債権法改正が交通事故事件に与える影響

4月1日に債権法が改正され,交通事故事件に影響を与える部分の変更もありました。

 

まず大きく影響を与えるのが,時効に関する改正です。

改正前は,不法行為である交通事故に基づく損害賠償請求権の時効は,

損害と相手方を知った時(権利を行使することができることを知った時)から3年以内,

かつ不法行為の時から20年以内,とされていました。

しかし,身体や生命にかかわる請求権の重要性から,

改正後は,生命または身体の侵害による損害賠償請求権については,

損害と相手方を知った時から5年,不法行為の時から20年,と時効期間が長くなりました。

ただ,生命や身体の損害のみ延長されることになるので,車などの物損は,

これまでどおり3年ということになり,時効期間がずれてくるので注意が必要です。

 

また,改正により法定利率が5%から3%に引き下げられ,中間利息の控除と遅延損害金の計算に影響を与えます。

中間利息の控除とは,交通事故で後遺症が残ったことにより将来の収入が減った場合の損害(逸失利益)について,

将来の損害を現在賠償してもらうために現在と将来の貨幣価値を調整するようなものです。

これについては,改正後の方が逸失利益は高くなりますので,被害者にとってはプラスになります。

他方,遅延損害金については3%への引き下げにより減額されますので,被害者にとってはマイナスになります。

 

基本的には大きな混乱が生じないように経過措置をとったり基準時を調整したりされますが,

改正によって交通事故事件の賠償にも影響は少なからずありますので,

こうしたことを見落とさないためにも,交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。