東京で『交通事故』に強い弁護士

死亡逸失利益と生活費控除

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2021年7月19日

1 死亡逸失利益とは

死亡逸失利益とは、交通事故の被害者が死亡したために、交通事故に遭わなければ、就労して得られたはずの給与等の利益を失ったことによって発生する損害のことです。

2 死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益の計算方法は、被害者が死亡しなければ就労したであろう期間における収入から、生活費相当額と中間利息相当額を控除します。

死亡逸失利益の具体的な金額は、次の計算式によって定まります。

死亡逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

3 生活費相当額が控除される理由

生活費相当額が控除される理由は、衡平の理念、すなわち、加害者側、被害者側の双方に不当な利得を与えないためと考えられています。

4 生活費控除率

被害者が支出したであろう生活費相当額は、実際に支出した金額ではなく将来の支出が予想される金額ですから、具体的な金額を算定することは不可能です。

被害者の生前の生活費を証拠に基づいて計算する方法や統計資料によって計算する方法も考えられますが、損害賠償額を迅速に算定する観点から、定型化が図られています。

そのため、多くの裁判例は、被害者の性別、扶養者の有無、扶養者の人数等を考慮して、収入額に対する一定の割合を生活費とみなす方法を採用しています。

この収入額に対する一定の割合のことを生活費控除率といい、生活率控除率は、概ね、次のように考えられています。

  1. ⑴ 一家の支柱(被扶養者が1人の場合):40%
  2. ⑵ 一家の支柱(被扶養者が2人以上の場合):30%
  3. ⑶ 男性(独身・幼児を含む):50%
  4. ⑷ 女性(主婦・独身・幼児を含む):30%

5 適切な死亡逸失利益を受け取るために

生活費控除率は、上記4のように予め一律に決まっているわけではなく、被害者ごとの個別・具体的な事情によって変わることもあります。

例えば、被害者死亡後に被扶養者の父が死亡したケース、事故時に被害者が扶養している子が経済的に自立する予定であったケース、事故時に被害者が婚約していたケース、被害者死亡後に子が誕生したケース等、上記4の割合が不当であるとして争われることも考えられます。

弁護士法人心 東京法律事務所では、交通事故による損害賠償請求事件を多数扱っておりますので、死亡逸失利益についてお気軽にご相談ください。

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死亡事故における逸失利益

1 死亡事故が発生すると

死亡事故が起こった際の,遺族の悲しみは計り知れません。

昨日まで生きていた人がこの世のどこにもいないという現実を受け入れることが困難な方も多くいらっしゃいます。

もっとも,現実には被害者の方が扶養していた遺族の生計をどう立てていくかという大きな問題に直面することも多いです。

そこで,死亡事故における逸失利益について解説します。

2 死亡事故における逸失利益とは

死亡事故における逸失利益とは,本来被害者が生存していれば得られたであろう利益のことをいいます。

算定方法は,基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数となります。

以下,項目ごとに解説します。

  1. ⑴ 基礎収入

    ア 給与所得者である場合,原則として事故前の収入を基礎とします。

    イ 事業所得者である場合,基本的には,申告所得を参考にします。

    ウ 家事従事者である場合,基本的には,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とします。

    エ 学生・生徒・幼児である場合には,基本的には,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,男女別全年齢平均の賃金額を基礎とします。

    もっとも,女子年少者については,全労働者(男女計)の全年齢平均を基礎とすることが一般的です。

    オ 高齢者の場合は,就労の蓋然性があれば,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,男女別,年齢別平均の賃金額を基礎とします。

    就労の蓋然性がない場合,年金受給者であれば,年金額を基礎とします。

    カ 失業者の場合,労働能力及び労働意欲があり,就労の蓋然性があるものは基本的には再就職によって得られるであろう収入を基礎とします。

  2. ⑵ 生活費控除率

    被害者が生存していた場合でも,生活費は消費するため,生活費を控除した金額が逸失利益の算定基礎となる金額となります。

    したがって,前記⑴基礎収入に生活費控除率を乗じます。

    裁判例上はおおよそ以下のとおりとなります。

    ア 一家の支柱

    被扶養者1人の場合,40%。

    被扶養者2人の場合,30%。

    イ 女性(主婦,独身,幼児を含む)の場合,30%。

    ウ 男性(独身,幼児を含む)の場合,50%。

  3. ⑶ 就労可能年数

    原則として67歳までとなります。

    67歳を超える者については,簡易生命表の平均余命の2分の1とします。

    67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる者については,平均余命の2分の1とします。

  4. ⑷ 中間利息控除

    将来得られる収入分を,現在取得できることになるため,中間利息を控除します。

    要するに,将来もらえるはずの金銭を現在の価値で評価しなおすのです

    ライプニッツ式を用いて算出することが多いです。

3 具体例

給与所得者,男性,事故前の年収500万円,一家の支柱,被扶養者2人,死亡時の年齢47歳の事案で計算します(同種の事案でも個別の内容によって結論が異なる場合があります)。

基礎収入500万円×(1-0.3=0.7)×12.4622(67歳-死亡時の年齢47歳=就労可能年数20歳に対応するライプニッツ係数)=逸失利益4361万7700円となります。

4 弁護士法人心 東京法律事務所

弁護士法人心 東京法律事務所では,交通事故案件を得意とする弁護士が多数在籍しております。

交通事故でお困りの方は弁護士法人心 東京法律事務所にご相談ください。

逸失利益の生活費控除の計算例

1 生活費控除とは何か?

交通事故によって被害者がお亡くなりになってしまった場合,ご遺族は加害者に対して,逸失利益の支払いを求めることができます。

逸失利益とは,交通事故に遭わなければ,被害者が将来得られるはずであった収入のことをいいます。

もっとも,被害者がお亡くなりになった場合,将来得られるはずであった収入は失いますが,それと同時に,もし生きていれば支払うはずであった生活費を支払わないことにもなります。

そのため,裁判所は,もし生きていれば支払うはずであった生活費を逸失利益から控除します。

このことを,一般的に生活費控除といいます。

2 どの程度控除されるのか?

生活費がどの程度控除されるのかについて,裁判所は一定の目安を設けています。

被害者が一家の支柱であり,被扶養者が1名の場合には40%,被扶養者が2名以上の場合には30%とされています。

被害者が一家の支柱以外であり,その方が女性の場合には30%,男性の場合には50%とされています。

3 計算例

被害者がお亡くなりになった場合の逸失利益は,「基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」によって計算します。

例えば,一家の支柱である被害者の年収が500万円であり,その方の扶養している家族が2名いて,退職まであと10年であったという場合で計算してみます。就労可能年数が10年である場合のライプニッツ係数は7.7217なので,計算式は500万円×(1-0.3)×7.7217≒2702万円となります。

そのため,この場合の逸失利益は約2702万円となります。

4 交通事故は弁護士法人心にご相談ください

裁判所が設けている生活費控除率はあくまで目安なので,個別具体的な事情によって変わります。

詳細な主張・立証が出来ないと,満足のいく生活費控除率が認定されない可能性もあります。

当法人には,交通事故に強い弁護士が多数在籍しております。ご家族が亡くなってしまった場合など,交通事故でお困りの方は,ぜひ一度,当法人までご連絡をください。

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