相続放棄をするときに他の相続人の同意は必要ですか？

遺産分割協議の場合は、相続人全員が合意して行う必要があります。

これに対し、相続放棄の場合は、各自が行うことができます。

相続放棄を行うにあたり、他の相続人の同意を得る必要はありません。

そもそも、相続するかどうかについては、各相続人が自由に意思決定すべき事項であると考えられているからです。

このため、他の相続人が相続放棄に反対していたとしても、他の相続人の意見に関係なく、相続放棄を行うことができます。

このように、法律上は、相続放棄を行うにあたり、他の相続人の同意は不要であることとなります。

相続財産について、現に現金や預貯金を所持していたり、不動産を管理していたりすることがあると思います。

このような場合、所持している現金や預貯金、管理している不動産については、どうすれば良いのでしょうか？

法的には、相続放棄の時点で、現に占有している相続財産については、相続放棄を行ったとしても、自己の財産と同程度の注意義務をもって管理する義務があるとされています。

このため、相続放棄を行ったとしても、所持している現金や預貯金、管理している不動産については、管理責任が発生する可能性がありますので、他の相続人への引き継ぎを行った方が良いと考えられます。

このような場合には、相続放棄を行ったとしても、事実上、他の相続人との間で、やり取りを行った方が良いと考えられます。

また、このように財産の引き継ぎや管理が問題になる場合は、他の相続人としても、自身で財産を管理するかどうか、相続放棄をするかを判断するためにも、相続放棄をした人がいるかどうかを知りたいところだと思います。

ある程度関係のある相続人でしたら、同意を得ることまではしないとしても、相続放棄を行ったことを伝えておいた方が、今後の親族関係の点からも望ましいことがあると思います。