交通事故に遭った場合,被害を受けた方は,治療を受けるための治療費であったり,
ケガのために会社を休業せざるを得なくなり休業損害が発生したりします。
また,精神的苦痛に対する慰謝料など,多数の損害が発生します。
多くの場合は,加害者が任意保険会社に入っていて,加害者の任意保険会社が治療費や休業損害,
慰謝料などを払ってくれます。
しかし,加害者が任意保険に入っていないこともまれにあります。
そのような場合は,治療費や休業損害などの損害をどのように補填したらよいのでしょうか。
・加害者に請求
もっともわかりやすいのは,加害者本人に請求して損害を賠償してもらうことです。
加害者が仕事中の場合には,加害者を雇っている会社も賠償責任を負う可能性が高いため,
支払能力という意味では,会社にも請求することが考えられます。
ただ,加害者本人の支払意思や支払能力次第では,まったくうまくいかず,相談に来られる方も多いです。
費用面で問題がなければ,加害者を相手に裁判を起こし,差し押さえなどの強制執行をすることもできます。
・自分の保険を使う
また,自分が入っている保険の人身傷害特約などを使えば,治療費や休業損害,慰謝料などの損害を
保険会社の基準で支払ってくれます。
慰謝料などは裁判基準よりは低くなりますが,当座の治療費や休業損害の心配はなく治療ができますし,
後から加害者に不足分を請求することも可能です。
・加害者の自賠責に請求
人身傷害特約などの保険に入っていない場合でも,加害者が自賠責保険にさえ入っていれば,
加害者の自賠責保険に治療費や休業損害などを請求(被害者請求といいます)することもできます。
この場合には,自賠責の基準で計算されるため慰謝料が裁判基準より低くなったり,上限額が決まっていたりします。
また,いったんは治療費などを立て替える必要がある医療機関も多いようです。
・労災を使える場合
この他,自分が通勤途中や業務中であった場合には,労災を使うことも考えられます。
労災指定病院の場合には治療費を立て替える必要もなく,心配なく治療を受けることができますし,
休業損害も支払われます。
ただ,慰謝料の支払いはないですし,休業損害も働いていた場合の100%が支払われるわけではありません。
このように,様々な対応が考えられますが,それぞれ一長一短があるのと,
加害者の反応や資力,費用面などから,どの方法が適切なのかは難しい問題です。
弁護士費用特約が使える場合には,費用面の心配も減りますので,どの方法をとるべきか,
弁護士に早期にご相談されることをお勧めします。