任意整理のメリットとデメリット

もう7月も終わり,8月に入りますね。

やっと梅雨が明けましたが,コロナの問題はまだまだ続いています。

 

前回は,任意整理手続,自己破産手続及び個人再生手続といった債務整理手続について書きましたが,今回は,任意整理のメリットとデメリットについて書いてみたいと思います。

 

前回のおさらいになりますが,任意整理手続は自己破産や個人再生とは違って裁判所を利用しない手続であり,各債権者と個別に利息制限法の引直し計算後の債務残高について,分割払い等の支払交渉を行う手続です。

 

【任意整理のメリット】

①法的手続ではないので,簡易かつ柔軟な交渉と和解契約が可能です。

②あくまで各債権者と個別に交渉するのが原則ですので,裁判費用がかかりません(ただし,債権者が訴えを提起してきた場合はその対応のための費用が必要にはなります。)。

③引直し計算の結果,過払金があった場合は,任意整理手続と並行して,過払金を裁判上または裁判外のどちらでも請求できます。

④自己破産手続と異なり,資格制限が問題となりません。

⑤自己破産手続における免責不許可事由があっても,任意整理を行うことができます。

 

【任意整理のデメリット】

①あくまで返済することが前提となりますので,債務が残ってしまいます。

②引直し計算による金額までは元本を減額できることが多いですが,それ以上の減額は困難です。

③貸金業者によっては分割払いを一切認めないところがあったり,1年以内や数回での分割払いなど短期間の和解契約しか応じないところがあります。

④通常は,支払期間が3年から5年(場合によってはそれ以上)に及ぶので,途中で挫折する事案もあります。

その場合は自己破産手続に移行せざるを得ませんが,2度手間になってしまうことになります。

 

任意整理を検討する際は,現在の収支を確認して,返済可能額を算出し,無理のない返済計画を立てるのがよいと思います。

現在債務がある方で,従前の計画だと返済が難しくなってしまった方は,収入がゼロになったり預貯金がゼロになる前に,返済計画の見直しという観点からも弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。