耳(聴力)に関する後遺障害

最近ご相談の多い,耳に関する後遺障害について,書きたいと思います。

交通事故での耳の後遺障害には,欠損障害と聴力障害,平衡機能障害があります。

 

欠損障害の場合には,耳殻の大部分(半分)を欠損していると,

後遺障害12級が認定されます。

しかし,外貌醜状(顔や首などの傷跡や見た目の障害)として

後遺障害が認定される場合には,その等級との調整が行われます。

 

また,相談の多い症状としては,耳鳴りなどがあります。

耳鳴りについては,この症状だけで後遺障害が認定されるということはありません。

多くの場合,聴力障碍である難聴を伴うので,その程度と併せて,後遺障害等級の判断がなされます。

 

さらに,聴力障害についても,片耳の場合,両耳の場合などによって,

後遺障害等級は変わってきます。

また,聴力といっても,音を拾う能力である聴力レベルと,

音を判別する明瞭度と,それぞれの数値によって後遺障害等級も変わってきます。

そのため,聴力障害の後遺障害認定については,必要な検査をきちんと受けていることが,

最低限必要になってきます。

検査の受け方についても,一定の期間を空けて複数回検査を行う,

複数回検査を行い問題がなければそのうちのいくつかの平均値をとる,

などいくつかの決まりもあります。

 

耳が聞こえにくくなった,耳鳴りがする,などの症状が長引いている場合には,

後遺障害に該当するかもしれませんので,治療を終える前に,

交通事故・後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

高次脳機能障害の画像所見

交通事故で脳に損傷を受けた場合,その損傷を明らかにするために,

画像所見が非常に重要になります。

高次脳機能障害の後遺障害認定においても,画像所見の存在はほぼ必須といえます。

 

画像所見はないのに,記憶や行動の障害がある,性格が変わってしまった,

といった症状がある場合には,改めて適切な画像検査などが行われているか,

見直してみるべきことがあります。

 

 

たとえば,CTで脳内の出血などが分かる場合にはよいのですが,

びまん性軸索損傷などと呼ばれている損傷の場合には,

CTでは写りにくい,という問題があります。

この場合には,MRI,特にT2,T2*像,磁化率強調像などを試すことで,

出血の痕跡や高信号を捉えることができることがあります。

 

また,MRI所見がない場合にも,PET検査といわれる検査などで,

脳損傷に特徴的なパターンの所見を得られ,

微小な気質的損傷の存在が明らかになることもあります。

 

事故から時間が経過すればするほど,画像所見が得られたとしても

その価値は変わってしまいますので,

事故に遭われて頭部を強打した,脳震盪と診断された,

記憶や行動に関する障害がある,というような場合には,

お早目に交通事故・後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

TFCC損傷の画像所見

交通事故で手首をケガした,という方の中には,最初は軽い捻挫だろう程度に思っていたところ,

実はTFCC損傷だということが分かった!という方がいます。

 

事故から比較的すぐにMRI検査や関節造影検査などを行い,

専門の医師がTFCC損傷であるということを発見してくれればよいのですが,

そうでない場合,交通事故とケガの因果関係を否定されてしまうおそれがあります。

特に,最初の段階だと,捻挫であっても痛みはあるため,TFCC損傷であるということ自体に気づきにくく,

痛みがなかなか引かないために初めて検査をしてみる,ということも多くあり,

事故から数ヶ月も経過してから撮った画像などでは,事故との因果関係を立証するのは容易ではありません。

 

しかも,MRI画像ではTFCC損傷の有無は容易ではありませんので,

専門の先生にきちんと診ていただく必要があります。

MRIの場合には,T2強調像で高信号として描出されます。

 

さらに有用なのは,関節造影検査で,橈骨手根関節から遠位橈尺関節への造影剤の漏出,

TFCC構造体内への造影剤の侵入などの所見が得られます。

 

こうした,TFCC損傷であることを示す所見を,いかに事故から早い段階で得られるか,

が重要になりますので,交通事故による手首の痛みに悩まされている方は,

ぜひ一度交通事故に詳しい弁護士への相談,専門医への受診を早めにしていただければと思います。

2020年

新年あけましておめでとうございます。

昨年もたくさんの方々にお世話になりながら,

無事に終えることができました。

今年も,よろしくお願いいたします。

 

年始めらしい話題としては,先日初めて戸隠神社に行ってきました。

昔から赴きもパワーもある霊場と聞いていましたので,

ずっと行ってみたかったのですが,やっと初詣としてお参りすることができました。

雪道かつ時間の制約もあり山の上の方にある奥社,九頭竜社などしか参れませんでしたが,

本当に心が洗われるような落ち着いた杉並木でした。

樹齢400年という杉が何本も植えられていて,すがすがしくもありました。

ただ,足元は日陰になっているところが多く,基本的に凍っていて,

皆さん大方すべっていました(笑)

私もさっそく奥社の近くの階段で盛大にしりもちをつきましたので,

おそらく戸隠神社のパワーに直接ぶつかることができたのではないかと思っています。

 

おみくじは吉で,先人の助言に従うこと,急かないこと,とありましたので,

今年は特に先人の知恵や歴史に学びつつ,焦らず着実に進もうと思います。

ひとまずおみくじを自宅のホワイトボードに貼って,毎日見ることにしました。

 

それでは,オリンピックイヤーとなる今年もよろしくお願いいたします。