて,「元号法」というものをご存じでしょうか?

…弁護士の職務上法律とのかかわりが深いため,どうしても法律に関する話題となってしまうことはご容赦ください。

 

以下,元号法の内容です。

元号法

1 元号は,政令で定める。

2 元号は,皇位の継承があつた場合に限り改める。

附 則

1 この法律は,公布の日から施行する。

2 昭和の元号は,本則第一項の規定に基づき定められたものとする。

 

…附則も含めてたった4項しかありません。法律といえば何百条,ものによっては千条を超える膨大な法律条項をイメージされる方が少なくないと思います。

しかし,元号法をみれば,「何事にも例外はある」ということがよくわかりますね。

 

元号法の附則2項には,「昭和の元号は,本則第一項の規定に基づき定められたものとする。」と書かれています。つまりこの法律で初めて定められた元号は昭和である,ということになります。この法律はまだ2回しか出番がなかったようです。

そう考えると,新元号への改元は元号法上3度目の歴史的な瞬間,という見方もできます。

 

過去には2000年問題でパソコンに支障が出る,ということがあったので,元号の変更も業務上何らかの支障となるかもしれません。パソコンは今やデスクワークにおいて必須の存在となっていますから,あらかじめ十分準備しておきたいところです。

 

法律という側面からアプローチすると,少し違った見え方をすることがあります。

なお,弁護士だからといって公私問わず24時間何でもかんでも法的側面から物事を捉えている,という方はさすがにいらっしゃらない,と思います。。

公正証書

新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

今回は公正証書について。

公正証書というものをご存知でしょうか。

合意等についてより確実なものとするために,所定の手続を経て作成する書面です。

 

「公証人」という立場の方が書面作成に関与し内容を厳正に確認の上,原本は公証役場に保管されることになります。

このようにある程度厳格な手続きを経て作成されるものであることから,個人が作成した書面と異なる効果があります。

例えば,相続事件では,亡くなった方の作成した遺言が問題となることがありますが,ご自身で作成した通常の遺言(自筆証書遺言)と,公正証書としての遺言(公正証書遺言)では,法律上の取扱いが異なっていたりします。遺言について詳しくはこちら

ちなみに,民法上は,秘密証書遺言,という種類もあるにはあるのですが,あまり利用されていないようですね。

 

また,「執行認諾文言」のある公正証書を作成した場合,裁判を起こして判決を得ることなく強制執行等をすることができます。

 

弁護士の仕事というと,やはり裁判をイメージされる方が多いのかもしれませんが,案件の内容や状況により色々な方策を検討しています。公正証書の作成もその選択肢の1つとなることがあります。

年末年始

今年も終わりが近づいてきましたね。

年末年始はお仕事で忙しい方が少なくないのではないでしょうか。

また,忘年会等,飲み会の数も多くなる季節でもあります。

もしかしたら去年も話題にしたかもしれませんが,年末年始は交通事故のご相談が他の時期よりも多くなる傾向があるように思います。

年末年始の忙しい時期に,企業法務関係であればともかく,交通事故やら刑事事件やらで弁護士に相談しなければならない事態に陥る,というのはあまり気持ちの良い年越しではないのかな,思います。

飲酒運転は絶対にやめましょう。

 

ちなみに,飲酒運転については,酒気帯び運転と酒酔い運転が問題となることがあります。

「酒気帯び」というのは,体内に一定量以上のアルコールが入っている状態での運転を意味しますので,一定量を越えればどんなにお酒の強い方でも酒気帯び運転の罪に問われます。

他方,「酒酔い」というのは,酒に酔って正常に運転できない「状態」を指し,必ずしもアルコールの量に左右されるものではありません。

あまりないかと思いますが,お酒を1滴でも飲んで足元がふらつくほどに酔ってしまう体質の方がその状態で運転したとすると,酒気帯び運転ではないが酒酔い運転になる,というケースが一応考えられます。

 

なお,単に刑事罰だけでなく,行政罰(免許の違反点数などです)も当然付随します。

あまり羽目を外し過ぎることなく,良いお年をお迎えください。

確定拠出年金

確定拠出型年金というものをご存知でしょうか。

お勤め先の退職金について,一部ないし全部が確定拠出年金となっている方もいらっしゃるかと思います。

個人型確定拠出年金(iDeCoと聞けば「知ってる」,という方もいるかもしれません。)というものも少しずつ認知されてきているようですね。

この確定拠出年金ですが,基本的に差押禁止財産とされています。

差押禁止財産は,本来的自由財産とされます。

 

…さて,日常用語が少なくなってきましたね。破産手続等債務整理にまつわるお話となるのですが,少し説明を加えていきたいと思います。

破産手続において,自由財産というのは,簡単に言うと破産手続後も手元に残せる財産,といえます。

「本来的」自由財産というのは,手続を要せず当然に残る財産です。

確定拠出年金はその本来的自由財産ですので,破産手続の影響を受けずに残すことができます。そのため,車や家等々,色々なものを手放す覚悟をしていたところ,確定拠出年金のおかげで思ったより財産を残すことができた,ということもあります。

 

もっとも,「基本的に」と書いたように,確定拠出年金にはいくつか種類があり,規律する法律も異なります。差押禁止財産とならない確定拠出年金もありますのでご留意ください。このあたりは弁護士にご相談の上ご確認いただく必要があるかなと思います。

 

確定拠出年金はそれ自体税制優遇等メリットもあるみたいです。60歳までは積み立てた分は引き出せない,というデメリットもあるようですが。。

 

老後のご準備は計画的に。

非免責債権(ひめんせきさいけん)

自己破産が認められると,裁判所が,債務を支払いをしなくてよいですよ,という決定を出します。

これを免責決定といいますが,免責決定を受けても,支払いの義務を逃れることができない債務があります。

非免責債権と呼ばれるものです。

簡略化していますが,概ね以下のものが非免責債権となっています。

 

①租税債権

簡単に言えば税金です。支払いは国民の義務ですね。

②悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権

相手をだましてお金を借りたような場合,その借金の返済についてまで免責を認めるのは騙された被害者にとっては酷だといえるでしょう。

③故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく債権

例えば飲酒運転で交通事故を起こして大けがをさせてしまったが,お金を払うことができないので破産します,という自己破産は許されるものではないと思います。

④親族関係の債権

養育費や別居中の婚費の支払いなどです。

保護すべき権利と考えられているため,これも非免責債権となっています。

⑤雇用関係の債権

勤め先が破産した場合,未払いの給料が払われなければ困ってしまいます。

養育費等と同様,要保護性の高さから非免責債権とされているものです。

⑥債権者名簿に載せなかった債権

手続的な話となってしまいますが,債権者は破産を認めるか否かについて意見を出す機会が保障されなければなりません。債権者は事実上返済を受けられなくなるという大きな不利益を被るからです。この機会を奪われた債権者の権利は保護するという趣旨です。

⑦罰金等

本人に負担させるべきものとの考えから,これも非免責債権です。

 

主に政策的な理由から免責を認められていないものです。微妙に理由は異なってきますが,羅列してみると,免責されないこととされているのもうなずける部分はあるのではないかと思います。

ちょっと踏み込んだ内容になってしまったのですが,ざっくりいえば,「破産してしまえば何もかも支払わなくてよくなる,というわけではありませんよ」ということになるでしょうか。細かい話は弁護士から直接聞いたほうがよいと思いますが,ざっくりまとめてみました。

何かの参考になれば幸いです。

法的整理の資料収集

自己破産や個人再生などの裁判所を利用した法的整理の申立を行うにあたっては,いろいろと資料を集めなければなりません。

 

裁判所ごとに微妙に運用が異なり,必要書類も多少変わってきますが,主なものとして,申立前直近の家計表2か月分ないし3か月分(家計簿のようなもの),申立人名義の預金通帳の写し2年分,住民票,退職金規定(退職金の額がわかるもの),登記簿,不動産の査定書,給与明細,源泉徴収票等々があります。

…羅列しただけでも量が多いのがわかると思います。さらに,職務経歴や借入の経緯などについて等を記載した申立書,財産目録なども作成しなければなりません。

…なかなか骨が折れるかと思いますが,これらの資料は申立人自らそろえていただく必要があります(家計表の作成などはご本人にやっていただかなければなりませんし,個人情報に関わる書類は代理人を介するより本人による方がはるかに簡単に取り付けられます)。

そのあと大量の資料に目を通し,問題点がないか精査するのも簡単ではありませんが,手続きを終えた後には,多額の債務の支払いを免れることができたり(自己破産で免責された場合),返済額を大幅に圧縮できたり(個人再生で認可決定を受けた場合)と,得られる結果も大きいです。

 

手続の主役は申立人である,という言葉もあります。

以上のとおり,法的整理を選択された場合には大変なところもありますが,代理人弁護士として精一杯サポートさせていただきます。

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容疑者

「容疑者Xの献身」。少し前に映画の方で観ましたが,名作でした。

 

この「容疑者」という言葉,弁護士等法曹関係者は基本的に使いません。

起訴される前は刑事訴訟法では「被疑者」という用語が使われています。たしか大学時代にも,「容疑者というのはメディア用語だ」と教わった記憶があります。

いろいろ調べてみると,容疑者という言葉を使う背景は,マスメディアが「被疑者」と「被害者」とが紛らわしいという点を配慮してということのようです。たしかに一文字違いなので紛らわしいようにも思います。

ただ,さらに調べていくと,犯罪捜査規範等で「容疑者」という言葉は被疑者と別に使われているようです。そうなると,「容疑者という言葉は法律用語ではない!」と断言することはできないみたいです。

 

もう1つ,マスメディアでは,起訴された後は,「被告」と呼んでいますが,刑事訴訟法上は,被告「人」です。民事訴訟では訴えた方を「原告」,訴えられた方を「被告」と呼んでおり,「被告」と「被告人」とは明確に区別されています。

民事裁判を起こされた方は,原告側から「被告」と呼ばれることになり,普段テレビなどで聞いている用語であるために気分を害される方もいらっしゃるようですが,刑事法違反を争うわけではありませんのでご安心ください。

 

とはいえ「被疑者Xの献身」だと語呂が悪い気がします。「容疑者X」なんですねやっぱり。

身柄拘束と弁護活動

刑事弁護活動の中で,身柄拘束からの早期解放,というものがあります。

日常用語でも逮捕,という言葉が使われますが,逮捕も身柄拘束の1つです。

状況により微妙に変わってきますが,基本的に逮捕の効力は72時間となっています。

以外に短いと感じるかもしれません。

しかし,逮捕の後は,多くの場合,検察が裁判所に対して「勾留」の請求をします。裁判所がこれを認めると,さらに10日間身柄を拘束されることになります。「身柄拘束」というと,このイメージの方が強いかもしれません。

 

「刑事手続に基づいた身柄拘束」というと,正当性があるように思えます。実際に,法律に基づく手続きです。しかし,よくよく考えれば,これによって,行動の自由をごっそり奪われることになります。「罪を犯したんだから身柄拘束されるのは当然だ!」という考え方もあるかもしれませんが,事件の内容を問わず,2週間近くも行動の自由を制限することはやりすぎではないのか,と疑問が生じる場合もあります。

そのため,刑事弁護活動の一環として,「準抗告」という,裁判官が認めた勾留決定を争っていきます。その際には,両親や職場の上司に行動を監督することを約束してもらったり,犯行現場に近づかないことを本人に誓約してもらう等して,身柄拘束の必要がないことを主張していきます。

先日終わった刑事弁護事件では,検察官からさらに勾留を延長する請求までされましたが,裁判所に掛け合い,延長そのものを認めさせずに終えることができました。やはり結果に結びつくと,しっかりと弁護活動を行ってよかったなと思います。

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債権者集会

破産手続の中に,「債権者集会」という手続があります。

債権者(貸金業者や銀行など,破産申立人にお金を貸した人です)に対して情報を開示し,債権者の共同の意思を反映させるための集会,などと説明されます。

 

会社の破産手続の場合,工場や不動産など,財産を持っていることが多いです。

そのため,そのような財産を金銭に替えて,その結果各債権者がいくら配当を受けることができるのかは,債権者にとって最大の関心事となります。

そうなると,債権者のために情報を得る機会や意見を述べる機会を与えることは手続上重要となってきます。

 

ただ,個人の破産,いわゆる自己破産手続の場合,生活が苦しくなって,返済も難しくなって破産を申し立てるわけですから,多くのケースでは配当に充てられる財産はほとんどないことの方が多いといえます。そうすると,債権者集会の意味合いはだいぶ薄れてきます。

結果として,特に個人の破産の場合の債権者集会は,かなり簡略化されているというのが実情です。

東京地裁では,破産専門の部が多くの破産事件を処理しており,ものすごいスピードで何件もの債権者集会をどんどん進めています。

早ければほんの数分で終わってしまうこともあります。

 

弁護士業界も刑事専門,知財専門,といった専門特化が進んでいるところですが,裁判所もそういう意味では専門特化しているといえます。業務効率化も図れますし,見習うべきところがあるなと思います。

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賃金センサス

平成29年度賃金構造基本統計調査が発表されています。

賃金センサスです!

 

難しい言葉を並べても,何が何やら,となってしまいますね。事務所にご来所いただき,ご相談する際には,専門用語を避けたり,用語の説明を入れたりして,わかりやすいご説明に努めることも弁護士として重要な職務ではないかと思っています。ということで,以下賃金センサスについてのお話となります。

 

センサス,という言葉を調べると,「国勢調査」という単語が出てきます。要するに国民の情報を調査して統計をとったものです。賃金センサスというのは,平均賃金に関する情報をまとめたものということになります。

厚生労働省が発表していて,男女や学歴,産業別,企業規模別など,様々な角度,グループ分けして平均賃金を算出しています。

 

さて,この平均賃金,一番出番が多いのは交通事故の損害賠償請求の場面,特に家事従事者(主婦や主夫の方です)の損害算定で利用されています。

事故でけがをして家事が思うようにいかない,でも自分は仕事をしているわけではないから損害が出ていない,ということになるでしょうか。そんなことはありません。

専業でも兼業でも家事は「業」,つまり仕事です。業務に支障が出ているのですから,支障が出た分は損害として請求できる場合があります。

ただ,日々の家事をお金に換算することは簡単ではありません。そこで,平均賃金を基に損害を算出するわけです。

 

賃金センサスや算定方法など,詳しいお話はご相談の際にできればと思います。交通事故には遭わないに越したことはありませんが,もしあってしまったときは,一度ご相談ください。

任意整理補足

前回のブログで任意整理のメリットについて書いたのですが,「秘密裏に進められることだけなのか」といった疑問がでるかもしれないな,と思いこの間の続きで任意整理のお話を。

 

法的整理(自己破産や個人再生)を選択した場合には,「債権者平等の原則」というルールが厳格に適応されます。

10万円貸している個人も,100万円貸している貸金業者も,法的整理の手続きに則って平等に扱われることになります。

そのため,相手方に応じた柔軟な対応は,法的整理ではできないことになります。

単に貸金業者から借り入れしてるだけ,という方であれば,この点についてはそこまで大きな問題となることはありません。

ただ,中には「勤務先から借金をしている」という方がいます。

勤務先が破産手続をするということを理解してくれればよいですが,破産した場合,借金の返済をその従業員に強制することができなくなってしまいます。

当然職場にも居づらくなるでしょうし,退職することだってあるかもしれません。

そうなると,収入がなくなってしまい,破産をしても生活ができない,といったことにもなりかねません。

そのような場合でも,任意整理であれば,勤務先以外についてのみ分割弁済の交渉を行う,といった柔軟な対応が可能です。

そのほか,親族からの借入れについて他と異なる対応をするであるとか,数万円の債務しか残っていないところはそのまま返済してしまうといった対応が可能である点が任意整理の強みです。

どのような場合も常に任意整理がよい,というわけではありませんので,事務所ではご事情をうかがったうえで債務整理の進め方について相談させていただいております。

 

事案にもよりますが,基本的には法的整理よりも弁護士費用が安いことが多いのもメリットですね。

任意整理

債務整理には,大きく分けて任意整理,個人再生,自己破産に分けられます。

今回は,任意整理について,少し掘り下げてご説明をしようかと思います。

 

任意整理は,簡単に言うと,各債権者と分割弁済の交渉を行うものです。

毎月支払いを続けるのが苦しくなった,返済は続けているのに借金が一向に減らない,といった状況の方について,債権者との間で,月々の支払額を減額したり,分割の回数を増やしたり,利息について交渉したりするものです。

個人再生や自己破産は裁判所を介して行う債務整理であるので法的整理と呼ばれますが,任意整理は裁判所を通さなくても行うことができるため,私的整理と呼ばれています。

任意整理のメリットとして,秘密裏に進めやすい,という点が挙げられます。

法的整理を選択した場合,官報に名前が載ることになる等,秘密裏に手続きを進めることがやや難しいです。

この点,任意整理は,法的手続きを利用することなく各債権者と個別に交渉いたしますので,ご家族に借金のことを秘密にしておきたい,といった希望がある場合に比較的沿いやすいといえます。

もっとも,債権者から裁判を起こされる場合があり,その結果裁判所から自宅に書面が行くような場合もありますので,確実に隠しておけるわけではないことは注意が必要です。

 

債務整理をご検討いただく際の参考になれば。

債務整理をお考えの際は,弁護士法人心東京駅法律事務所にご相談ください。

弁護士バッジ

この時期になると,やはり桜が気になってしまいます。

すっかり散ってしまいましたが,日本の心というのもあながち間違っていないな,と感じます。

 

桜は花,花といえば弁護士バッジ,というのはこじつけもいいところだと思いますが,そんな弁護士バッジのお話です。

 

弁護士バッジも花をイメージして作られています。

菊の花と間違う方もいらっしゃるようですが,ひまわりをモチーフにしています。

これは,ひまわりがいつも太陽の方を向いているように,自由と正義を追い求める

ことを表しているのだとか。

 

ひまわりの中には天秤が描かれています。

これは,公正と平等を追い求めることを表しているそうで。

 

あらためて意味を考えると,なかなか身が引き締まる思いがしますね。

 

法曹三者といえば,他に裁判官と検察官がいます。

どちらにもバッジがあります。

裁判官のバッジは八咫鏡(やたのかがみ),検察官のバッジは秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)

をモチーフに作られています。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが,八咫鏡は「三種の神器」の1つです。鏡がモチーフとなっているのは曇りなく真実を写すという意味合いを込めてのものだそうです。

秋霜烈日,という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが,秋の霜と夏の強い日差しを意味する四字熟語です。いずれも草葉を枯らすものであり,刑罰を求める立場にある検察官の立場を表していると思います。

ただ,検察官バッジの秋霜烈日という意味付けは後付けなんだそうです。。

 

司法試験と実務

司法試験受験中は,「民法総論」であるとか,「刑事訴訟法講義」のような法律そのものに関する本や,「判例百選」といった,過去の裁判,判決についての本をたくさん読んでいました。

試験科目は,選択科目を入れると全8科目で,1科目について解説付きの問題集なども入れると4~5冊は読むことになります。あまり考えたことはありませんでしたが,単純計算で50冊近い本を何度も読み返して勉強していたことになるようです。

実務に出ると,弁護士向けの実務書籍が多く出版されており,適宜調べて業務を進めることがあります。場合によっては,医療関係の本を読んだり,税務関係の本を読むこともあります。

 

また,司法試験はマーク式の試験と論述式の試験になっていますが,メインは論述式試験ですので,本番までに何度も何度も論文を書きました。だいたい3000字前後くらいの文量です。

実務に出ると,何をするにも文書作成がかかわってきます。

細かく文面などにも気をつけながら作成をしていますが,受験の時にも簡単な主語述語の対比であるとか,接続詞の使い方であるとか,練習をする中で細かいところを詰めていました。

 

振り返ってみると,受験時代はなかなか大変でしたが,今の自分の仕事の状況を考えると,受験期間中の経験というのは,今の仕事の土台になっているようにも思います。

本当に大変だったので,あまり振り返りたくはないですが。。

 

破産法の目的

破産法第1条(目的)「この法律は,支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。」。

いきなり法律の条文を引いてみました。これで1文です。すごく長いなと思います。

この条文のように,多くの法律では,最初に目的規定が書かれています。

「目的規定」というくらいなので,もちろんその法律全体の目的が書かれているわけですが,目的は1つではありません。1文が長いのでなかなか読み取りにくいかもしれませんが,細かく見ていくと,権利関係の調整,財産の公平な清算といった言葉が入っています。これらも破産法の目的に含まれています。

しかし,破産法の一番の目的は,条文の末尾の「経済生活の再生の機会を確保する」です。これを「究極目的」等といいます。

これだけ取り出せば,「破産法という法律は,経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的としていますよ」ということになりますね。

自己破産にはマイナスイメージを持たれている方も少なくないと思いますが,破産法は,その目的を「経済生活の再生」,つまり苦しい状況を立て直して再生させることを目的としているんだ,ということがわかると,自己破産に対する見方も変わってくるのではないでしょうか。

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ライプニッツ係数

交通事故や労働災害でけがをした後,後遺障害が残ってしまうケースがあります。

このような場合,後遺障害が仕事に影響を与え,収入が減少することが見込まれます。

この将来見込まれる収入減少分の損害を「逸失利益」といいます。

逸失利益を計算するときに使われる係数,それが「ライプニッツ係数」です。

 

年収1000万円の人が交通事故で寝たきりになってしまったとします。

毎年1000万円稼げたかもしれない人が今後10年間その一切を

得られなくなったとしたら,1000万円×10年=1億円

が逸失利益になるでしょうか。ここで,利息の問題が絡んできます。

 

10年後にもらう予定の1000万円と,今受け取る1000万円は,

実は同じではありません。10年後にもらう予定の1000万円を先に

もらって,例えば全額定期預金に入れれば,10年後には定期預金の利息分

お金が増えることになりますね。そうすると今もらう1000万円

の方がある意味ではお得,ということになります。

定期預金を例にとりましたが,日本の現行法では年5%の法定利率が

定められていますので,この5%分を考慮して今受け取る賠償額を考える

ことになります。

これを算出するために,ライプニッツ係数が用いられることになります。

 

上の例ですと,1000万円×7.7217(10年に相当するライプニッツ係数)

=7721万7000円が逸失利益,ということになります。

 

示談交渉等では,もちろん最終的な金額も大切ですが,依頼者様それぞれの

ご納得というのも大切だと思っています。

知識はその助けになることもあります。

 

なお,よくある話ですが,この名前はライプニッツさんにちなんで

名づけられているんだとか。こちらはためにならない無駄知識の典型ですね。

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年末年始と弁護士業務

各業界忙しい時期,比較的暇な時期というのはあると思います。

では,年末年始の弁護士業務はどうかというと,一例として,交通事故のご相談がちょっと増えます。

年末年始は師走の忙しい時期です。焦って事故を起こしてしまう方が少なくないのかなと思います。

また,飲酒運転の車にぶつけられた,というようなご相談も他の時期と比べると多いように思います。忘年会シーズンだからでしょうね。

一歩間違えば大事故になり,人命がかかわることさえあります。

言うまでもないことではありますが,時期にかかわらず,法令に従った安全運転を心がけていただきたいと思います。

 

他方,分野によっては相談が減るものもあります。例えば,借金問題のご相談です。

近年,働き方はかなり多様化してきているところではありますが,年末にボーナスを支給する企業はまだまだ多いようですね。

そのため,借金問題を抱えている方も一時的にまとまったお金が入ってくるので弁護士への相談はいったん保留にする,という方がいらっしゃるのかもしれません。

どんな案件であってもご相談は早い方がいろいろと方針選択の幅が広がります。まだ正式な依頼は必要ない,という回答を差し上げることもありますが,ある程度先の見通しがわかって安心する,とおっしゃる方もいます。

何かお悩みのことがありましたら,一度ご相談されることをお勧めいたします。

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というわけで,年末年始は増える分野減る分野あるわけですが,全部やろうとしたら,弁護士は結局年中忙しい,,ということになるでしょうか。。。

2回試験

11月といえば2回試験です!

...あまりなじみがないかもしれませんね。

裁判官,検察官,弁護士になるための試験として,司法試験はご存知の方も多いと思いますが,2回試験は,司法試験後に行われている試験です。

というわけで,司法試験合格後,実務家になるまでのお話をしたいと思います。

現行制度の下では,司法試験に合格すれば即裁判官などになれる,というわけではありません。

その前に,「司法修習」という研修のようなものを約1年間受けることになります。

司法試験合格者は「司法修習生」となり,この約1年の間に,全国の裁判所や弁護士事務所などで実務を学ぶというわけです。

修習内容は,大きく分けると,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護,刑事弁護に分けられます。修習生は,修習期間中にこれらを学んでいきます。

例えば,裁判修習中は,裁判官の執務室の中で,過去の記録や現在進行中の記録を読んだり,判決を作成してみたりして研鑽をつみます。裁判官の後ろで裁判を傍聴することもあります。合間には,裁判所事務官さんや書記官さんの仕事も学ばせてもらいます。

検察修習では,検察庁の中で,検察官の指導を受けながら実際の事件を担当したりします。

取り調べの場面に立ち会ったり,場合によっては死体解剖の現場に立ち会うこともあります。

弁護修習では,各所の弁護士事務所に配属させてもらい,そこで先輩弁護士について実務を学びます。書面を作成したり,被疑者との接見に立ち会ったり,弁護士会内での委員会活動に同席させていただいたりと,いろいろなことを学びます。

このような経験のほか,座学もあります。

集合修習といって,和光市にある司法研修所に集まり,裁判官や検察官,弁護士から講義を受けたり,問題を解いたりといった勉強をします。

これらの研修の総まとめが,11月中旬から下旬に行われる「考試」(通称「2回試験」)です。1科目5時間以上の試験を5科目(民事刑事の裁判,検察,民事刑事の弁護の5科目です)受験し,無事突破できれば晴れて実務家になれる,というわけです。

と,あらためて文字に起こしてみると,実務家になるまで,けっこう大変かもしれませんね。

小旅行

依頼者様のためにも仕事を早く進めるに越したことはありませんが,働きづめだと逆に業務効率が悪くなってしまいます。

ということで,息抜きに小旅行に行ってきました。

東京駅はやはりアクセスがいいので色々なところに行けるな,と感じます。

そこまで多くの時間が取れたわけではありませんでしたが,リフレッシュできたのでまた頑張りたいと思います。

健康診断

弁護士業務に限らず,お仕事を進めるにあたって健康管理は大切です。

今年も健康診断をみっちり受けてきました。なにも問題がないことを祈るばかりです。