蝶々

法律用語として「相当因果関係」というものがあります。

ニュアンスが異なってはきますが、民事事件でも刑事事件でも出てくる用語で、基本的には、単に因果関係というよりも、「相当」といえる範囲に限定するもの、ということができます。

「ある行為が結果につながっているのは当たり前ではないか」と思うかもしれません。

ただ、なんでもかんでも因果関係があるとするのであれば、「風が吹けば桶屋が儲かる」ではありませんが、際限がなくなってしまいます。

そのため、これを妥当な範囲に絞ろうというのが、相当因果関係の考え方といえます。

今のところ弁護士実務、裁判実務などで基本的に取られている考え方といってよいかと思います。

では、「相当」とされる因果関係はどこまでか。

結局はここが評価、解釈の問題となり、紛争の場面においては争点となっていきます。

責任を問う側(賠償請求等する側)からすれば、その範囲は広い方が望ましく、責任を問われる側(罪等に問われる側)からすれば、その範囲は限定的である、と主張したいわけですね。

「風が吹けば桶屋が儲かる」と似たようなものとして、「バタフライエフェクト」というものがあります。

ブラジルにいる蝶々の羽ばたきが本当に竜巻を起こすのかはわかりませんが、もしテキサス州で起きた竜巻被害の責任を問われるとすれば、さすがに酷だろうな、と思うところです。

年末

年の瀬ですね。

ワクチンの普及はある程度進みましたが、結局コロナ収束とはなりませんでした。

こればかりはどうなっていくのかわかりません。

ウィズコロナ、難しい時代です。

資格試験

行政書士試験が行われます。

所内の方にも受験される方がいるようで。

頑張ってください!

自己破産手続きと感染症対策

自己破産の申立てをすると、免責審尋や債権者集会等、裁判所に出頭する必要のある場面があります。

とはいえ、コロナ禍の状況下でどうするべきか、という問題があります。

流動的ではありますが、現在は免責審尋や債権者集会への出頭を免除されることが少なくありません。

裁判所の方でも、蔓延防止のための種々の配慮をしていただいている状況となっています。

また、横浜地裁の方では、従前行っていた「早期面接制度」という手続きを一時的にストップしており、申立て後の接触を減らすことができるようにしています。

さらに、管財事件の場合に開催されることになる債権者集会について、非招集型という手続きも導入されています。

事案に応じての対応になるため全件で実施されるわけではないようですが、配当財産がなく、債権者の出席も予定されていないと見込まれるような事案において、債権者集会を開催せずに手続きを終結できるような仕組みを導入しています。

少しずつワクチンが普及してきているといったよいニュースがある一方で、変異株に関するニュースが出るなど、まだまだ予断を許さない状況が続いています。

対面でのご相談等にご不安を感じるようなことがあるようでしたら、お気軽におっしゃってください。

むち打ち損傷

頚椎捻挫,頸椎症,頚椎症候群。いわゆるムチウチです。

特に追突事故で受傷される方が多いと思います。

これまで弁護士として少なからず交通事故の案件にも関わってきましたが,世の中の追突事故の多さに驚かされました。あくまで体感ではありますが,3割くらいは追突事故の相談を受けてきたように思います。

 

無事に治療を終え,完治してしまえば後は慰謝料などの賠償の問題だけですが,症状が残存した場合には後遺障害の問題が出てきます。後遺障害は,通常,保険料率算出機構(下部組織となる自賠責保険調査事務所)に後遺障害の等級認定申請をし,後遺障害といえるかどうかを審査してもらいます。その結果を基本に交渉が進むのが一般的です。

後遺障害が認定された場合とされない場合とで賠償額は大きく変わってくるため,ムチウチの事案では重要なポイントとなってくるといっていいでしょう。

しかし,このムチウチの後遺障害の獲得というのが難問で,なかなか簡単にはいきません。

ムチウチに限った話ではありませんが,痛みやしびれといった症状自体が後遺障害認定の対象となっている場合(14級には「局部に神経症状を残すもの」という認定があります),基本的にその原因を直接的に証明できる物的証拠がありません。患者本人の訴えや症状の推移等から判断せざるを得ないわけです。この点が,ムチウチの後遺障害等級の獲得の難しいところです。

弁護士法人心のムチウチに関するサイトはこちら

当番弁護

当番弁護制度というものがあります。

刑事事件で身柄を拘束されてしまった方が早期に弁護士による弁護を受けられるよう,初回の接見を無料で行っている制度です。

弁護士には当番日が割り当てられており,その日に逮捕され身柄の拘束を受けた方のところへ出動します。

 

刑事事件では,基本的に早期の弁護活動が重要になってきます。

例えば,黙秘戦略といって,一切取り調べの際の質問に答えないような方針をとることがあります。その戦略をとる前に取り調べで黙っておくべきことを話してしまうかもしれませんし,そもそも捕まっている方はどういった方針をとるべきか否かの判断を仰ぐ必要があるでしょう。

当番弁護士として出動した後,そのまま勾留されて身柄拘束期間が延びる場合には,国選弁護人ないし私選の弁護人として引き続き刑事弁護を継続する場合もあります。

 

たしかに,逮捕されて身柄拘束を受ける場合にはそれ相応の理由があることが少なくありません。しかし,例えばお酒に酔って周囲のものを壊してしまった,痴漢に疑われたといった理由などで身柄拘束をされる可能性もあります。こういったことは,日常生活の中でいきなり降りかかってくる場合があります。

当番弁護制度という制度の存在については,頭の片隅に置いておいてもよいかもしれません。

組織力

企業で働く方も,公務員等と同じく,弁護士も,複数の取引先との間で仕事をしたり,何百人もの契約者の問題を扱ったりと,複数の業務を同時進行で行っています。

そうすると,各業務の進行管理も重要になってきます。しっかりとした現状把握と,状況に応じた対応をしていかなければなりません。

資料をコピーして郵便を出して,裁判用の書面を作って裁判所で尋問をして。個人事務所の先生の中には,事務員さんを雇わず,すべてを自分だけで行っていらっしゃる弁護士の先生もいらっしゃいます。

当法人はそれなりの規模になってきて,弁護士も,他の資格者も,サポートしてくれる事務員さんの数も随分と増えてきました。当法人では,基本的に受任してから案件終了まで各弁護士が最初から最後まで担当していますが,問題にぶつかったときに他の弁護士の意見を聞き,複数の視点から案件を見ることができることは刺激にもなりますし,得られる経験も大きくなるように思います。

基本的な業務の進行は弁護士ごとに多少異なりますが,自分自身,事務員さんに支えられ,弁護士にしかできない問題の処理や相談対応などに注力することができるので助かっています。

「マンパワー」なんて言葉もありますが,人数がいれば業務の効率化を図ることができますので,ある程度の件数を抱えることになっても,協力して進めていけるのは大きなメリットですね。組織力というのは本当に力強いものだなぁと実感します。

 

いつもありがとうございます。

元号

元号の変更が話題になっていますね。

さて,「元号法」というものをご存じでしょうか?

…弁護士の職務上法律とのかかわりが深いため,どうしても法律に関する話題となってしまうことはご容赦ください。

 

以下,元号法の内容です。

元号法

1 元号は,政令で定める。

2 元号は,皇位の継承があつた場合に限り改める。

附 則

1 この法律は,公布の日から施行する。

2 昭和の元号は,本則第一項の規定に基づき定められたものとする。

 

…附則も含めてたった4項しかありません。法律といえば何百条,ものによっては千条を超える膨大な法律条項をイメージされる方が少なくないと思います。

しかし,元号法をみれば,「何事にも例外はある」ということがよくわかりますね。

 

元号法の附則2項には,「昭和の元号は,本則第一項の規定に基づき定められたものとする。」と書かれています。つまりこの法律で初めて定められた元号は昭和である,ということになります。この法律はまだ2回しか出番がなかったようです。

そう考えると,新元号への改元は元号法上3度目の歴史的な瞬間,という見方もできます。

 

過去には2000年問題でパソコンに支障が出る,ということがあったので,元号の変更も業務上何らかの支障となるかもしれません。パソコンは今やデスクワークにおいて必須の存在となっていますから,あらかじめ十分準備しておきたいところです。

 

法律という側面からアプローチすると,少し違った見え方をすることがあります。

なお,弁護士だからといって公私問わず24時間何でもかんでも法的側面から物事を捉えている,という方はさすがにいらっしゃらない,と思います。。

公正証書

新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

今回は公正証書について。

公正証書というものをご存知でしょうか。

合意等についてより確実なものとするために,所定の手続を経て作成する書面です。

 

「公証人」という立場の方が書面作成に関与し内容を厳正に確認の上,原本は公証役場に保管されることになります。

このようにある程度厳格な手続きを経て作成されるものであることから,個人が作成した書面と異なる効果があります。

例えば,相続事件では,亡くなった方の作成した遺言が問題となることがありますが,ご自身で作成した通常の遺言(自筆証書遺言)と,公正証書としての遺言(公正証書遺言)では,法律上の取扱いが異なっていたりします。遺言について詳しくはこちら

ちなみに,民法上は,秘密証書遺言,という種類もあるにはあるのですが,あまり利用されていないようですね。

 

また,「執行認諾文言」のある公正証書を作成した場合,裁判を起こして判決を得ることなく強制執行等をすることができます。

 

弁護士の仕事というと,やはり裁判をイメージされる方が多いのかもしれませんが,案件の内容や状況により色々な方策を検討しています。公正証書の作成もその選択肢の1つとなることがあります。

年末年始

今年も終わりが近づいてきましたね。

年末年始はお仕事で忙しい方が少なくないのではないでしょうか。

また,忘年会等,飲み会の数も多くなる季節でもあります。

もしかしたら去年も話題にしたかもしれませんが,年末年始は交通事故のご相談が他の時期よりも多くなる傾向があるように思います。

年末年始の忙しい時期に,企業法務関係であればともかく,交通事故やら刑事事件やらで弁護士に相談しなければならない事態に陥る,というのはあまり気持ちの良い年越しではないのかな,思います。

飲酒運転は絶対にやめましょう。

 

ちなみに,飲酒運転については,酒気帯び運転と酒酔い運転が問題となることがあります。

「酒気帯び」というのは,体内に一定量以上のアルコールが入っている状態での運転を意味しますので,一定量を越えればどんなにお酒の強い方でも酒気帯び運転の罪に問われます。

他方,「酒酔い」というのは,酒に酔って正常に運転できない「状態」を指し,必ずしもアルコールの量に左右されるものではありません。

あまりないかと思いますが,お酒を1滴でも飲んで足元がふらつくほどに酔ってしまう体質の方がその状態で運転したとすると,酒気帯び運転ではないが酒酔い運転になる,というケースが一応考えられます。

 

なお,単に刑事罰だけでなく,行政罰(免許の違反点数などです)も当然付随します。

あまり羽目を外し過ぎることなく,良いお年をお迎えください。

確定拠出年金

確定拠出型年金というものをご存知でしょうか。

お勤め先の退職金について,一部ないし全部が確定拠出年金となっている方もいらっしゃるかと思います。

個人型確定拠出年金(iDeCoと聞けば「知ってる」,という方もいるかもしれません。)というものも少しずつ認知されてきているようですね。

この確定拠出年金ですが,基本的に差押禁止財産とされています。

差押禁止財産は,本来的自由財産とされます。

 

…さて,日常用語が少なくなってきましたね。破産手続等債務整理にまつわるお話となるのですが,少し説明を加えていきたいと思います。

破産手続において,自由財産というのは,簡単に言うと破産手続後も手元に残せる財産,といえます。

「本来的」自由財産というのは,手続を要せず当然に残る財産です。

確定拠出年金はその本来的自由財産ですので,破産手続の影響を受けずに残すことができます。そのため,車や家等々,色々なものを手放す覚悟をしていたところ,確定拠出年金のおかげで思ったより財産を残すことができた,ということもあります。

 

もっとも,「基本的に」と書いたように,確定拠出年金にはいくつか種類があり,規律する法律も異なります。差押禁止財産とならない確定拠出年金もありますのでご留意ください。このあたりは弁護士にご相談の上ご確認いただく必要があるかなと思います。

 

確定拠出年金はそれ自体税制優遇等メリットもあるみたいです。60歳までは積み立てた分は引き出せない,というデメリットもあるようですが。。

 

老後のご準備は計画的に。

非免責債権(ひめんせきさいけん)

自己破産が認められると,裁判所が,債務を支払いをしなくてよいですよ,という決定を出します。

これを免責決定といいますが,免責決定を受けても,支払いの義務を逃れることができない債務があります。

非免責債権と呼ばれるものです。

簡略化していますが,概ね以下のものが非免責債権となっています。

 

①租税債権

簡単に言えば税金です。支払いは国民の義務ですね。

②悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権

相手をだましてお金を借りたような場合,その借金の返済についてまで免責を認めるのは騙された被害者にとっては酷だといえるでしょう。

③故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく債権

例えば飲酒運転で交通事故を起こして大けがをさせてしまったが,お金を払うことができないので破産します,という自己破産は許されるものではないと思います。

④親族関係の債権

養育費や別居中の婚費の支払いなどです。

保護すべき権利と考えられているため,これも非免責債権となっています。

⑤雇用関係の債権

勤め先が破産した場合,未払いの給料が払われなければ困ってしまいます。

養育費等と同様,要保護性の高さから非免責債権とされているものです。

⑥債権者名簿に載せなかった債権

手続的な話となってしまいますが,債権者は破産を認めるか否かについて意見を出す機会が保障されなければなりません。債権者は事実上返済を受けられなくなるという大きな不利益を被るからです。この機会を奪われた債権者の権利は保護するという趣旨です。

⑦罰金等

本人に負担させるべきものとの考えから,これも非免責債権です。

 

主に政策的な理由から免責を認められていないものです。微妙に理由は異なってきますが,羅列してみると,免責されないこととされているのもうなずける部分はあるのではないかと思います。

ちょっと踏み込んだ内容になってしまったのですが,ざっくりいえば,「破産してしまえば何もかも支払わなくてよくなる,というわけではありませんよ」ということになるでしょうか。細かい話は弁護士から直接聞いたほうがよいと思いますが,ざっくりまとめてみました。

何かの参考になれば幸いです。

法的整理の資料収集

自己破産や個人再生などの裁判所を利用した法的整理の申立を行うにあたっては,いろいろと資料を集めなければなりません。

 

裁判所ごとに微妙に運用が異なり,必要書類も多少変わってきますが,主なものとして,申立前直近の家計表2か月分ないし3か月分(家計簿のようなもの),申立人名義の預金通帳の写し2年分,住民票,退職金規定(退職金の額がわかるもの),登記簿,不動産の査定書,給与明細,源泉徴収票等々があります。

…羅列しただけでも量が多いのがわかると思います。さらに,職務経歴や借入の経緯などについて等を記載した申立書,財産目録なども作成しなければなりません。

…なかなか骨が折れるかと思いますが,これらの資料は申立人自らそろえていただく必要があります(家計表の作成などはご本人にやっていただかなければなりませんし,個人情報に関わる書類は代理人を介するより本人による方がはるかに簡単に取り付けられます)。

そのあと大量の資料に目を通し,問題点がないか精査するのも簡単ではありませんが,手続きを終えた後には,多額の債務の支払いを免れることができたり(自己破産で免責された場合),返済額を大幅に圧縮できたり(個人再生で認可決定を受けた場合)と,得られる結果も大きいです。

 

手続の主役は申立人である,という言葉もあります。

以上のとおり,法的整理を選択された場合には大変なところもありますが,代理人弁護士として精一杯サポートさせていただきます。

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容疑者

「容疑者Xの献身」。少し前に映画の方で観ましたが,名作でした。

 

この「容疑者」という言葉,弁護士等法曹関係者は基本的に使いません。

起訴される前は刑事訴訟法では「被疑者」という用語が使われています。たしか大学時代にも,「容疑者というのはメディア用語だ」と教わった記憶があります。

いろいろ調べてみると,容疑者という言葉を使う背景は,マスメディアが「被疑者」と「被害者」とが紛らわしいという点を配慮してということのようです。たしかに一文字違いなので紛らわしいようにも思います。

ただ,さらに調べていくと,犯罪捜査規範等で「容疑者」という言葉は被疑者と別に使われているようです。そうなると,「容疑者という言葉は法律用語ではない!」と断言することはできないみたいです。

 

もう1つ,マスメディアでは,起訴された後は,「被告」と呼んでいますが,刑事訴訟法上は,被告「人」です。民事訴訟では訴えた方を「原告」,訴えられた方を「被告」と呼んでおり,「被告」と「被告人」とは明確に区別されています。

民事裁判を起こされた方は,原告側から「被告」と呼ばれることになり,普段テレビなどで聞いている用語であるために気分を害される方もいらっしゃるようですが,刑事法違反を争うわけではありませんのでご安心ください。

 

とはいえ「被疑者Xの献身」だと語呂が悪い気がします。「容疑者X」なんですねやっぱり。

身柄拘束と弁護活動

刑事弁護活動の中で,身柄拘束からの早期解放,というものがあります。

日常用語でも逮捕,という言葉が使われますが,逮捕も身柄拘束の1つです。

状況により微妙に変わってきますが,基本的に逮捕の効力は72時間となっています。

以外に短いと感じるかもしれません。

しかし,逮捕の後は,多くの場合,検察が裁判所に対して「勾留」の請求をします。裁判所がこれを認めると,さらに10日間身柄を拘束されることになります。「身柄拘束」というと,このイメージの方が強いかもしれません。

 

「刑事手続に基づいた身柄拘束」というと,正当性があるように思えます。実際に,法律に基づく手続きです。しかし,よくよく考えれば,これによって,行動の自由をごっそり奪われることになります。「罪を犯したんだから身柄拘束されるのは当然だ!」という考え方もあるかもしれませんが,事件の内容を問わず,2週間近くも行動の自由を制限することはやりすぎではないのか,と疑問が生じる場合もあります。

そのため,刑事弁護活動の一環として,「準抗告」という,裁判官が認めた勾留決定を争っていきます。その際には,両親や職場の上司に行動を監督することを約束してもらったり,犯行現場に近づかないことを本人に誓約してもらう等して,身柄拘束の必要がないことを主張していきます。

先日終わった刑事弁護事件では,検察官からさらに勾留を延長する請求までされましたが,裁判所に掛け合い,延長そのものを認めさせずに終えることができました。やはり結果に結びつくと,しっかりと弁護活動を行ってよかったなと思います。

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債権者集会

破産手続の中に,「債権者集会」という手続があります。

債権者(貸金業者や銀行など,破産申立人にお金を貸した人です)に対して情報を開示し,債権者の共同の意思を反映させるための集会,などと説明されます。

 

会社の破産手続の場合,工場や不動産など,財産を持っていることが多いです。

そのため,そのような財産を金銭に替えて,その結果各債権者がいくら配当を受けることができるのかは,債権者にとって最大の関心事となります。

そうなると,債権者のために情報を得る機会や意見を述べる機会を与えることは手続上重要となってきます。

 

ただ,個人の破産,いわゆる自己破産手続の場合,生活が苦しくなって,返済も難しくなって破産を申し立てるわけですから,多くのケースでは配当に充てられる財産はほとんどないことの方が多いといえます。そうすると,債権者集会の意味合いはだいぶ薄れてきます。

結果として,特に個人の破産の場合の債権者集会は,かなり簡略化されているというのが実情です。

東京地裁では,破産専門の部が多くの破産事件を処理しており,ものすごいスピードで何件もの債権者集会をどんどん進めています。

早ければほんの数分で終わってしまうこともあります。

 

弁護士業界も刑事専門,知財専門,といった専門特化が進んでいるところですが,裁判所もそういう意味では専門特化しているといえます。業務効率化も図れますし,見習うべきところがあるなと思います。

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賃金センサス

平成29年度賃金構造基本統計調査が発表されています。

賃金センサスです!

 

難しい言葉を並べても,何が何やら,となってしまいますね。事務所にご来所いただき,ご相談する際には,専門用語を避けたり,用語の説明を入れたりして,わかりやすいご説明に努めることも弁護士として重要な職務ではないかと思っています。ということで,以下賃金センサスについてのお話となります。

 

センサス,という言葉を調べると,「国勢調査」という単語が出てきます。要するに国民の情報を調査して統計をとったものです。賃金センサスというのは,平均賃金に関する情報をまとめたものということになります。

厚生労働省が発表していて,男女や学歴,産業別,企業規模別など,様々な角度,グループ分けして平均賃金を算出しています。

 

さて,この平均賃金,一番出番が多いのは交通事故の損害賠償請求の場面,特に家事従事者(主婦や主夫の方です)の損害算定で利用されています。

事故でけがをして家事が思うようにいかない,でも自分は仕事をしているわけではないから損害が出ていない,ということになるでしょうか。そんなことはありません。

専業でも兼業でも家事は「業」,つまり仕事です。業務に支障が出ているのですから,支障が出た分は損害として請求できる場合があります。

ただ,日々の家事をお金に換算することは簡単ではありません。そこで,平均賃金を基に損害を算出するわけです。

 

賃金センサスや算定方法など,詳しいお話はご相談の際にできればと思います。交通事故には遭わないに越したことはありませんが,もしあってしまったときは,一度ご相談ください。

任意整理補足

前回のブログで任意整理のメリットについて書いたのですが,「秘密裏に進められることだけなのか」といった疑問がでるかもしれないな,と思いこの間の続きで任意整理のお話を。

 

法的整理(自己破産や個人再生)を選択した場合には,「債権者平等の原則」というルールが厳格に適応されます。

10万円貸している個人も,100万円貸している貸金業者も,法的整理の手続きに則って平等に扱われることになります。

そのため,相手方に応じた柔軟な対応は,法的整理ではできないことになります。

単に貸金業者から借り入れしてるだけ,という方であれば,この点についてはそこまで大きな問題となることはありません。

ただ,中には「勤務先から借金をしている」という方がいます。

勤務先が破産手続をするということを理解してくれればよいですが,破産した場合,借金の返済をその従業員に強制することができなくなってしまいます。

当然職場にも居づらくなるでしょうし,退職することだってあるかもしれません。

そうなると,収入がなくなってしまい,破産をしても生活ができない,といったことにもなりかねません。

そのような場合でも,任意整理であれば,勤務先以外についてのみ分割弁済の交渉を行う,といった柔軟な対応が可能です。

そのほか,親族からの借入れについて他と異なる対応をするであるとか,数万円の債務しか残っていないところはそのまま返済してしまうといった対応が可能である点が任意整理の強みです。

どのような場合も常に任意整理がよい,というわけではありませんので,事務所ではご事情をうかがったうえで債務整理の進め方について相談させていただいております。

 

事案にもよりますが,基本的には法的整理よりも弁護士費用が安いことが多いのもメリットですね。

任意整理

債務整理には,大きく分けて任意整理,個人再生,自己破産に分けられます。

今回は,任意整理について,少し掘り下げてご説明をしようかと思います。

 

任意整理は,簡単に言うと,各債権者と分割弁済の交渉を行うものです。

毎月支払いを続けるのが苦しくなった,返済は続けているのに借金が一向に減らない,といった状況の方について,債権者との間で,月々の支払額を減額したり,分割の回数を増やしたり,利息について交渉したりするものです。

個人再生や自己破産は裁判所を介して行う債務整理であるので法的整理と呼ばれますが,任意整理は裁判所を通さなくても行うことができるため,私的整理と呼ばれています。

任意整理のメリットとして,秘密裏に進めやすい,という点が挙げられます。

法的整理を選択した場合,官報に名前が載ることになる等,秘密裏に手続きを進めることがやや難しいです。

この点,任意整理は,法的手続きを利用することなく各債権者と個別に交渉いたしますので,ご家族に借金のことを秘密にしておきたい,といった希望がある場合に比較的沿いやすいといえます。

もっとも,債権者から裁判を起こされる場合があり,その結果裁判所から自宅に書面が行くような場合もありますので,確実に隠しておけるわけではないことは注意が必要です。

 

債務整理をご検討いただく際の参考になれば。

債務整理をお考えの際は,弁護士法人心東京駅法律事務所にご相談ください。

弁護士バッジ

この時期になると,やはり桜が気になってしまいます。

すっかり散ってしまいましたが,日本の心というのもあながち間違っていないな,と感じます。

 

桜は花,花といえば弁護士バッジ,というのはこじつけもいいところだと思いますが,そんな弁護士バッジのお話です。

 

弁護士バッジも花をイメージして作られています。

菊の花と間違う方もいらっしゃるようですが,ひまわりをモチーフにしています。

これは,ひまわりがいつも太陽の方を向いているように,自由と正義を追い求める

ことを表しているのだとか。

 

ひまわりの中には天秤が描かれています。

これは,公正と平等を追い求めることを表しているそうで。

 

あらためて意味を考えると,なかなか身が引き締まる思いがしますね。

 

法曹三者といえば,他に裁判官と検察官がいます。

どちらにもバッジがあります。

裁判官のバッジは八咫鏡(やたのかがみ),検察官のバッジは秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)

をモチーフに作られています。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが,八咫鏡は「三種の神器」の1つです。鏡がモチーフとなっているのは曇りなく真実を写すという意味合いを込めてのものだそうです。

秋霜烈日,という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが,秋の霜と夏の強い日差しを意味する四字熟語です。いずれも草葉を枯らすものであり,刑罰を求める立場にある検察官の立場を表していると思います。

ただ,検察官バッジの秋霜烈日という意味付けは後付けなんだそうです。。