死亡による慰謝料②

前回は,交通事故の被害者が亡くなってしまった場合に請求できる,①亡くなった被害者の慰謝料についてご説明いたしました。

今回は,②近親者の慰謝料についてご説明します。

 

ご家族が交通事故により亡くなってしまった場合,ご遺族にも大きな精神的苦痛が生じます。

そのため,被害者の近親者も,自身の被った精神的苦痛に関する慰謝料の支払いを求めることができるとされています。

 

近親者の範囲は,民法711条では,被害者の父母・配偶者・子供とされています。

 

もっとも,被害者が亡くなったことにより精神的苦痛を受ける近親者は,この限りではありません。

裁判所は,これらの人に匹敵するほど近しい関係にある近親者も,慰謝料の支払いを求めることができると判断しています(最判昭和49年12月17日)。

 

例えば,交通事故で亡くなった被害者の姪について,生後間もなく被害者の家庭に引き取られ,長年に渡り実質的な娘として育てられてきたことを理由に,民法711条により慰謝料100万円が認められました(大阪地判平成14年3月15日)。

 

どの範囲の近親者に慰謝料が認められるかどうかは,主張・立証の程度によって変わってしまいます。

交通事故でご家族を亡くされてしまった方は,一度,弁護士に相談することをお勧めします。