遺留分の計算方法が変わります。

新元号は令和になりましたね。

5月から令和になるので,間違わないように注意したいと思います。

東京は暑く感じる日も多くなってきましたね。

さて,前回は成年後見制度について書いてみました。

今回は,相続法改正と遺留分について書いてみたいと思います。

 

平成30年に民法の相続に関する法律が大きく改正されました。

約40年ぶりの民法大改正になります。

改正された項目は複数あり,平成31年から順次施行されていくことになります。

この改正のポイントはいくつかありますが,今回は遺留分制度に関する見直しについてご説明します。

 

1 遺留分について

遺留分とは,相続人のうちの一部の方について,相続財産のうち一定の割合を認めるものです。

兄弟姉妹を除く法定相続人は,遺留分減殺請求できる場合がありますが,この遺留分減殺請求ができる期間は法律によって決められています。

 

2 遺留分侵害額の算定方法について

改正民法では,遺留分を算定するための財産の価額は,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に,その贈与財産の価額を加算し,その合計額から債務の全額を控除して算出します。

なお,贈与財産の価額には,遺贈は含みません。

 

改正民法では,遺留分を算定するための財産の価額に算入する生前贈与の範囲等について見直しをしています。

また,相続人に対する生前贈与の範囲に関する規定の見直しもなされました。

 

現行民法によれば,遺留分の計算上算入される贈与は,①相続開始前の1年間にしたものと,②当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与は,特段の事情がない限り全ての期間の贈与が算入されます。

また,現行民法における特別受益の扱いは,1年以上前の贈与も含めて原則として全て加算されます。

特別受益とは,被相続人の生前に,共同相続人の中の一人が婚姻,養子縁組のためや生計の資本として受けた贈与のことをいいます。

 

他方,改正法では,相続人に対する贈与は,特別受益に該当する贈与で,かつ,原則として相続開始前の10年間にされたものに限り,遺留分を算定するための財産の価額に算入することになりました。

ただし,遺留侵害額を求める計算式においては,遺留分権利者の特別受益の額を相続開始前の10年間にされたものに限定せず,加算することになりました。

 

3 遺留分に関する規定の施行日

遺留分に関する規定の施行日は,平成31年7月1日です。

4 さいごに

以上のように,相続に関する法改正があったことにより,遺留分の計算方法についても様々な影響が生じます。

そのため,相続案件に集中的に取り組み,遺留分制度に詳しい弁護士に相談するのがよいと思います。