個人再生での生命保険の取り扱いについて

2021年9月も終わりが近づいてきました。

今年も残り3か月です。

東京も暑さがだいぶ落ち着いてきましたね。

前回は、自己破産と相続放棄の関係について書きましたが、今回は、個人再生と生命保険の関係について書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生をする場合、原則として生命保険を解約する必要はありません。

個人再生は、全財産を処分して、借金を返済するという制度ではないため、無理にこれらの保険を解約する必要はありません。

ただし、個人再生では、清算価値保障の原則といって、最低でも手持ちの財産額以上の金額を返済に充てなければならないという決まりがあります。

そのため、生命保険に加入していて、解約返戻金がある場合、解約した場合の解約返戻金の見込額は財産とみなされ清算価値に計上する必要があります。

もっとも、解約返戻金が多額の場合は最低返済額が大きくなるため、毎月の返済可能額を超えてしまう可能性があります。

そのような場合は、生命保険を解約して、解約返戻金を返済に充てなければならなくなる可能性があります。

生命保険の種類には、大きく分けて、掛け捨て型と貯蓄型があります。

掛け捨て型は、保険料を支払っている期間は保証を受けることができますが、解約返戻金はないため、保険を解約してもお金は戻ってきません。

これに対し、貯蓄型は、保険料の払込期間終了後に解約返戻金を受け取ることができます。

生命保険の解約返戻金とは、生命保険を解約した場合や保険料の払込期間終了後に保険会社から戻ってくるお金のことをいいます。

掛け捨て型の具体例としては、医療保険、がん保険などがあります。

貯蓄型の具体例としては、終身保険、養老保険、学資保険などがあります。

掛け捨て型の生命保険に加入している場合、個人再生の手続に影響はありません。

解約したとしても、解約返戻金がないわけですので、清算価値に含めるものがないからです。

他方、貯蓄型の場合は、今生命保険を解約したとして戻ってくる解約返戻金を財産として申告して、清算価値に含める必要があります。

低解約返戻金型保険のように、貯蓄型でありながら、通常の貯蓄型保険よりも保険料が安く設定されている代わりに、途中解約した場合の返戻率が低くなっている商品もあります。

このような低解約返戻金型保険に加入している場合は、清算価値に含める金額も小さくなりますので、個人再生後の返済額への影響は小さくなります。

しかし、通常の貯蓄型保険に加入されていて、もし既に10年以上保険料を払い続けている方は、おそらく今解約したとして戻ってくる解約返戻金は、支払った保険料の8割を超える可能性がありますので、このような場合は、注意が必要です。

また、生命保険の解約返戻金を担保として、生命保険会社からお金を借りている方もいるのではないでしょうか。

この制度のことを契約者貸付制度といいます。

解約返戻金の範囲でお金を借りることができ、利息も金融機関や消費者金融と比べるとかなり安く設定されているところが多いようです。

契約者貸付制度により借りている場合、もともと戻ってくる予定の解約返戻金の一部を先に受け取っているということになりますので、借金ということにはならないので、個人再生の対象にはなりません。

以上

自己破産と相続放棄の関係について

2021年8月も終わりが近づいてきました。

東京も暑さが落ち着いてくれるとよいですね。

前回は、リボ払いについて書きましたが、今回は、自己破産と相続放棄の関係について書いてみたいと思います。

相続が生じた場合で、被相続人に多額の借金があった場合、相続人は、通常、相続放棄を選択するのではないでしょうか。

相続放棄とは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述することによって、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続しないようにする手続のことをいいます。

相続放棄が認められると、申述人は初めから相続人ではなかったことになります。

他方、自己破産とは、債務者の現在の資産や収入では、すべての借金の返済を続けていくことが不可能な場合に、自ら裁判所に対して返済が不可能であることを申し立てて、最低限の生活に必要とはいえない財産や、不動産などの高価な財産を債権者への返済に充てる代わりに、一部の例外を除いて全ての債務の返済義務を法的になくす手続です。

このように、相続放棄も自己破産も借金がなくなるという点だけを見ると、同じような制度のようにも思えます。

相続放棄と自己破産の違いはどこにあるのでしょうか。

相続放棄と自己破産とでは、税金の滞納があった場合の取り扱いが異なります

相続放棄の場合は、被相続人が有していた一切のプラスの資産や権利関係はもちろん、借金も引き継がないことになります。

被相続人が滞納していた税金の支払義務についても、相続放棄によって相続人が引き継がなくてもよいことになりますので、被相続人の税金を支払う義務はありません。

自己破産は、債務者が支払不能になってしまったため支払うことのできない借金を、裁判所に特別に免責してもらう制度です。

ただし、自己破産の場合は、非免責債権といって、税金の支払い義務はなくなりません。

そのため、自己破産が認められたとしても、税金は支払わなくてはなりません。

他にもいろいろな違いがありますので、相続と債務整理に詳しい弁護士に相談してみると良いでしょう。

以上

リボ払いについて

2021年7月もあと数日ですね。

東京ではオリンピックが開かれましたね。

前回は、個人再生をする場合の自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて書きましたが、今回は、リボ払いについて書いてみたいと思います。

リボ払いの正式名称は、リボルビング払いといいます。

リボ払いの一番の特徴は、毎月の返済額を一定の金額に固定することにあります。

分割払いは支払回数を決めて支払っていく方法ですが、リボ払いは毎月の元金と利息を合わせた固定金額を支払っていく方法です。

リボ払いの種類は、残高スライド方式と定額方式が主なものになります。

残高スライド方式とは、あらかじめ設定されている支払残高によって毎月の支払額が変動する支払方法です。

定額方式は、支払残高が増えたとしても、毎月の支払額は変わらず固定のままとなる支払方法です。

ある月に大きな買い物をした場合、残高スライド方式だと毎月の支払額が変動する可能性があるのに対し、定額方式の場合は毎月の支払額に変更はありません。

もっとも、定額方式の場合、毎月の支払額を低く設定しすぎると元金の減りが遅くなりますので、その分手数料の負担が増えることになります。

キャッシングでもリボ払いができる会社もあります。

キャッシングリボ払いもショッピングリボ払いと同様に毎月設定された固定金額が引き落とされることになります。

リボ払いは、1回払いや分割払いとは異なり、高額商品を購入した場合でも、毎月の返済額は一定になるため、手もとにまとまったお金がないという場合でも支払いができるという特徴があります。

また、お金に余裕があるときは繰上げ返済ができるため、計画的に返済ができる場合は毎月の利息の支払額の割合が大きくなることを避けることができる可能性もあります。

リボ払いの問題点としては、リボ払いには金利が発生しますが、毎月の返済額が安く設定される傾向にあります。

そのため、支払期間が長期化し、結果金利の支払額が多額となってしまう危険性があります。

また、残高スライド方式の場合は、支払残高が一定額を超えると毎月の返済額も大きくなってしまいます。

そのため、ご自身で条件を把握していない場合は、突然毎月の返済額が大きくなってしまうため返済ができなくなってしまう可能性もあります。

リボ払いは、毎月の利用額と返済額との間に関連性がなく、利用額が多くても返済額が多くの場合一定のため、自覚なく利用しすぎてしまうことがあります。

カード会社としては、利息の支払いが一回払いと比べて多くなるリボ払いの方が自社にとっても有利なため、リボ払いの利用に誘導することもあります。

リボ払いにしていると、自覚なく毎月の返済額より多額の利用をしてしまうことがあり、そのようなことが続くと、毎月きちんと返済をしているにも関わらず、いつの間にかリボ払いの残高が多額になっていることがあります。

そして、リボ払いの残高が多額になると、今度は手数料の金額が多額になってしまいます。   

つまり、リボ払いの特徴として、意識しないうちに残高が増えてしまうことと、残高は増えてしまうと、毎月の返済額に内に占める手数料の額が多額になり、返済しても残高がなかなか減らないという点が挙げられます。

以上

個人再生での自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて

2021年6月もあと数日ですね。

東京ではオリンピックが開かれるのでしょうか。

前回は、個人再生後に一括返済や繰り上げ返済ができるかについて書きましたが、今回は、個人再生をする場合の自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生をする場合、原則として自動車保険や火災保険を解約する必要はありません。個人再生は、全財産を処分して、借金を返済するという制度ではないため、無理にこれらの保険を解約する必要はありません。

ただし、個人再生では、清算価値保障の原則といって、最低でも手持ちの財産額以上の金額を返済に充てなければならないという決まりがあります。

そのため、自動車保険や火災保険に加入していて、解約返戻金がある場合、解約した場合の解約返戻金の見込額は財産とみなされ清算価値に計上する必要があります。

自動車保険の解約返戻金とは、自動車保険を解約した場合に保険会社から戻ってくるお金のことをいいます。

もっとも、全ての自動車保険で解約返戻金が出るのでしょうか。

自動車保険には自賠責保険と任意保険がありますので、分けて考える必要があります。

自賠責保険は、全ての自動車について、法律で加入が義務付けられています。

自賠責保険は自動車を所有している限り加入しなければならないものですので、廃車にした場合やナンバープレートを返納した場合を除いて、通常途中で解約することはできませんし、還付金もありません。

したがって、個人再生をするにあたって、自賠責保険の解約返戻金を清算価値に含める必要はありません。

他方、任意保険は強制加入ではなく中途解約も可能ですので、解約返戻金がある場合には、財産として清算価値に含める必要があります。

任意保険には、各損害保険会社が定めている返戻率がありますので、それに従って解約返戻金が決まることになります。

ただし、月額払いにしている場合は、解約返戻金が発生しないことが一般的ですので注意が必要です。

火災保険についても、解約返戻金がある場合は清算価値に含めることになります。

もっとも、住宅ローンが残っている場合、通常は住宅に抵当権が設定されています。

そのため、銀行としては、住宅ローンが残っている状態で、火事で住宅が全焼した場合、保険金を銀行の住宅ローンの返済に優先的に充ててもらう必要があります。

そこで、銀行は火災保険に質権を設定することがあります。

この場合、住宅ローンを完済するまでは銀行の承諾なくして火災保険を途中で解約することはできません。

したがって、火災保険の解約返戻金の見込額は0円と考えられますので、清算価値に含める必要はありません。

以上

個人再生後に一括返済や繰上げ返済はできるか

2021年5月もあと数日ですね。

東京では夏日の日もちらほら出てきてますね。

前回は、自己破産と相続との関係について書きましたが、今回は、個人再生後に一括返済や繰り上げ返済ができるかについて書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生では、①100万円、②借金総額の5分の1、③清算価値のうち最も高い金額まで借金を減額し、原則として3年、特別な事情がある場合には5年で返済をすることになります。

返済は、あくまで裁判所に認可された返済計画に従って行うのが原則です。

個人再生をした後に、給与が上がるなどして収入が大幅に増えた場合や、相続によって遺産分割を受けてまとまった財産を取得した場合に、裁判所の認可を受けた返済計画どおりに継続的に支払いをするのではなく、債務を繰り上げて返済したり、一括で返済したいと考える方もいるのではないでしょうか。

個人再生の場合は債務に利息が付きませんので、返済期間を短縮しても利息が少なくなるメリットはありませんが、早く債務の支払義務から解放されたいと考える方も多いと思います。

一括返済とは、文字どおり、債務全額を1回で支払うことをいいます。

繰り上げ返済とは、毎月の返済に加えて債務額の一部または全部を返済することをいいます。

個人再生の繰り上げ返済では、返済期間を短くする方法が用いられます。

個人再生後の繰り上げ返済は、法律上禁止されていませんので、結論としては一括返済や繰り上げ返済は可能です。

ただし、債務整理をする場合、原則として債権者を平等に扱うべきという「債権者平等の原則」という考え方があります。

特に個人再生は裁判所を介する法的債務整理手続のため、「債権者平等の原則」が厳格に適用されます。

個人再生後に一括返済や繰り上げ返済を行うのであれば、一部の債権者に対してのみ一括返済や繰り上げ返済をすると他の債権者に不公平になりますので、全ての債権者に平等に返済しなければなりません。

このように、全ての債権者に平等に一括返済する場合は、基本的には問題ないとされています。

ただし、あくまで債権者が同意することが前提となります。

また、個人再生後に、圧縮された債務には利息が付きません。

そのため、一括返済や繰り上げ返済で債務の返済が早まることで債権者側に生じるデメリットはありません。

したがって、一括返済や繰り上げ返済を拒否する債権者はほとんどないと考えられます。

ただし、個人再生の手続開始からあまり日が経っていない場合には注意した方が良いと思われます。

債務者が返済不可能な状態にあったからこそ、裁判所に個人再生の申立てをし、債権者が債務を圧縮することに同意したにもかかわらず、裁判所の認可が出てすぐに一括返済や繰り上げ返済をするとなると、最初から借金の減額を目的にして不正な方法により不当に債務を免れることが目的だったのではないかと疑われる可能性が高くなります。

特に再生計画認可から半年も経過していない場合は、債権者が不満に思ったり、財産隠しを疑われる可能性もあります。

そのため、一括返済や繰り上げ返済をするのであれば、そのタイミングや債権者との交渉については、弁護士などの専門家に事前によく相談することが大切です。

自己破産と相続との関係について

2021年4月の終わりも見えてきましたね。

東京もだいぶ暖かくなってきて春を感じるようになってきました。

前回は、債務整理する場合の金融機関の口座の処理について書きましたが、今回は、自己破産と相続との関係について書いてみたいと思います。

 

自己破産すると相続ができなくなるのではないかとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、自己破産しても相続はできます。

相続には、「相続欠格」という制度があります。

相続欠格に当たる場合は民法で限定的に規定されており、該当する場合は相続権は永久に失われてしまいます。

具体的な例としては、故意に被相続人や他の相続人を死亡させた人や、詐欺や脅迫によって被相続人の遺言を、作成、撤回、取消し、変更することを妨げた人などがこれに当たります。

自己破産はこれらに該当しませんので、相続欠格にはなりません。

 

また、相続には、「廃除」という制度もあります。

相続人の廃除とは、被相続人への虐待行為があるなどの事情によって被相続人が自身の遺産を相続させたくない推定相続人がある場合に、家庭裁判所に相続排除の申立てをして相続権をはく奪することができる制度です。

被相続人が遺言の中で廃除する相続人を指定することよって、遺言執行者が相続廃除の申立てを行うこともできます。

このように、自己破産をしたこと自体は原則として廃除事由には該当しません。

 

それでは、自己破産をする場合に、相続が発生するタイミングによって、自己破産を申し立てる債務者の方(破産者)にどのような影響があるのでしょうか。

相続が発生する時期によって、手元に相続財産がどれくらい残るかが変わってきます。

 

自己破産を申し立てる前に相続が発生した場合は、他の相続人と同じ状況にありありますので、遺産分割協議をして遺産を相続し、必要があれば相続税を支払うことになります。

そして、取得した相続財産で借金を返済することになります。

相続財産では借金を返済しきれない場合は、改めて債務整理をするかどうか検討することになります。

この場合、相続財産は手元に残らないことになります。

 

自己破産の申立て後、破産手続開始決定が出る前に相続が発生した場合も、申立て前に相続が発生した場合と同様に、申立人は遺産を取得したことになります。

したがって、自己破産の手続の中で、遺産は借金の返済に充てられることになります。

破産者は、破産手続開始時に有する財産の財産管理権を失いますので、破産手続開始決定前に発生した相続による相続財産は破産手続の中に組み込まれ、債権者への返済に充てなければならなくなります。

もし相続によって実家を取得した場合は、実家を失ってしまう可能性が高いため、そのまま自宅に住み続けたいのであれば、自己破産以外の手続、たとえば任意整理や個人再生などで借金を減額できないかを検討することになります。

 

破産手続開始決定後に相続が発生した場合、申立人が取得した相続財産は、自己破産の後に新たに取得した財産になりますので、すべて破産者の財産になります。

そうすると、借金は免責決定によって支払義務がなくなり、かつ、相続財産も取得することができますので、債務者にとっては最も有利になります。

 

相続がいつ発生するかの予測は難しいですが、病気等で入院しているなど事前に予測できる場合もあるかと思います。

そのような場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。

債務整理する場合の金融機関の口座の処理について

2021年3月の終わりも見えてきましたね。

東京もだいぶ暖かくなってきて、桜も満開です。

前回は、過払い金の請求はいつすべきかについて書きましたが、今回は、債務整理する場合の金融機関の口座の処理について書いてみたいと思います。

 

弁護士に債務整理を依頼した場合、弁護士が債権者に対し、受任通知を発送します。

これにより、債務者に資力がないため、債務の支払をすることができないということが債権者に表示されることになります。

そうすると、借入のある金融機関の預金口座に残高がある場合、通常は、保証会社による代位弁済の直前に相殺がなされて残高が0円になります。

このように、弁護士から債権者に受任通知を発送する前に、自分の銀行口座の処理や、光熱費等の支払方法について検討して準備をしておく必要があります。

 

①債務整理をする債権者が銀行等の金融機関の場合、受任通知が到達した時点における預金が、借金と相殺されてしまいます。

また、債務整理をする銀行の系列の保証会社から代位弁済がされるまでは、口座が凍結されるため、入金、出金、口座振替(自動引落し)が原則としてできなくなります。

したがって、受任通知発送までには口座の残高を0円(もしくは限りなく0円に近づけておく)にしておく必要があります。

また、給与口座を変更したり、口座振替(自動引落し)にしている光熱費や携帯電話料金等の支払方法を振込みやコンビニ払いなどに変更する必要があります。

保証会社の代位弁済が終了すれば、借入のある金融機関であっても、法律上は、受任通知発送前と同じように預金取引ができます。

 

②債務整理をする債権者が消費者金融で、かつ、銀行等の金融機関の系列会社である場合、系列の金融機関の口座が凍結される可能性があります。

口座が凍結されてしまうと、系列の金融機関からの入金、出金、口座振替(自動引落し)ができなくなる可能性があります。

したがって、受任通知発送までには口座の残高を0円(もしくは限りなく0円に近づけておく)にしておいた方が無難です。

 

③債務整理をする債権者が銀行等の金融機関ではなく、銀行系列の消費者金融でもない場合、お持ちの金融機関の口座が凍結されることはありません。

しかし、債権者への支払方法が口座振替(自動引落し)になっている場合は、受任通知到達後も債権者のシステムの都合上、預金から引き落とされてしまうことがあります。

この場合、返金手続に時間がかかってしまったり、破産・再生手続においては偏頗弁済とされる可能性もあります。

このように、債務者側に不利益になる可能性がありますので、債権者への支払方法が口座振替(自動引落し)になっているかどうかをご確認いただきまして、債権者への支払方法が口座振替(自動引落し)になっている場合は、受任通知発送までにその口座の残高を0円(もしくは限りなく0円に近づけておく)にしておいた方が無難です。

 

④債務整理するクレジットカードで光熱費等の支払いをしている場合

債務整理するクレジットカードで光熱費等の支払いをしている場合、本来は、そのクレジットカードを使用してはいけません。

しかしながら、債権者のシステムの都合上、決済がされてしまう場合があります。

債務整理するクレジットカードで光熱費等が引き落とされた場合は、債権者が債権額を確定できなくなるため、手続の進行に支障が出ることがあります。

そのため、光熱費等の支払方法を振込みやコンビニ払いなどにする必要があります。

 

自分がどの口座で、どのように支払いをしているかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合は、債務整理に詳しい弁護士に相談して、整理してみるとよいでしょう。

過払い金の請求はいつすべきか

2021年2月も終盤です。

2月はあっという間に終わってしまいますね。

東京の緊急事態宣言もそろそろ終わるのでしょうか。

 

前回は、過払い金返還請求をしたいが資料がない場合について書きましたが、今回は、過払い金の請求はいつすべきかについて書いてみたいと思います。

 

過払い金請求は、払い過ぎた利息が戻ってくるというものです。

既に借金を完済している人も、今まさに借金を返済中の人も、どちらの人にもメリットは大きいといえます。

また、過払い金を返せという権利は、一定の期間が過ぎると時効によって消滅してしまいます。

早めに請求をしていれば過払い金を支払ってもらえる可能性があったにもか かわらず、迷っていて権利を消滅させてしまうことはできるだけ避けるべきです。

そのため、過払いの相談は、すぐにでも行うべきです。

 

もっとも、完済後に過払い金返還請求をするにあたり、注意すべき点もあります。

 

まず、過払い金はキャッシングでの借入れしか発生しませんが、過払い金の請求時に、もしショッピング枠に支払いが残っている場合は、キャッシング枠の過払い金が充てられます。

過払い金の充当してもショッピング枠の支払いが残ってしまった場合、債務整理扱いとなり、信用情報に登録される可能性があります。

そのため、過払い金を請求する前に、ショッピング枠の利用状況を確かめておくとよいでしょう。

 

次に、過払い金請求する業者が吸収合併した業者に対する債務がないかどうかを確認する必要があります。

もし、業者①に過払い金請求する場合、業者①が吸収合併した業者②にも借金がある場合、完済とは認められず、債務整理扱いになる可能性があります。

そのため、過払い金を請求する前に、業者①が吸収合併した業者②にも借金がないかどうかを確かめておくとよいでしょう。

 

最後に、過払い金請求する業者の保証会社のカードローンを利用しているかどうかを確認する必要があります。

もし、過払い金請求する業者の保証会社のカードローンを利用しているというように、関連する会社の借金がある場合、完済とは認められず、債務整理扱いになる可能性があります。

そのため、過払い金を請求する前に、過払い金請求する業者の保証会社のカードローンを利用していないかどうかを確かめておくとよいでしょう。

以上

過払い金返還請求をしたいが資料がない場合

2021年1月ももう終わりですね。

今年もあっという間に終わってしまいそうな気がしてしまいます。

東京のコロナの人数が増えてきていますね。

早くワクチンや治療薬ができるといいですね。

 

前回は、過払い金返還請求における取引の分断について書きましたが、今回は,過払い金返還請求をしたいが資料がない場合について書いてみたいと思います。

過払い金とは、簡単にいうと、借主が貸金業者等の貸主に返済しすぎたお金です。

利息制限法に定める上限利率を超える高い利率でお金を借りていた場合に、利息が払いすぎになっていることがあります。

この払いすぎた分が過払い金です。

過払い金が発生するためには、通常、5~7年間以上取引を継続していることが必要となります。

したがって、長期間の返済を経て、借金を返済し、その後に過払い金返還請求をすることになりますので、その間に契約書や取引明細書を紛失している方が多いのではないでしょうか。

もっとも、貸金業者には、各債務者の帳簿を保管し、全ての取引履歴を開示する法的な義務があります。

そのため、取引履歴の開示請求をして、開示された取引履歴をもとに過払い金の返還を請求することは可能です。

また、どこの金融業者から借入れをしたか覚えていなくても、債務者本人が信用情報機関に問い合わせることで、どこの金融業者から借入れをしていたのか把握できる場合もあります。

取引期間が非常に長期に及ぶ場合や借金を完済している場合には、貸金業者から全部の取引履歴が開示されない場合もあります。

そのような場合に、全ての取引履歴が開示されているかどうかをチェックするためにも、契約書等の資料が残っている方が望ましいといえます。

また、預貯金の通帳や取引履歴から、貸金業者の入出金記録を調査できる場合もあります。

過払い金返還請求にあたっては、一番最初に借入れをした時期と最後に返済した時期は大変重要な情報になりますので、できる限り借入当時のことを思い出せるようにしておくといいでしょう。

 

もし過払い金が発生していそうな場合で、資料を紛失してしまった方は、過払い金の分断の問題に詳しい弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。

過払い金返還請求における取引の分断について

年末ですね。今年もあと4日になりました。

東京もかなり寒くなってきてますね。体を冷やすといいことがないので、気を付けたいところです。

前回は、過払い金について書きましたが、今回は,過払い金返還請求における取引の分断について書いてみたいと思います。

 

過払い金とは、簡単にいうと、借主が貸金業者等の貸主に返済しすぎたお金です。

過払い金返還請求において、債権者からよく争われる問題が、取引の分断の問題です。

取引の一連性の問題と言われることもあります。

この取引の分断の主張が認められると、過払い金が返還されないことになるため、最も重要な問題とも言えます。

 

借金をいったん完済した後、再び同じ貸金業者から借入れをして取引を再開するということはよくあると思います。

この場合、最初の取引と次の取引が一つの取引であれば、両方の取引が連続しているものとして、一連で引き直し計算をすることになります。

しかし、この最初の取引と次の取引とが、まったく別個の取引として扱われた場合は、どのように引き直し計算をすべきでしょうか。

一連で計算する場合は、取引中断前に発生した過払い金を、取引中断後の借入金に充当して計算することができるため、取引が分断されたものとして各取引を個別に引き直し計算をする場合よりも、過払い金の金額が増えることが多くなります。

そのため、借主側からすれば、当然、一連で引き直し計算した結果を主張することになり、他方、貸主側は、2つの取引が別々のものとして取り扱うべきであるという主張をすることになります。

これが、いわゆる取引の分断と呼ばれる問題です。

 

分断した複数の取引を一連のものとして計算できるのかどうかを判断するにあたっては、債権者と債務者との間に過払金充当合意があるかどうかという点が問題となります。

過払金充当合意とは、取引中断前の取引で発生した過払い金を、取引中断後の借入金に充当させる旨の当事者間の合意のことをいいます。

もっとも、貸金業者が、契約締結の際に、もし過払いが発生した場合、取引中断後の借入金に充当することを認めるといった内容の契約をすることはないため、この過払金充当合意とは、あくまで裁判所が考え出した法的なフィクションのようなものです。

裁判所の考え方の根底には、取引が分断している以上、本来的には別々に計算をすべきだという考えがあります。

これに対して、分断した取引を一連で計算させるための理由づけとして、この過払金充当合意という擬制的な考え方を用いているのです。

 

取引の分断の問題は、空白期間があれば、債権者がほとんどの場合主張してくるため、多くの裁判例が積み重ねられ、最高裁判所の判例によって、一定の基準が定まってきています。

 

もし過払い金が発生していそうであって、ご自身の取引が分断している方は、過払い金の分断の問題に詳しい弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。

過払い金が発生しているかどうかの確認の仕方について

もう11月も終わりが近づき、今年もあと1か月ほどになりました。

東京も寒くなってきてますので、インフルエンザや体調管理には気を付けたいところです。

前回は、年金担保貸付制度について書きましたが、今回は,過払い金について書いてみたいと思います。

 

過払い金とは、簡単にいうと、借主が貸金業者等の貸主に返済しすぎたお金です。

利息制限法1条は、元本10万円未満の場合は年20%、元本10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%を上限利率とし、この制限を超えた利息の支払いは無効と規定しています。

しかし、平成22年以前には、利息制限法と出資法で異なる上限利率が認められており、出資法には反しないが利息制限法に定める上限利率を超える高い利率でお金を借りていた場合に、利息が払いすぎになっていることがあります。

この払いすぎた分が過払い金です。

過払い金があるかは、正確には取引履歴を貸金業者に出してもらわなければ分かりませんが、ここでは簡単に過払い金があるかを大体で見分ける簡単な方法があります。

まず、過払い金があるためには、利息制限法の上限利率を超える高い利率で借入をしている必要があります。

平成18年の貸金業法の改正により、利息制限法所定の利息制限額を超えた契約が禁止され、この改正法が平成22年6月18日に完全に施行されました。

このように、法律で利息制限法と出資法の上限が統一されたのは平成22年ですが、それ以前でも、消費者金融やカード会社等の貸金業者で自主的に利息制限法の上限利率を超えない範囲内の利息で貸し出すようになったところもあります。

そして、貸金業者が自主的に金利を引き下げ始めた時期は、おおむね平成18年~20年頃です。

貸金業者による金利引き下げの対応は、ほとんどが平成19年中に終了していますので、平成19年以前から借入れをしている場合でなければ、利息制限法の範囲内の利率であるため過払い金は発生していないと思われます。

利息制限法の上限利率を超える高い利息で貸していたのは、基本的に消費者金融とカード会社です。

銀行のカードローンや住宅ローン、車のローン等は、昔からこのような高い利息の商品はなかったことから、過払い金が発生していないと思われます。

過払い金があるためには、消費者金融又はカード会社のキャッシングでなければならないということになります。

また、過払い金は、最終取引から10年たつと、消滅時効の成立により返してもらえなくなるという最高裁判所の判例があります。

今もキャッシングでの借り入れがあり、返済し続けている方は、基本的に最後の取引は先月や先々月でしょうから、時効の問題はありません。  しかし、完済している方は、基本的に、完済日が最終取引日ですから、完済から10年たつと時効により過払い金を返してもらうことはできなくなります。

コロナ禍で収入が減ってお困りの方も多くいらっしゃると思います。

もし過払い金が発生していそうであれば、気になるとこだと思いますので時効にかかる前にお早めに弁護士等にご相談されるとよいのではないかと思います。

年金担保貸付について

10月も終わりが近づき,肌寒くなってまいりました。

急激に気温が下がってきておりますので,体調管理には気を付けたいところです。

 

前回は,個人再生について書きましたが,今回は,年金担保貸付制度について書いてみたいと思います。

年金担保貸付制度は,国民年金や厚生年金保険に基づく年金受給権を担保として融資を受けることが法律で唯一認められた制度です。

保健・医療,介護・福祉等の支出のために一時的に小口の資金が必要な場合に利用することができます。

だれでも融資することができるわけではなく,独立行政法人福祉医療機構のみが実施することができます。

年金担保貸付制度は,公的機関が行う公的年金を担保にした唯一の貸付事業ですが,令和4年3月末で申込は終了となり,年金担保貸付制度は廃止されることとなりました。

廃止の理由としては,そもそも年金担保貸付制度は,年金受給者が一時的に資金が足りなくなった場合に,年金を受け取る権利を担保として小口の資金の貸付けを行う制度として利用されていました。

しかし,生活に余裕がなくて借りた場合,生活費に充てるべき年金を返済に充てなければならなくなってしまうため,いざ返済が始まると生活が困窮してしまいます。

また,返済方法は,本来もらえる年金額から返済分が差し引かれて振り込まれます。

そのため,返済額を差し引いた残りの年金しか受け取れません。

さらに,自己破産しても免責の対象とならないため,年金担保の返済も引き続きしなければなりません。

そこで,利用者の困窮化を防ぐために,年金担保貸付制度が廃止されることとなりました。

自己破産を検討されている方で,年金担保貸付を利用されている方は,免責の対象とならないので注意が必要です。

弁護士に相談される際は,忘れずに申告するとよいでしょう。

以上

個人再生について

9月も終わりが近づき,気が付けば今年もあと3か月ほどになりました。

過ごしやすくなってきましたね。

前回は,自己破産のメリットとデメリットについて書きましたが,今回は,個人再生について書いてみたいと思います。

 

個人再生とは,端的に説明すると,現在の資産や今後の収入では,すべての債務の返済が困難という状態の方が,裁判所に,税金や養育費などの例外を除く,全ての債務の返済額を大幅に免除してもらい,分割で支払っていく手続です。

免除後の債権額がいくらになるかは債権額によって変わりますが,5分の1程度に圧縮されると説明されることが多いです。

支払期間は原則3年間,36回の分割払いで行い,特別な事情がある場合には,裁判所の許可をもらって最長5年,60回の分割払いとすることができます。

 

個人再生の手続は,大きく分けて2つあります。

個人再生には,小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続があります。

小規模個人再生が原則的な手続であり,給与所得者等再生が特則という関係になっています。

 

小規模個人再生では,裁判所に申し立てた後,債務を大幅に減額することについて,債権者の意見を聞くことになります。

そして,債権者の頭数で過半数,もしくは債権総額の過半数相当額を有する債権者が積極的に反対意見を出した場合は,小規模個人再生を続けることができなくなります。例えば,債権者が3社いて,債権の総額が500万円だった場合,債権者の内2社が反対するか,250万0001円以上分の債権を有する債権者が反対した場合は,小規模個人再生を続けられません。

 

給与所得者等再生においては,債権者の意見を聞くことなく手続を進めることができます。

ただし,債権者の意見を聞かない代わりに,もうひとつ条件が増えることになります。

返済すべき額が,可処分所得の2年分となります。

可処分所得の2年分を返済するというのは,簡潔に言うと,今の収入で2年間かなり切り詰めた生活をした場合に余る金額を返済するということです。

可処分所得の2年分の金額を計算してみると,最終的な返済額が,小規模個人再生の場合より高額となってしまう場合があります。

そのため,小規模個人再生が利用できそうなら,小規模個人再生を利用するのが一般的です。

 

債権者の数や各債権者の債権額によって,小規模個人再生か給与所得者等再生ののどちらになるかの見通しを立てやすいと思います。

どちらの手続になるか微妙な場合は,弁護士に相談することをおすすめします。

自己破産のメリットとデメリット

8月も終わりが近づいています。

やっと暑さも和らいできたように感じます。

前回は,任意整理のメリットとデメリットについて書きましたが,今回は,自己破産のメリットとデメリットについて書いてみたいと思います。

自己破産手続は任意整理手続とは違って裁判所を利用する手続であり,債務が多額となり,債務者の収入との関係で支払不能と判断される場合に利用を検討すべき手続です。

 

【自己破産のメリット】

①免責により債務を免れることができます(ただし,例外もあります。)。

②債務者の支払能力の有無を心配する必要がありません。

③免責許可申立て後の破産手続廃止決定によって,給与差押えなどの強制執行手続が中止されます。

 

【自己破産のデメリット】

①債務者の名前が官報に掲載されます。

②破産手続開始決定により資格が制限される職業があります。

③原則として,住宅,自動車,保険などの資産を処分しなければなりません。

④免責不許可事由が法定されています。

もし,免責不許可事由に該当する場合は,個人再生手続の検討をする必要があります。

 

自己破産をするにも,申立てに係る費用がかかりますので,現在債務がある方で,従前の計画だと返済が難しくなってしまった方は,収入がゼロになったり預貯金がゼロになる前に,早めに弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。

任意整理のメリットとデメリット

もう7月も終わり,8月に入りますね。

やっと梅雨が明けましたが,コロナの問題はまだまだ続いています。

 

前回は,任意整理手続,自己破産手続及び個人再生手続といった債務整理手続について書きましたが,今回は,任意整理のメリットとデメリットについて書いてみたいと思います。

 

前回のおさらいになりますが,任意整理手続は自己破産や個人再生とは違って裁判所を利用しない手続であり,各債権者と個別に利息制限法の引直し計算後の債務残高について,分割払い等の支払交渉を行う手続です。

 

【任意整理のメリット】

①法的手続ではないので,簡易かつ柔軟な交渉と和解契約が可能です。

②あくまで各債権者と個別に交渉するのが原則ですので,裁判費用がかかりません(ただし,債権者が訴えを提起してきた場合はその対応のための費用が必要にはなります。)。

③引直し計算の結果,過払金があった場合は,任意整理手続と並行して,過払金を裁判上または裁判外のどちらでも請求できます。

④自己破産手続と異なり,資格制限が問題となりません。

⑤自己破産手続における免責不許可事由があっても,任意整理を行うことができます。

 

【任意整理のデメリット】

①あくまで返済することが前提となりますので,債務が残ってしまいます。

②引直し計算による金額までは元本を減額できることが多いですが,それ以上の減額は困難です。

③貸金業者によっては分割払いを一切認めないところがあったり,1年以内や数回での分割払いなど短期間の和解契約しか応じないところがあります。

④通常は,支払期間が3年から5年(場合によってはそれ以上)に及ぶので,途中で挫折する事案もあります。

その場合は自己破産手続に移行せざるを得ませんが,2度手間になってしまうことになります。

 

任意整理を検討する際は,現在の収支を確認して,返済可能額を算出し,無理のない返済計画を立てるのがよいと思います。

現在債務がある方で,従前の計画だと返済が難しくなってしまった方は,収入がゼロになったり預貯金がゼロになる前に,返済計画の見直しという観点からも弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。

債務整理の種類について

もう6月も終わりに近づいてまいりました。。

東京も緊急事態宣言が解除されましたが,コロナにり患した方の人数が増加傾向にあるようです。

他方,感染の危険もさることながら,経済的な負担も大きくなっている方も多いのではないでしょうか。

前回は,不動産売買等に関する大手不動産会社の研修内容について書きましたが,今回は,債務整理の方法に関して整理してみたいと思います。

 

債務整理手続には,主に①任意整理手続,②自己破産手続及び③個人再生手続の3つの手続があります。

①任意整理手続

裁判所を利用しない手続であり,各債権者と個別に利息制限法の引直し計算後の債務残高について,分割払い等の支払交渉を行う手続です。

②自己破産手続

裁判所を利用する手続であり,清算型の手続です。

個人の破産であれば,裁判所の免責決定を得ることを最終の目的とします。

③個人再生手続

裁判所を利用する手続であり,債務の一部免除を受けた上で,残額について分割払いをしていく手続です。

住宅を残したい方がこの手続を選択し,住宅ローンの支払いを継続する住宅資金特別条項を利用する場合が多いです。

 

コロナの影響で収入が減少した,または全くなくなってしまったという方も多いのではないかと思います。

現在債務がある方で,従前の計画だと返済が難しくなってしまった方は,収入がゼロになったり預貯金がゼロになる前に,返済計画の見直しという観点からも弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。

 

四日市市にも支店ができました。

四日市法律事務所のサイトはこちら

 

 

 

不動産実務研修

もう5月も終わり6月に入りました。

東京も緊急事態宣言が解除され,八重洲も人手が戻りつつあります。

まだ油断はできないので,やれることを一つずつやっていきたいと思っています。

前回は,国税庁が取りまとめた新型コロナウイルス感染症の影響により期限までに相続税の申告等が困難な方々のためのFAQをご紹介いたしました。

今回は,先日,不動産売買等に関して,大手不動産会社の研修を受けましたのでその内容について触れてみたいと思います。

 

相続,後見や債務整理案件を取り扱っていると,不動産の査定や売買は避けて通れません。

通常は,お付き合いのある不動産業者様に物件調査をしていただいたり,査定をしていただいております。

不動産を売却するにあたって,買主様を探していただくことも多々あります。

 

今回は,より具体的に重要事項説明書や売買契約書を作成するための物件調査の方法を学びました。

現地調査,法令上の制限の有無の調査,生活関連施設の調査等不動産取引の安全を図るためにしなければならないことが非常に多いことを改めて実感いたしました。

今回の研修で学んだことを,今後の相続や債務整理業務に生かせるよう日々精進していきたいと思います。

以上