交通事故における過失認定

交通事故のご相談を受けていると、やはり過失についてのご相談は少なくない印象があります。

弁護士実務、裁判実務で過失割合がどのように決まっていくのか、概要について簡単にご紹介いたします。

交通事故は、技術の向上等に伴い、年々減少傾向になっていますが、それでもまだまだ数は多く、裁判も歴史的にかなりの件数となっています。

その結果、ある程度、どのような事故であればどの程度の過失割合で解決されているのかの情報が集積されてきています。

例えば交差点における車同士、青信号同士の右折対直進の事故では2:8、優先道路と交差する道路での直進対直進の事故では1:9等、抽象的な事故状況から話し合いの土台となる基本的な過失割合をまず考え、そこから事故ごとの個別の事情を踏まえて修正し、最終的な過失割合を決めていくような方法が基本となります。

上記右折対直進の事故でいえば、通常は右折車がウインカーを出すことを想定しています。合図せずに曲がった場合とそうでない場合の過失は同じではないと考えると、これを右折車側に10%不利な事情として修正し、1:9となる、というようなイメージです。

もちろん、事故態様は千差万別ですから、似たような事故が必ずしも同じ過失割合になるとは限りません。

他方、同じような事故なのにある判決では3:7、ある判決では0:10といった判断では、当事者としても納得はできないでしょう。

そのため、過去の裁判等を踏まえた判断が出される傾向があり、ある程度基本となる過失に近い結果の判断となることが多くなるのかなと思います。

また、上記のウインカーを出していなかった、という事実は、例えばドライブレコーダーに写っていればはっきりしますが、本人の記憶だけでは何とも言えません。

「あの時ウインカー出してなかっただろ!」「いや、間違いなく出していた!」と言い合ってもなかなか決定的なものとはなりません。

事情があれば過失割合は修正される、というより、「事情が証拠等により認定されれば」修正される、ということも、実際のイメージと異なってくるところかもしれません。