物損と人損の過失割合

東京は雨が多いですね。

急に涼しくなったので体が慣れるまでに時間がかかって大変です。

 

前回は,後遺症逸失利益の計算の中で問題となる労働能力喪失率について書いてみましたが,今回は物損と人損の過失割合について書いてみたいと思います。

交通事故案件を多く扱っていてよくあるのが,以下のようなケースです。

 

【例】

被害者ご本人様で物損について相手方保険会社と交渉し合意した際に,過失割合についても併せて合意した(例えば,当方10:相手方90で合意した。)。

ただし,相手方保険会社には特に伝えてはいなかったが,自分としては修理費のみ当方10対相手方90のつもりで合意したし,相手方保険会社からも特に明確な説明がなかった。

なのに,いざ人損の交渉をしてみると,人損の過失割合も当方10対相手方90になっていた。

自分としては修理費のみの過失割合として考えていたのに納得いかない。

 

といったものです。

被害者様のお気持ちはとてもよくわかるところですが,争いがないことを前提とした場合,1つの交通事故においては事故態様は1つであり,合意した以上は過失割合も1つになります。

相手方保険会社と物損と人損の過失割合を別に考えるという明確な合意(書面を交わしているなど)があれば別ですが,基本的には物損で合意した過失割合が人損においても適用されます。

お怪我の治療は時間がかかることが多いため,通常は物損を先にまとめることが多いと思います。

その際は,過失割合についてどのように決めるかについて,相手方保険会社に確認をしておくとよいと思います。

 

 

以上のとおり,交通事故に遭われた場合,ご本人様で物損について交渉し合意をなさる方も多いと思いますが,合意の前に一度立ち止まって,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。