東京で『交通事故』に強い弁護士

症状固定と病院代の関係

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年10月11日

1 交通事故被害者の病院代は誰が支払う?

交通事故に遭った場合、交通事故被害者の病院代は、原則的に、加害者側が支払うべきものです。

加害者が任意保険に加入している場合には、多くの場合、加害者側の任意保険会社から、被害者が通院する病院等に対して、直接支払いがなされます(これは「一括対応」と呼ばれます)。

このように、加害者側の任意保険会社が一括対応してくれている場合、交通事故の被害者が病院代の支払いをする必要はありません。

しかしながら、交通事故の被害者にもある程度過失がある場合、過失割合に争いがある場合、車がほとんど壊れていないような場合等には、加害者側の任意保険会社から一括対応を受けられない場合があります。

このような場合は、いったん交通事故の被害者が病院代を立て替え、後で加害者側に請求していくこととなりますが、最終的には、加害者側が支払うべきものです。

2 症状固定と病院代の関係

病院代は、いつまで交通事故の加害者側に支払ってもらえるのでしょうか?

この点、症状が続く限り永遠に支払ってもらえるわけではなく、これ以上治療しても改善の可能性がなく「症状固定」と診断された場合、症状固定以降の病院代は、原則として、加害者側が支払う必要はなくなります。

なお、ここで注意すべきなのは、症状固定以降の病院代は加害者側が支払う必要がないのが原則となることとの関係で、加害者側の保険会社が早めに医師に「後遺障害の診断書」を書いてもらうことをすすめられることがあることです。

「後遺障害の診断書」の中には「症状固定日」の記載欄があるので、被害者がこれを病院にもっていけば、多くの医師は症状固定日を診断書の中に明記することになります。

症状固定日が記載されてしまうと加害者側の保険会社が病院代を支払うのも中止されますが、そこをきちんと説明しないまま「後遺障害の診断書」を医師に書いてもらうように強くすすめてくる保険会社の担当者がいますので、安易に医師に「後遺障害の診断書」を書いてもらうことを依頼しないように注意が必要です。

もっとも例外的に、症状固定以後の病院代であっても、交通事故により重度の後遺障害が残り、症状の内容、程度、治療の内容により、症状の悪化を防ぐ等の必要がある場合等には症状固定以後の病院代がいわゆる「将来の治療費」として認められる場合もあります。

ただし、あくまで例外であり、原則的には、症状固定以後の病院代は加害者側からは支払われなくなります。

3「病院代支払いの打ち切り=症状固定」ではない

加害者側の任意保険会社から、「症状固定になったので病院代の支払いを打ち切ります」と通告されることがあります。

この場合には注意が必要です。

症状固定になったか否かは、事故内容や症状、治療経過等の諸般の事情を考慮して、医師の意見を踏まえて決められるべきもので、任意保険会社が一方的に決定できるものではありません。

この場合、医師に相談してください。

医師の意見も参考にして、未だ症状改善の可能性があるのであれば、症状固定には至っていない可能性があります。

この場合は、加害者側の保険会社からの一括対応は終了となるため、打ち切り以降の病院代は被害者が一旦立て替えることとなりますが、打ち切られてから症状固定までの病院代は、後に加害者側に請求すれば支払われる余地があります。

4 病院代について弁護士に相談したほうがよいケース

⑴ 一括対応を拒否されている場合

一括対応を拒否されている場合は、一度弁護士にご相談ください。

先に述べたように、交通事故の被害者にもある程度過失がある場合、過失割合に争いがある場合等には、加害者側の任意保険会社から一括対応を受けられない場合がありますが、その場合でも、なるべく交通事故の被害者の負担が少ない形で通院できる方法をご提案できるかもしれません。

具体的には、次のような方法が考えられます。

ア 加害者の自賠責保険

加害者の任意保険が病院代の支払いをしてくれない場合、被害者がいったん病院代を立て替え、後に加害者の自賠責保険に直接病院代等の支払いを請求することが出来ます(これを、「被害者請求」といいます)。

ただし、傷害については上限が120万円です。

イ 健康保険の使用

交通事故の治療でも健康保険を使うことが出来ます。

一旦被害者自身が病院代を立て替える場合、健康保険を使用する場合は3割負担で治療を受けることが出来ます。

ただし、「第三者行為災害の届出」(保険組合によって多少呼び方は異なります)を出す必要があります。

ウ 労災

仕事中の事故あるいは通勤途中の事故の場合、労災保険を使用することができます。

なお、労災が使用できる場合は健康保険を使用することはできないので、注意が必要です。

エ 人身傷害保険

最近ではほとんどの車両保険に付帯されているのが人身傷害保険です。

人身傷害保険の良いところは、自身の過失に関係なく病院代等の支払いを受けられるという点です。

自身に何割かの過失がある場合、加害者の任意保険会社は病院代等の支払いを拒否してくることが多いですですが、人身傷害保険に加入していれば、一旦人身傷害保険から医療機関に直接病院代等の支払い等をしてもらえます。

⑵ 一方的に病院代の支払いを打ち切られた場合

未だ症状固定に至っていないにもかかわらず一方的に病院代の支払いを打ち切られた場合も、一度弁護士にご相談ください。

事故内容、症状、治療経過等によりますが、弁護士が延長交渉をすることで支払いが伸びるケースもございます。

交通事故でお困りの方は、弁護士法人心 東京法律事務所に一度ご相談ください。

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