後部座席シートベルトと過失相殺

東京もだいぶ蒸し暑くなってきましたね。

これから梅雨時期になるので食中毒には気を付けたいものです。

 

今日は,シートベルトを着けずに自動車の後部座席に同乗していた人が交通事故に遭った際,どのような場合に,どの程度の過失相殺がなされるかについて考えてみたいと思います。

 

まず,道路交通法上,運転者,助手席同乗者及び助手席以外の同乗者について,全ての道路におけるシートベルトの装着義務が規定されています(道路交通法71条の3第1項,同第2項)。

道路交通法上,助手席同乗者や後部座席同乗者のシートベルト装着義務は運転者に課せられており,助手席同乗者や後部座席同乗者はシートベルト装着義務を負っておりません。

つまり,運転者が助手席同乗者や後部座席同乗者にシートベルトを装着させる義務を負っているということになります。

これらのシートベルト装着義務に違反した場合は,運転者には違反点数1点が付くことになります。

ただし,助手席以外の同乗者のシートベルト装着義務違反については,高速道路で自動車を運転する場合にのみ違反点数が付くことになります。

 

過失相殺の対象となる被害者の過失は,交通事故と損害の発生との間に因果関係がある必要があります。

したがって,シートベルトを付けなかったために,同乗者が怪我をするなど損害が発生した場合に過失が認められるということになります。

助手席におけるシートベルト不装着を理由とする過失相殺が問題となった裁判例を概観してみると,過失相殺を認めた裁判例が圧倒的多数を占めており,典型的なシートベルト不装着の事案ですと,同乗者の過失割合が5%から20%の範囲内に収まっているようです。

後部座席におけるシートベルト不装着を理由とする過失相殺が問題となった裁判例を概観してみると,過失相殺を認めた裁判例と過失相殺を否定した裁判例が半分半分の割合であり,典型的なシートベルト不装着の事案では,同乗者の過失割合は5%から10%の範囲内に収まっているようです。

たとえば,タクシーに乗っていて交通事故でお怪我をされた場合,だれにどのような請求をすべきかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

シートベルトを装着していなかった場合の過失割合については,こちらもご覧ください。