相続手続に必要な戸籍謄本①

 

秋めいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

東京の交通量は、コロナ前と変わらない程に増えてきましたし、だいぶ以前の日常が戻ってきているように感じます。

 

今日は金融機関や不動産の登記手続等、相続手続に必要な戸籍について「なぜ、大量の戸籍が必要になるのか」「どのような戸籍が必要になるのか」について解説していきます。

ちなみに,金融機関や不動産登記手続で使用する戸籍は原本の提出が必要になりますので,金融機関や不動産の数が多いと,提出しては還付を受け,提出しては還付を受け の繰り返しとなり,手続に時間がかかります。

近年,法定相続情報証明制度といって,戸籍の束と相続人関係図を作成して法務局へ提出すると,何枚発行をしても発行料金のかからない,1枚紙の法定相続情報を取得することができるようになりましたので,とても便利になりました。

相続が始まると、最低限、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍、原戸籍等と、相続人の現在戸籍が必要となります。そしてこの最低限の戸籍類の取得で済むのは、親が亡くなり、子(又は子と配偶者)が相続人のケースです。

まず、なぜ出生から死亡までのすべての戸籍を求められるのかといえば、親子相続のケースでいえば、亡くなられた方に子供が何人いるかを確認するためです。

亡くなられた方はもしかしたら、過去に別の人と結婚をして、子供をもうけているかもしれませんし、どこかで養子縁組をしたり、認知をしているかもしれません。

「親の相続だから、子が何人いるかくらい知っているよ!なのに戸籍を全部揃えるなんて面倒!」とおっしゃるお子様もおられますが、金融機関からすれば、相続人の全員を確認しなければ、怖くて預金解約に応じる気にはなれません。もし、遺産分割協議書が相続人全員でなされたものではないにもかかわらず、預金を解約してしまったら責任問題だからです。登記も同じくで、間違った登記を信用した人が出てきてしまっては大変ですから、万に一つも間違えるわけにはいきません。

しかも、弁護士として相続事件を担当していると、「知らない間に夫が認知していて、実は夫に別の子供がいた」とか、「親が知らないうちに知らない人と養子縁組している」というケースはそれなりにあります。認知や養子縁組というのは、秘密裏に行われるケースがありますし、なにより、日本の戸籍制度において、認知や養子縁組というのは、認知等をしたときの戸籍にしか乗らず、後の戸籍には表記されないので、分かりにくいのです。要するに「親の相続だから子が何人かくらい知っている」というのは、実はそうでもないケースが多いので、銀行や法務局からすれば信用できない、ということですね。

続きは②で書いていきます。