個人再生について

9月も終わりが近づき,気が付けば今年もあと3か月ほどになりました。

過ごしやすくなってきましたね。

前回は,自己破産のメリットとデメリットについて書きましたが,今回は,個人再生について書いてみたいと思います。

 

個人再生とは,端的に説明すると,現在の資産や今後の収入では,すべての債務の返済が困難という状態の方が,裁判所に,税金や養育費などの例外を除く,全ての債務の返済額を大幅に免除してもらい,分割で支払っていく手続です。

免除後の債権額がいくらになるかは債権額によって変わりますが,5分の1程度に圧縮されると説明されることが多いです。

支払期間は原則3年間,36回の分割払いで行い,特別な事情がある場合には,裁判所の許可をもらって最長5年,60回の分割払いとすることができます。

 

個人再生の手続は,大きく分けて2つあります。

個人再生には,小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続があります。

小規模個人再生が原則的な手続であり,給与所得者等再生が特則という関係になっています。

 

小規模個人再生では,裁判所に申し立てた後,債務を大幅に減額することについて,債権者の意見を聞くことになります。

そして,債権者の頭数で過半数,もしくは債権総額の過半数相当額を有する債権者が積極的に反対意見を出した場合は,小規模個人再生を続けることができなくなります。例えば,債権者が3社いて,債権の総額が500万円だった場合,債権者の内2社が反対するか,250万0001円以上分の債権を有する債権者が反対した場合は,小規模個人再生を続けられません。

 

給与所得者等再生においては,債権者の意見を聞くことなく手続を進めることができます。

ただし,債権者の意見を聞かない代わりに,もうひとつ条件が増えることになります。

返済すべき額が,可処分所得の2年分となります。

可処分所得の2年分を返済するというのは,簡潔に言うと,今の収入で2年間かなり切り詰めた生活をした場合に余る金額を返済するということです。

可処分所得の2年分の金額を計算してみると,最終的な返済額が,小規模個人再生の場合より高額となってしまう場合があります。

そのため,小規模個人再生が利用できそうなら,小規模個人再生を利用するのが一般的です。

 

債権者の数や各債権者の債権額によって,小規模個人再生か給与所得者等再生ののどちらになるかの見通しを立てやすいと思います。

どちらの手続になるか微妙な場合は,弁護士に相談することをおすすめします。