相続税申告の注意点(土地の評価)

今月は台風をはじめ,週末は雨ばかりでした。11月こそは,秋晴れが続いて欲しいものです。

今日は相続税申告の土地の評価について,お伝えします。

相続税申告における土地の評価はかなり難しく,専門ソフトがないと困難であり,かつ,きっちりと専門家が計算をすれば,路線価×地積で算出される評価額と比べて多額の節税となることが多いため,相続税申告を税理士に依頼した方が良い理由の1つとなります。

1 自用地の評価

まず,相続税を計算する場合の土地の評価は,相続税路線価というものを使うことは,以前も説明いたしました。そして,相続税路線価に地積を掛けて評価額を出せば,一応評価額を出すことができます。

しかしながら,上記の計算で算出された評価が当てはまるのは,綺麗な正方形に近い形の土地で,かつ,公道に面しており,しかも,傾きやセットバック等が皆無の,「減額要素の存在しない完璧な土地」のことです。

世の中に存在する土地のほとんどは,上記の「減額要素の存在しない完ぺきな土地」ではありませんので,それぞれの土地の実情に即した減額をすることができます。

例えば,間口距離(道路に接している線の長さのことです)に比して奥行きが長い土地は,「奥行補正率」という減額割合を掛けることができますし,土地の形が長方形ではなかったり,私道に面している場合等は,陰地割合を算出することにより,最大40%もの減額をすることができます。

路線価×地積で算出すると6000万円の土地につき,陰地割合等で減額することにより,4000万円となった場合には,最低税率の10%で計算をしても,200万円税金が減ることになりますから,土地を適切に評価する効果はとても大きいことがわかります。

東京の都市部の土地等,1平方メートルあたりの地価が高いところでは,より大きな効果があります。

もちろん,これらにより評価した土地を,小規模宅地特例により,8割もの評価減を適用できれば,さらに効果が大きくなります。

上記の例で小規模宅地特例を併せて使うことができた場合には,6000万円の土地が,800万円(4000万円の8割減)と評価できることになります。

2 貸付地の場合

自宅の敷地等ではなく,他人に貸している土地の場合には,

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=貸家建付地の評価額

で算出をしますので,自用地の場合よりもさらに減額した評価をすることができます。

借地権割合というのは,路線価図にAとかDとか記載されているアルファベットで示されています。Aならば90%,Dならば60%です。

借家家割合は通達等で示されているもので,賃貸割合は,当該物件のうち,賃貸をしている割合です(通常,面積で算出します)。

例えば,上記の例で,6000万円の土地が,自用地としては4000万円と評価できる場合に,借地権割合が90%,借家権割合が30%,

賃貸割合が100%とすると,1-0.27=0.73となり,土地の評価額は2900万円程度まで下がることになります。

現金ではなく,不動産を購入し,貸しアパートを建てると節税になる というのは,このように,①まず現金を不動産にすることによって,

自用地としての評価額を下げた うえで,さらに,②建屋貸付地として,さらなる減額をすることができる ことを利用しているのです。

3 専門家に相談してください

ここに紹介した以外にも,不動産評価を減額できる特例は数多くあり,相続税申告においては,不動産が存在するかぎり,ご自身で申告するよりも,不動産評価をきっちりと出来る相続税の専門家に相談をし,適切な評価額を算出して相続税額を算出した方が良いと思います。

相続税についてお悩みの方は税理士法人心東京駅税理士事務所にご相談ください。