10月も終わりが近づき,肌寒くなってまいりました。
急激に気温が下がってきておりますので,体調管理には気を付けたいところです。
前回は,個人再生について書きましたが,今回は,年金担保貸付制度について書いてみたいと思います。
年金担保貸付制度は,国民年金や厚生年金保険に基づく年金受給権を担保として融資を受けることが法律で唯一認められた制度です。
保健・医療,介護・福祉等の支出のために一時的に小口の資金が必要な場合に利用することができます。
だれでも融資することができるわけではなく,独立行政法人福祉医療機構のみが実施することができます。
年金担保貸付制度は,公的機関が行う公的年金を担保にした唯一の貸付事業ですが,令和4年3月末で申込は終了となり,年金担保貸付制度は廃止されることとなりました。
廃止の理由としては,そもそも年金担保貸付制度は,年金受給者が一時的に資金が足りなくなった場合に,年金を受け取る権利を担保として小口の資金の貸付けを行う制度として利用されていました。
しかし,生活に余裕がなくて借りた場合,生活費に充てるべき年金を返済に充てなければならなくなってしまうため,いざ返済が始まると生活が困窮してしまいます。
また,返済方法は,本来もらえる年金額から返済分が差し引かれて振り込まれます。
そのため,返済額を差し引いた残りの年金しか受け取れません。
さらに,自己破産しても免責の対象とならないため,年金担保の返済も引き続きしなければなりません。
そこで,利用者の困窮化を防ぐために,年金担保貸付制度が廃止されることとなりました。
自己破産を検討されている方で,年金担保貸付を利用されている方は,免責の対象とならないので注意が必要です。
弁護士に相談される際は,忘れずに申告するとよいでしょう。
以上