不動産譲渡所得税②

前回の続きで,相続で引き継いだ不動産を売却した場合の,不動産譲渡所得税の注意点についてお話します。

不動産譲渡所得税は,売却した金額自体にかかるのではなく,不動産を売却した金額から,当該不動産を入手した際の費用など(これを

取得費といいます)を差っ引いた金額にかかります。

要するに,不動産を売ったことで儲かった金額についてだけ,課税がされるという仕組みなのです。

取得費には,①土地を購入する時に収めた不動産取得税や登録免許税②立退料③土地の埋め立てや土盛り等にかかった費用④測量費

⑤購入してすぐに建物を取り壊した場合の取り壊し費用⑥土地などを購入するために借り入れたお金の利子のうち,土地などを実際に使用開始

する日までの利息等,不動産の取得に関して支払った費用が広く含まれますので,これらの金額がいくらであったのかをしっかりと説明できる資料

が準備できるかどうかが,正確な申告,ひいては節税につながることになります。

また,これらの取得費用が不明である場合には,取得費を売却額の5%とすることができますが,5%は非常に低い割合ですので,地価が二束三文

であった大昔に買った土地でもない限りは,きっちりと,取得費に関する資料を揃えた方が良いということになります。

資料を探しても見つからないという場合にも,まだあきらめる必要はありません。

合理的な手法により,取得時点での不動産の価額を推測することは認められており,例えば,建物を着工建築物構造別単価,土地を市街地価格指数

で算定することが認められた例もありますので,詳しい税理士へ相談することが重要です。