相続と株式の評価

この度,近鉄四日市駅徒歩一分の場所に,弁護士法人心四日市法律事務所がオープンいたしました。

https://www.yokkaichi-bengoshi.com/

皆様により身近に,より親身に問題解決をすべく,今後も尽力してまいります。

コロナウイルスの影響で,一度は大きく下落した株価ですが,公的資金の流入もあり,大きく持ち直しています。

コロナウイルスと共に生きていくための社会構造の変化のため,再度大きな下落局面もあるとは思いますが,このような株価の乱高下の

状況において相続が発生すると,いろいろな問題が生じます。

まず,相続税については,相続が発生した日の最終価格の他,①課税時期の月の毎日の最終価格の平均額,②課税時期の月の前月の最終価格の平均額,③課税時期の月の前々月の最終価格の平均額のうち,一番低い価額により評価することとなっておりますので,納税者の不利にならないように調整されています。

遺産分割においては,代償分割をする場合の評価時点について,協議が成立する直前の時期の価額で合意するケースが多いですが,乱高下している時期ですと,価額でもめるケースもあります。大きな変動局面では,相続税評価の場合と同じく,月平均を利用して協議を進めることもあります。あくまで合意で評価を決定できますので,事態に即し柔軟に対応すべき場面です。

株価の乱高下により,最も理不尽な結果が生じやすいのは遺留分の算定においてでしょう。基本的に相続発生時で評価する考え方が採られていますので,亡くなった日がたまたま暴落,暴騰の日で,遺留分の実際の支払いの日と大きく金額が異なるケース等が考えられます。

日経平均はコロナで最も下がった日(令和2年3月19日)の1万6552円と,本日時点の2万2512円とでは,わずか3か月で36%も変動していますので,影響は大きいと言えます(今回は大きな為替変動は起きていませんが,リーマンショックのように為替変動が起きると,投資信託や外貨預金にも同様の問題が生じます。)

株価の変動は上場株式のみならず,非上場株式の際も問題となります。

例えば,生前に非上場株式の価値が安い時点で子の一人に対して株式を贈与したケースにおいて,後日遺留分侵害額請求がされ(当該贈与が減殺対象となるケースの場合です),その時点で株価が大きく増加していた場合には遺留分侵害額も増加することになります。

このように,株価の変動は相続問題に様々な影響を及ぼします。