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自己破産における生命保険の扱い

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2023年11月16日

1 自己破産と生命保険

自己破産手続きに関して、生命保険の取扱いに影響が出る場合があります。

自己破産手続きにおける生命保険の取扱いについての概要をご説明いたします。

2 自己破産手続きに生命保険が関係する理由

自己破産手続きは、簡単に言えば、手持ち財産を現金化し、その限度で債権者に返済(配当)をし、残った債務の返済義務の免除決定を求める手続きとなっています。

ここで、生命保険についても、財産として現金化する必要が出てくる場合があるため、その取扱いが問題とされることになります。

3 生命保険に影響がない場合

上記2のとおり、生命保険が自己破産手続き上問題となるのは、現金化すべき財産性を有する場合です。

そのため、いわゆる掛け捨ての生命保険契約の場合、契約をしているか否かは通常大きな問題とならないため、特に問題とされることなく契約を維持できる場合が多いです。

4 積立型の生命保険と自由財産拡張

では、積立型の生命保険については一律解約して現金化することになるか、といえば、そういうわけでもありません。

積立型の生命保険の取扱いについては、「自由財産拡張」が認められる場合があるためです。

上記2で示した通り、自己破産手続きは、手持ち財産を現金化し、債権者に分配する手続きですが、1円残らずすべてを手放すことになるわけではありません。

ある程度の範囲については、今後の生活等に必要なものとして、手元に残せる仕組みになっています。

東京地裁では、見込み額20万円以下の生命保険の解約返戻金については原則として換価しないという運用基準を設けていますので、加入したばかりで解約返戻金が20万円に満たない生命保険については、自己破産手続きにおいても解約等の手続きは原則必要とされません。

20万円を超える場合については、自由財産拡張を認めてよいか否かについて、事案ごとの判断を求められることになります。

一応の目安として、他の財産含めて99万円以内の範囲であれば比較的柔軟に認められている傾向はありますが、持病等があって解約すると再加入が難しい等といった事情がないと拡張が認められない、という判断となることもあります。

5 財団組み入れと放棄

拡張が認められないと判断された場合に生命保険の契約を維持する方法の1つとして実務上利用されている方法として、財団組み入れと放棄を利用するというものがあります。

イメージとしては、生命保険を解約した場合に戻ってくる解約返戻金と同額を現金で追加支出することで生命保険を買い取るようなものとなります。

生命保険を解約して現金化されたのと同額を配当の対象となる財産にすることで債権者を害することがないことや、生命保険の解約に手間や時間がかかること等から、このような方法が採られることがあり、これによって生命保険を維持することができるようになります。

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