東京で弁護士をお探しなら【弁護士法人心 東京法律事務所】まで

弁護士法人心 東京法律事務所

相手方が遺留分侵害額請求に応じてくれない場合の対処法

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年6月22日

1 請求の意思を明確に表示する

遺留分を主張するという意向を示したものの、相手方が遺留分侵害額請求に応じないということは、しばしば起こることです。

このような場合には、前提として、請求の意思を明確に表示しておく必要があります。

遺留分侵害額請求権については、遺留分が侵害されている事実を知ってから1年が経過すると、消滅時効が完成し、権利主張ができなくなるとされています。

遺留分侵害額請求権の消滅時効が完成するのを防ぐためには、1年の期間が経過するまでに、相手方に対して、遺留分侵害額請求権を行使する意思を明確に表示する必要があります。

この点、相手方に対して、口頭で遺留分侵害額請求権を行使すると告げていただけだと、後日、遺留分侵害額請求権を行使する意思を明確に表示していたかどうかが争われ、最悪の場合、消滅時効が完成していることとされてしまうおそれもあります。

消滅時効の完成を防ぐには、1年の期間が完成するまでに、相手方に書面を送付しておき、権利を行使する意思を表示したことを明確にしておくべきでしょう。

この際には、相手方がいつ、どのような書面を受け取ったかを記録に残すため、内容証明郵便で書類を送付するべきでしょう。

こうしておけば、後日、消滅時効が完成しているとの主張がなされるリスクを避けることができます。

2 調停・訴訟手続を利用する

相手方が話合いに応じない場合には、法的手続によって解決を図るほかありません。

遺留分侵害額請求については、法律上、調停を前置しなければならないとされています。

つまり、地方裁判所(請求額が140万円未満の場合は簡易裁判所)で訴訟を提起する前に、家庭裁判所で調停申立を行い、話合いをベースとする解決を試みなければならないとされているのです。

調停とは、家庭裁判所において、家庭裁判所の調停委員を介して、話合いをベースとする解決を試みる手続のことを言います。

話合いをベースとしますので、お互いの意見を調整し、合意に至ることができなければ、調停は不成立となり、終了することとなります。

調停が不成立となった場面には、地方裁判所で訴訟を提起し、訴訟手続による解決を図ることとなります。

訴訟だと、途中で和解手続によりお互いの意見調整が試みられることも多くあります。

しかし合意に至らなければ、裁判所が判決をもって結論を示すこととなります。

判決が示され、これが確定すれば、法律上、相手方は支払を拒むことはできません。

先述のとおり、法律上は、地方裁判所で訴訟を提起する前に、家庭裁判所で調停手続による解決を図らなければならないこととされています。

しかし、現実には、過去の交渉経緯から、相手方との話合いによる解決が到底望むことができず、話合いをベースとする調停手続を用いたとしても解決に至ることが期待できない場合があります。

このように、話合いによる解決が到底望めない場合には、調停手続を減ることなく、最初から訴訟提起を行ったとしても、そのまま、訴訟手続を進めることができる場合もあります。

3 相手方の財産に対して強制執行をする

調停が成立したり、判決が確定したりしたにもかかわらず、相手方が支払わないことがあります。

このような場合には、相手方が有している財産について、強制執行の手続を取ることができます。

例えば、裁判所の決定に基づいて、相手方が有している不動産を売却して、売却代金をもって支払に充てたり、相手方が有している預貯金を差し押えて、払戻金をもって支払に充てたりすることができます。

強制執行の手続は、地方裁判所に強制執行の申立書を提出することによって進めることができます。

差押の対象が不動産や自動車の場合は、強制執行の申立を行うにあたり、地方裁判所に予納金を納める必要があります。

予納金は、強制執行の手続費用に充てるために、裁判所にあらかじめ納めておく金銭のことを言います。

予納金がいくらになるかは、裁判所や物件次第でまちまちですが、例えば戸建住宅について、60万円の予納を求められたケースがあります。

  • 電話法律相談へ
  • 選ばれる理由へ
  • 業務内容へ

弁護士紹介へ

スタッフ紹介へ