被害者参加制度

被害者参加制度とは,被害者やご遺族の方が事件の当事者として刑事事件に直接関与し,意見陳述や質問等ができる制度です。

刑事事件は,捜査・訴追する国家権力側と,被告人という当事者構造で成り立ってきましたが,この制度ができたことによって,被害者やご遺族の方も当事者として刑事事件に関わることができるようになりました。

利用できる事件としては,故意の犯罪行為による殺傷事件,強制性交や強制わいせつ,逮捕監禁,過失運転致死傷などがあり,交通事故であっても被害者が亡くなったり重度の傷害を負った場合にも,この制度を利用することが可能です。

この制度を利用することによって,傍聴人としてではなく,当事者として法廷に着席し,検察官の訴訟活動に関して意見を述べたり,検察官に説明を求めたりすることができるほか,証人が情状について証言したときにその証明力を争うための尋問をすることができます。

ほかにも,意見を述べるために必要な場合,被告人に対して質問することもできますし,起訴された事実の範囲内で,事実または法律の適用について意見を述べることもできます。

たとえば,交通事故の場合,加害者の家族が情状証人となり,今後の監督などについて証言することがありますが,この証言の証明力を争うための質問ができるほか,加害者本人にも反省の有無などを聞くこともできるということです。

また,最終的な意見陳述において,処罰意思についてもきちんと伝えることができます。

加害者と会いたくないという被害者やご遺族の方も多いですが,刑事裁判において意見を伝えることができる重要な場ですので,ぜひ積極的に利用していただければと思います。