相続税の申告について(基礎)

弁護士法人心の岩崎です。

今日は,相続税の申告について,記事を書きます。

1 申告期限

まず,相続税の申告期限は,被相続人が亡くなってから「10か月以内」です。

10か月以内に申告をし,税金を払わないと,延滞税や無申告加算税がかかってしまいますので,申告をする必要がある人は10か月以内に申告をすることが必要です。

2 相続税を申告する必要のない人

全ての人が相続税申告をする必要があるわけではありません。

2018年現在,相続税の申告が必要な人は,全体の7%と言われていますので,93%の人は申告する必要がないのです。

申告する必要のある人とない人は基礎控除の範囲内か否かで決まります。

基礎控除とは,「3000万円+相続人の数×600万円」で計算されますので,例えば,相続人が妻と子供1人の場合には4200万円を超えない限りは,相続税を申告する必要はありません。

3 相続税をゼロ円とできる場合であっても申告しなければいけない場合

注意しなければならないのは,小規模宅地の特例や配偶者控除の特例等を使うことで相続税がゼロ円となる場合には,相続税を支払う必要はないにもかかわらず,申告が必要になることです。

小規模宅地の特例とは,居住用,事業用不動産等の一定面積までの不動産について,特定の相続人が相続する場合には,80%(居住用の場合)または50%(事業用の場合)の減額を受けることができる特例です。

例えば,上述した,相続人が妻と子供1人であり,基礎控除が4200万円の場合に,預金が2000万円,被相続人が住んでいた家が5000万円だったとすると,遺産の総額が7000万円であるため,相続税を支払わなくてはいけないようにみえますが,小規模宅地の制度を利用することで,不動産の評価額を20%にできる結果として,相続税がゼロ円となる可能性があります。

この場合には,相続税はゼロ円ですが,相続税申告書を税務署に提出する必要があります。

 

配偶者控除とは,配偶者については,法定相続分以下または1億6000万円以下の相続について,相続税がかからないとする特例です。遺産が5億円のケースで,配偶者が2億5000万円相続したとすると,配偶者には1円も相続税がかかりませんので,非常に大きな特例です。

ただし,納めるべき相続税がゼロであっても,やはり相続税の申告が必要となりますので,注意が必要です。

このように,相続税を申告する必要があるか否かは,専門的な判断が必要になりますので,ご不安な場合には,相続に詳しい税理士さんにご相談ください。