不倫慰謝料
不倫慰謝料請求の流れ
1 不倫慰謝料・請求側の流れ
不倫慰謝料を請求する場合は、まず請求したい相手に対して、請求者は自分の配偶者と第三者の不貞行為を把握しており、その事実が民法上の不法行為にあたり請求者に賠償請求権を発生させるのでこれを行使する意思があること、具体的な請求額や支払方法の指定等を内容とする書面を送付して通知するのが通常です。
確実に到達させ、通知した内容を記録にとどめておくために複数の通知方法を使用する等して工夫します。
請求者が請求相手である自分の配偶者や不定相手の第三者に対し既に接触し、慰謝料請求の意思を伝えている場合は適宜内容を調節しますが、この通知以降は基本的に当事者同士の接触や連絡は止め、弁護士が代理人として交渉対応をすることになります。
それにより感情的衝突を避け、冷静な議論による解決を目指すのみならず、請求者が不貞問題の交渉に直接関わることによる精神的負担や日常生活への悪影響を回避することになります。
請求相手が事実を認め条件面での交渉を望む場合は、弁護士はそのまま折り合いをつけられるまで対応し、解決策が合意できればこれに法的効力を与えるための合意書を作成し取り交わして、以後入金管理(特に分割払いを認めた場合)にあたることになります。
請求相手が合意内容を守らない場合には適宜法的手段を利用して取り立てを試みます。
請求相手が事実を認めず交渉に応じない場合には、請求者の手持ちの証拠によって不貞の事実を裁判所に認めてもらえる可能性が十分か慎重に判断し、法的手段を利用して請求相手に対する慰謝料の支払命令や財産差し押さえを目指します。
また、請求相手にめぼしい財産がある場合は、これが隠される等しないようにする手立ても検討します。
2 不倫慰謝料・被請求側の流れ
慰謝料請求は突然に来ます。
弁護士からの通知書とは限らず、不貞相手の配偶者(相手方)からの電話・メール・手紙等が送られてくることもあれば、最悪あなたの職場に相手方が押しかけてきたり、不定相手とともにどこかに呼び出されたりということもあるでしょう。
こうした請求に対してご自身で対応する方もいますが、当事者同士の接触は予測のできない暴力沙汰等の新たなトラブルを引き起こす可能性がありますし、相手方が弁護士に相談しつつ自分自身が交渉することを選んだのでない限り、示される解決案は常識外れの内容であったり法的に効力の認められない形式であったりすることもあるので、きちんとした決着をつけたいのであれば早期に弁護士に相談し代理人として交渉させるのが望ましいです。
そして、無関係の人を紛争に巻き込むことを避けるため、自宅や職場といった事情を知らない家族や第三者がいる場への訪問・連絡、ネット掲示板やSNSでの個人情報を伴う情報拡散等を互いに自制することを約束して交渉を進めることが通常です。
相手方と解決案の合意ができれば書面を取り交わすのは請求側と同じですが、その合意内容で本当に全面解決となるのか、後日追加の請求を受ける可能性はないのか、法的義務を負うことになる被請求側は合意の前に一層慎重な検討をする必要があります。
そもそも請求に理由がなかったり、不貞はあったものの相手方との交渉が決裂したりした場合には、最終的な決着には法的手続を利用することもあり得ます。
多くの場合は相手方が提起する訴訟に対応し、事実を争ったり穏当な和解の可能性を探ったりしますが、制度上は慰謝料を請求された側が裁判所の判断を求めることも許されるので、相手方の出方に応じ最良の対応とそのタイミングを計っていくことになります。そうして被請求側にとって有利な結論、不貞を否定する判決や適正な慰謝料額に抑えた和解等を目指します。