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逸失利益の算定において賃金センサスが利用できる場合

1 交通事故被害者の逸失利益

交通事故に遭ったことが原因で後遺障害が残ってしまった場合や,交通事故被害者の方が死亡してしまった場合は,「仮に被害者の方が交通事故に遭わなかったとしたら将来受けることができたであろう利益」(これを「逸失利益」(いっしつりえき)と言います。)について賠償がなされるのが通常です。

そして,後遺障害が残ったことによる逸失利益のことを「後遺障害逸失利益」と言い,これは「基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式によって算出されます。

対して,被害者の方が死亡した場合の逸失利益のことを「死亡逸失利益」と言い,これは「基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」という計算式によって算出されます。

これらの計算式からも明らかなとおり,後遺障害逸失利益の算出においても,死亡逸失利益の算出においても,「基礎収入額」を決定する必要があります。

この「基礎収入額」については,交通事故が発生する前に現実に得ていた収入額を利用することが通常ですが,事案によっては「賃金センサス」というものを利用して基礎収入額を決定する場合もあります。

そこで,このページでは,逸失利益の算定において,どのような場合にどのような方法で賃金センサスが利用されているかについて解説をしたいと思います。

2 そもそも「賃金センサス」とは?

賃金センサスとは,統計法に基づいて実施されている賃金構造基本統計調査の報告書のことを言います(簡単に言うと,賃金に関する統計資料のことです)。

賃金センサスでは,労働者の属性別の賃金が,産業・企業規模等で掲載されています。

賃金センサスに掲載されている労働者の属性としては,雇用形態(正社員・正職員,正社員・正職員以外),就業形態(一般労働者,短時間労働者),職種,性別,年齢,学歴,勤続年数,経験年数などがあります。

賃金センサスは,第1巻から第5巻の5分冊となっており,それぞれ,以下のような特徴があります。

なお,逸失利益の算定にあたっては,第1巻第1表の企業規模計・産業計の平均賃金が参照されることが多いです。

第1巻 全国・産業大分類

第2巻 全国・産業中分類

第3巻 役職,職種,初任給,パート等

第4巻 都道府県別

第5巻 雇用形態別

3 利用する平均賃金の選択方法

先ほど述べたとおり,逸失利益の算定にあたっては,第1巻第1表の企業規模計・産業計の平均賃金が参照されることが多いのですが,事案によっては,他の平均賃金を用いる方がより実態に近いという場合もあります。

そのような場合においては,第1巻第1表の企業規模計・産業計以外の平均賃金を用いて逸失利益を算定することも考えられるところであり,裁判例においても,賃金センサスの第2巻,第3巻等の平均賃金を用いて逸失利益を計算したものが存在します。

もっとも,第1巻第1表の企業規模計・産業計以外の平均賃金を用いる場合は,以下の点に注意をする必要があります。

⑴ 第1巻の各産業別平均賃金を利用する場合

この場合は,交通事故被害者が実際に就いている(あるいは将来就く蓋然性のある)業種・業態が,用いようとしている平均賃金の業種・業態と類似している必要があります。

もっとも,業種・業態と類似している場合でも,交通事故被害者の方の事故直前の年収や,事故までの職歴・学歴等の個別事情によっては,第1巻の各産業別平均賃金がそのまま基礎収入として用いられないケースもあります。

⑵ 職種別の平均賃金(第3巻)を利用する場合

この場合は,利用しようとしている平均賃金の職種を将来も継続していくことが前提となります。

そのため,例えば,交通事故の被害者が,交通事故当時,職種が異なる職業に転職するための活動を行っていたというような場合は,交通事故被害者の基礎収入として職種別平均賃金を用いることはできないでしょう。

⑶ 都道府県別の平均賃金(第4巻)を利用する場合

この場合は,交通事故被害者の方が,就労可能な期間(あるいは労働能力喪失期間)を通じて当該地域に居住することについて蓋然性が存在しなくてはなりません。

そのため,交通事故被害者の方に将来的な転居の予定があったというような場合は,交通事故被害者の基礎収入として都道府県別の平均賃金を用いることはできないでしょう。

4 賃金センサスを利用すべき場合と利用すべきでない場合

不法行為に基づく損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補填して,不法行為がなかったときの状態に回復させることを趣旨としています。

この点,賃金センサスを用いれば,容易に基礎収入を決定することが可能ではありますが,賃金センサスには各交通事故被害者における個別具体的な事情は反映されていませんので,上記の「被害者が現実に被った損害を填補する」という不法行為制度の趣旨からすると,やや適切でない部分があります。

そのため,原則的には,安易に賃金センサスを用いるのではなく,被害者の方が交通事故に遭う前に現実に得ていた収入を基礎収入として逸失利益の算定を行うべきでしょう。

もっとも,交通事故被害者の方が事故当時収入を得ていなかったという場合や,相当程度の収入を得ていたことは確かであるがその収入額を把握することができない場合,事故当時の収入額を把握することができるものの将来的により高い収入を得られる蓋然性が存在したという場合も当然想定されます。

そのため,このような場合については,賃金センサスを利用して基礎収入を決定することも必要となってくると思われます。

そこで,以下では,賃金センサスを利用できる場合をいくつか挙げてご説明していきたいと思います。

5 賃金センサスを利用できる場合①~収入がない場合~

逸失利益の算定において,どんな事案でも事故前に現実に得ていた収入を基礎収入としなくてはならないとすると,事故前に収入がなかった方の場合は基礎収入が0円となってしまいかねません。

しかし,逸失利益は交通事故がなければ将来得られるはずであった分の損害のことを言うところ,交通事故発生前には収入がなかった方でも,将来的に仕事に就いて収入を得る可能性は当然に考えられますので,事故前に収入がなかったという一事をもって,基礎収入を0円とし,逸失利益の賠償を行わないとするのは,適切でないと思われます。

そのため,事故前に収入を得ていなかった方の場合には,賃金センサスの平均賃金を利用して基礎収入を算出することに合理性が認められる場合も多いでしょう。

⑴ 就労していない方の場合

ア 逸失利益の賠償の可否

交通事故発生当時に就労していなかったために収入がなかった方について,逸失利益の賠償がなされるか否かについては,その方の就労への意欲や就労能力という点が重要な着眼点となります。

(ア)就労意思・就労能力のある方の場合

交通事故被害者の方に,就労する意欲も仕事に就くことができる能力もあったが,事故当時はたまたま就労していなかったというだけの場合は,将来的に就労をし,収入を得ることができた可能性が否定できません。

この場合,「被害者が現実に被った損害を填補する」という不法行為制度の趣旨から厳密に考えていくと,「仮に,被害者の方が交通事故に遭うことなく,将来就職をしていたとしたら,どれだけの収入を得ることができたか」ということを,確たる証拠をもって個別具体的に立証しなくてはならないところですが,このような仮定的な将来の事実については,立証は極めて困難なものとなるでしょう。

そのため,このような場合には,賃金センサスの平均賃金を利用して基礎収入額を決定することにも合理性があると考えられます。

(イ)就労意思・就労能力のない方の場合

他方,将来的にも就労する意欲が全くなかったり,健康等の問題により就労することのできる能力が全くなかったりする場合には,将来的に就労をし,収入を得ることができた可能性は低くなると思われますので,賃金センサスの平均賃金を利用して基礎収入額を決定することは難しくなります。

(ウ)考慮される要素

交通事故発生当時に就労していなかった方の逸失利益の算定においては,その方の就労への意欲や就労能力という点が重要となるということは既に述べたとおりですが,これらは,被害者の方が就労していなかった期間がどの程度あるか,被害者の方の年齢や健康状態,事故発生前の生活状況,就職活動をしているか否か,就労していない理由,今後の就労の見通しなど,様々な要素を考慮して判断されることになります。

イ 賃金センサスを利用した基礎収入額の決定方法

交通事故発生当時に就労していなかった方について逸失利益が認められるという場合でも,その算定においては,どんな事案においても賃金センサスの全年齢平均賃金や年齢別平均賃金をそのまま基礎収入として扱うことができるというわけではありません。

各事案の個別事情によっては,賃金センサスの全年齢平均賃金や年齢別平均賃金を減額して基礎収入とした裁判例も存在します。

この点,事故当時は就労していなかったが,既に就職先の内定を得ていたという場合や,交通事故直前まで働いており,再就職の可能性も存在する場合には,賃金センサスの全年齢平均賃金や年齢別平均賃金を基礎収入とすることが認められる可能性が高まるでしょう。

他方で,事故発生時点で既に長期間就労していなかったというような場合や,就職の見通しが立っていないというような場合は,賃金センサスの全年齢平均賃金や年齢別平均賃金から相当程度減額した金額が基礎収入とされる可能性が高まります。

⑵ 年少者・学生の場合

ア 逸失利益の賠償の可否

交通事故被害者の方が幼児であった場合や学生であった場合は,就労をしておらず,収入がない場合が多いかと思われます。

もっとも,幼児や学生については,交通事故当時は無職であっても,将来的に就職をして収入を得る可能性が存在する場合が多いです。

そのため,裁判例においても,交通事故被害者の方が幼児であった場合や学生であったために収入がなかった場合でも,将来的に収入を得ることができる可能性が存在したのであれば,賃金センサスの平均賃金を用いて逸失利益の算定がなされる傾向にあります。

イ どの平均賃金を用いたらよいのか?

(ア)男性の年少者の場合

交通事故被害者の方が男性の年少者の場合,賃金センサス第1巻第1表の男性・全年齢・学歴計の平均賃金を用いて逸失利益が算定されることが多いです。

(イ)女性の年少者の場合

他方,交通事故被害者の方が女性の年少者の場合は,性別の平均賃金ではなく,賃金センサス第1巻第1表の全労働者・全年齢・学歴計の平均賃金を用いて逸失利益が算定されることが多いです。

(ウ)学生の場合

a 交通事故被害者の方が幼児である場合のように,事故発生時点における将来の進路が具体的なものではなく,あらゆる職種に就く可能性があるという場合には,上記(ア)や(イ)のように,男性・全年齢・学歴計の平均賃金や,全労働者・全年齢・学歴計の平均賃金を用いて逸失利益を算定することに支障は少ないと思われます。

もっとも,将来の進路は成長していくにつれて徐々に具体的になっていくのが通常ですので,交通事故被害者の方が高校生や大学生であるような場合においても,具体的な事情を一切考慮せず,一律に男性・全年齢・学歴計の平均賃金や全労働者・全年齢・学歴計の平均賃金を用いて逸失利益を算定することは適切ではないと思われます。

b 例えば,交通事故被害者の方が,高校を卒業したらすぐに就職することになっているというような事案については,学歴計の平均賃金ではなく,高校卒の平均賃金を用いる方が妥当な場合もあるでしょう。

また,大学卒業間近の女子大生が交通事故に遭ったという場合は,女性労働者・全年齢・大卒の平均賃金を利用する方が合理性の認められる場合もあるかと思われます。

さらに,交通事故被害者の方が大学生で,事故当時内定も得ており特定の職種に就く高度の蓋然性があったというような場合は,当該職種における賃金センサスを利用することも考えられるところです。

c 結局のところ,被害者の方の年齢,学校の成績,所属する学校における卒業生の進路,内定の有無,内定先の給与等を考慮の上,交通事故の時点において被害者の方の将来の進路がどれほど具体的なものとなっていたのかを個別具体的に検討し,どの平均賃金を用いるかを決定する必要があると思われます。

6 賃金センサスを利用できる場合②~専業主婦の場合~

⑴ 逸失利益の賠償の可否

極めて形式的に考えると,専業主婦の方は,家族のために家事を行うことによって収入を得ることができるわけではありませんから,交通事故によって家事労働が行えなくなったとしても減収が生じる余地はないとして,逸失利益の賠償が認められないことになりそうです。

しかし,最高裁判所昭和49年7月19日判決は,「結婚して家事に専念する妻は,その従事する家事労働によって現実に金銭収入を得ることはないが,家事労働に属する多くの労働は,労働社会において金銭的に評価されうるものであり,これを他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから,妻は,自ら家事労働に従事することにより,財産上の利益を挙げているのである。一般に,妻がその家事労働につき現実に対価の支払を受けないのは,妻の家事労働が夫婦の相互扶助義務の履行の一環としてなされ,また,家庭内においては家族の労働に対して対価の授受が行われないという特殊な事情によるものというべきであるから,対価が支払われないことを理由として,妻の家事労働が財産上の利益を生じないということはできない。」と述べ,主婦の家事労働について,経済的な価値があることを認めました。

そして,その後の裁判例においては,専業主婦の家事労働を金銭的に評価して逸失利益を算定することができるという考え方が,一般的なものとなっています

⑵ 家事労働分の基礎収入の決め方

ア 基本的な考え方

専業主婦の家事労働を金銭的に評価することが可能であるとしても,専業主婦の方は現実に家事の対価を得ているわけではありませんから,家事労働分の基礎収入をどのようにして決定したら良いのかが問題となります。

この点,前記最高裁判所昭和49年7月19日判決は,「妻の家事労働は財産上の利益を生ずるものというべきであり,これを金銭的に評価することも不可能ということはできない。ただ,具体的事案において金銭的に評価することが困難な場合が少なくないことは予想されうるところである」と指摘した上で,「かかる場合には,現在の社会情勢等にかんがみ,家事労働に専念する妻は,平均的労働不能年令に達するまで,女子雇傭労働者の平均的賃金に相当する財産上の収益を挙げるものと推定するのが適当である。」と判示しています。

現在の実務においても,賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・女性労働者・全年齢・学歴計の平均賃金を基礎収入として逸失利益の計算をすることが多いです。

イ 高齢の専業主婦の場合

交通事故被害者の方が高齢の専業主婦である場合については,健康状態や体力の低下等により通常の主婦と同程度の家事を行うことができないなどの理由で,賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・女性労働者・年齢別・学歴計の平均賃金を用い,そこからさらに数割減額した金額を基礎収入として扱う裁判例も少なくありません。

だからといって,高齢者の専業主婦の方の場合において個別具体的な事情を考慮せず,一律に年齢別平均賃金を用いたり平均賃金より減額したりすることは適切ではありません。

結局のところ,賃金センサスを用いるにしても,個別の事案において,交通事故被害者の方の年齢,同居の家族の構成,健康状態,家事労働に従事している時間の長短,従事している家事労働の内容などの具体的な事情を総合的に考慮し,適切な基礎収入を決定していく必要があります。

7 賃金センサスを利用できる場合③~実収入額を把握できない場合~

⑴ 問題の所在

事業所得者の方においては,基礎収入の存在及びその内容を根拠づける資料として,確定申告書の控えや,収支内訳書の控え(白色申告の場合),所得税青色申告決算書の控え(青色申告の場合)等が提出されるのが通常です。

もっとも,交通事故被害者の方が交通事故に遭う前に収入を得ていたことは確かであるものの,確定申告をし忘れていたり,税務対策のために所得額を少なめに申告していたりする場合も少なくありません。

このような場合は,通常ですと,会計帳簿,金銭出納帳,伝票などの証拠によって実際に得ていた収入の額を主張・立証していくことになりますが,事案によっては,証拠の信用性が疑われたり,そもそも証拠が存在しなかったりする等の理由で,実際に得ていた収入額を把握することができない場合があります。

⑵ 基礎収入額の決定方法

そこで,このような場合は,賃金センサスの平均賃金を用いて基礎収入額が認定されることがあります。

もっとも,賃金センサスの平均賃金と実際の収入の間に著しい乖離が存在する等の個別事情があるにもかかわらず,一律に賃金センサスの平均賃金を用いることは適切ではありません。

そのため,賃金センサスの利用が検討される場合でも,賃金センサスの平均賃金を得ることができていた蓋然性が存在したという点について,具体的な主張・立証を行うことが必要となります。

交通事故の被害者において賃金センサスの平均賃金を得ることができていた蓋然性があるか否かを判断するにあたっては,交通事故被害者の方の年齢,性別,健康状態,学歴,職業,営業規模,出入金の状況,営業の状況,仕事の形態,家族を含めた生活状況等の様々な要素が考慮されることになります。

そして,もし,賃金センサスの平均賃金程度の収入を得ることができる蓋然性が存在したことの立証に成功しなかった場合には,把握することができた収入額と当該平均賃金との乖離の程度や,推測できる収入状況等を考慮の上,賃金センサスの平均賃金から数割減額した金額が基礎収入額とされる場合もあります。

8 賃金センサスを利用できる場合④~将来的に収入が増える蓋然性がある場合~

⑴ 問題の所在

最初に述べたとおり,「基礎収入額」の決定においては,交通事故が発生する前の現実の収入額が用いられるのが通常となっています。

もっとも,事故前に交通事故被害者の方が得ていた収入の額を把握することができる場合でも,被害者の方が若年である等の理由により,将来的な昇給の蓋然性が認められるケースも存在します。

このような場合に,事故前の現実の収入額を「基礎収入額」として逸失利益の計算をしてしまうと,逸失利益に将来における昇給の蓋然性が反映されないこととなってしまいますので,適切ではありません。

そのため,交通事故被害者の方に将来的な昇給の蓋然性が存在するケースにおいては,別の方法により基礎収入額を決定する必要があります。

⑵ 基礎収入額の決定方法

そこで,上記のようなケースにおいては,賃金センサスの平均賃金を用いて基礎収入を決定する場合があります。

もっとも,賃金センサスが利用できる他の場合と同様に,賃金センサスの平均賃金を利用する場合には,労働能力喪失期間を通じて利用しようとしている賃金センサスの平均賃金を得ることができる蓋然性が存在したという点について,具体的な主張・立証を行うことが必要となります。

交通事故被害者の方において将来的に賃金センサスの平均賃金を得ることができる蓋然性が存在したか否かを判断するにあたっては,交通事故被害者の方の年齢,現在の職業,事故前までの職歴,就労可能期間の長短,独立開業の可能性,稼働能力の有無及び程度,事故前の現実の収入額と年齢別平均賃金との乖離の有無及び程度,当該乖離が生じている原因などの様々な要素が考慮されることになります。

これらの要素を考慮した上で,事故前の現実の収入額と年齢別平均賃金の乖離が大きく,かつ,定職に就く具体的な見通しが存在しないという事情が存在したり,転職を繰り返していたという事情が存在したりするなど,就労状況の継続性・安定性に欠けると判断されるような場合には,交通事故被害者の方が将来的に賃金センサスの平均賃金程度の収入を得ることができる蓋然性がないとして,賃金センサスの平均賃金から数割減額した金額が基礎収入額とされる傾向にあります。

9 おわりに

以上のとおり,賃金センサスを用いた逸失利益の算定においては,そもそも賃金センサスの平均賃金を用いて基礎収入を決定することが適切な事案なのか否か,賃金センサスの平均賃金を利用できるとしても,賃金センサス記載の平均賃金をそのまま用いるべき事案なのか,一定程度減額をして用いる方が適切な事案なのかなど,複雑な論点が多数存在します。

結局のところ,賃金センサスの平均賃金を参照する場合でも,「主張している基礎収入額を交通事故被害者の方が得ることのできる蓋然性がどれだけあったのか」ということが重要になり,その蓋然性の有無及び程度を,個別の事案に応じて具体的に主張・立証していくことが必要不可欠になるかと思われます。

ご自身のケースにおいて,逸失利益の算定に賃金センサスを利用することができるか,できるとして逸失利益の額はいくらとなりそうか等をお知りになりたい方は,一度,交通事故に詳しい弁護士に相談をしてみることをおすすめいたします。

弁護士法人心東京駅法律事務所には,交通事故を得意とする多数所属しておりますので,東京で弁護士をお探しの方はお気軽にご相談ください。

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