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弁護士法人心 東京法律事務所

相続放棄の期間

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2024年4月11日

1 「熟慮期間内」しか相続放棄はできない

期限なくいつまででも相続放棄ができると、利害関係者や他の相続人が困ってしまいます。

そこで、法律では相続の承認・放棄の意思表示をすることができる期間を一定期間に制限し、その間に相続の承認・放棄の意思表示がされないときは、単純承認をしたものとみなす扱いにしました。

その期間を「熟慮期間」といい、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」とされています。

なお、熟慮期間を延長するためには、裁判所に申立てをする必要があります。

参考リンク:裁判所・相続の承認又は放棄の期間の伸長

2 「自己のために相続の開始があったことを知った時」の意味

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」は、単に被相続人が亡くなったことを知った時ではありません。

裁判所の判例では、「相続人が相続開始の原因たる事実の発生を知り、かつ、そのために自己が相続人となったことを覚知した時」とされています。

つまり、①被相続人が亡くなった事実と、②自分がこの者の相続人であるという事実を知った時を意味します。

3 相続財産の存否の認識が無かった場合

①被相続人が亡くなった事実も、②自分がこの者の相続人であるという事実も知っているけれども、相続財産の中に借金があることを知らなかった場合はどうでしょうか。

判例では、「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じるについて相当な理由があると認められるとき」は、相続人が、「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識すべき時」から熟慮期間が始まるとされています(最判昭和59年4月27日)。

参考リンク:最高裁判所判例集

つまり、最高裁判所の考え方からすると、「相続財産がまったく存在しない」と相続人が信じた場合に限定されていますので、例えば相続財産として預貯金や実家の家土地があることは知っていたが、借金のみ知らなかったというような場合は、熟慮期間は延長されないことになります。

ただ、裁判例の中に、財産的価値がほとんど無いプラスの相続財産が一部存在することを知っていたが、借金はまったく存在しないと信じていた場合は、期限が始まる時点を、その相続人が借金の全部または一部の存在を認識することができる時からに延長すべきと判断したものもあります(東京高決平成19年8月10日)。

したがって、借金の存在が後からわかった場合でも、諦めずに一度、相続放棄に詳しい弁護士にご相談ください。

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