司法試験の受験中には、憲法、刑事訴訟法等、各分野の専門書籍を多数読んで勉強していたわけですが、書籍内では様々な仮定事案を設定して説明がされており、理解を深められたように思います。

簡単な事例や極端な事例等、わかりやすい複数の事例の比較をすることで法解釈を進めていくにあたっての問題点が浮かび上がってくることがあります。

例えば、当事者Xが人を殺すつもりでターゲットAが寝ているはずのベッドに向けて銃弾を何発も打ち込んだが、実はターゲットAはたまたまその日そのベッドで寝ておらず、布団を被ったぬいぐるみBだけが破損した、というような事例です。

主観的にはAに対する殺人罪のつもりで行動していたが、客観的にはBという物品に対する器物損壊罪でした、という問題で、刑法の書籍だとわりとメジャーな論点だったりしますので、法学部の授業でも取り扱われていることも多いかなと思われます。

設定された事例だけを見れば、問題点はなるほどそういうものか、と思ってしまうんですが、弁護士になって実務に出た後だと無駄に、余計に考えすぎてしまうところもあります。

もともと殺すつもりだったということは証明できるのか、とか、「人だろうとぬいぐるみだろうと破壊するつもりでした」なんて供述調書をとられて器物損壊罪もしっかり罪に問われることもあるかな、とかあれこれ考えると収集がつかなくなってきます。

そのため、メインの問題だけが問題となるように整理された過程事案の設定は結構重要なんだな、と今更ながら思います。

想定外の事情が発生する場合として、雷に打たれて人が亡くなったり家が焼け落ちたりしたりというかたちで雷様が大活躍していましたが、一歩引いてみるとしょっちゅう雷落ちるなあと思います。。

ただ、たしかに予期せぬ自体、というものは起こることがあるわけで、あり得ないかもしれない事例まで想定しておく、ということが重要なのかもしれません。

司法試験延期

新型コロナウイルス関係の記事が続いてしまうのも心苦しいものがありますね。

終息の目途がなかなか立っていないところもありますし,影響は様々なところに派生しているようです。

 

先日,司法試験延期が発表されニュースになっていました。

各種試験も延期や中止となっているようですね。

 

制度変更後の司法試験は,毎年5月中旬頃,中1日を含む5日間かけて行われています。たしかに大人数が何日にもわたって長時間試験会場で受験するわけですので,現状で試験を実施することは難しいでしょう。影響の大きさを痛感するニュースの1つでした。

 

4年に1回のオリンピックに向けて準備をすすめていた各競技の選手たちとは比べられないかもしれませんが,受験生たちも文字通り人生をかけて毎年1回きりの試験に向けて準備をしています。タイミングを狂わされてしまい実力をうまく発揮しきれないというのは悔しいものだろうと思いますが,頑張っていただければなと思います。外出制限はありますが,試験直前の受験生の多くは自宅にこもって勉強,という生活でしょうから,大きな変化はないかもしれません。。

 

裁判官も検察官も弁護士もやりがいのある仕事ができるかと思います。

そのためにはまず試験を突破しなければなりません。月並みではありますが皆さん条件は同じです。現時点では実施時期さえ未定ですが。法曹を目指す皆様のご武運をお祈りします。

六法全書

「六法全書を全部暗記しているの?」

司法試験を受験していたころからこのような質問を受けることがあります。

司法試験に合格すると,裁判官,検察官,弁護士になることができますが,どの立場の方でも,六法全書をすべて暗記している,という方はほとんどいないのではないかと思います。

 

そもそも,司法試験受験の際には試験時間中,法令集を読んでよい(大学内部の試験での「持ち込み可」みたいなものです)ので,わざわざ暗記する必要がありません。

問われるのは条文をどのように事案の中で活用していくか,といえばよいでしょうか。

 

とはいえ,限られた試験時間の中で第1条から順番に関係する法律を探す時間はありませんので,大まかに何条くらいに問題に関係しそうな条文があるか,くらいは把握していたりします。

 

では実際に弁護士になったら法律を覚え始めるか,といえばそういうわけでもありません。読む必要があればいつでも六法開けますからね。

ではでは覚えることなんて何もないのか,ということになりますが,受験中はかなりの数の過去の裁判例と向き合ってきました(概要だけのものも含むと1000件くらいになってしまうかもしれません)。重要な最高裁判決に関しては判決文を何回も読みましたし,その最高裁判決には各裁判官の補足意見等もつきますのでそこまで読んだり,さらに判決についての解説を教授や実務家等がしているのでそれを読み込んだり。。

過去の判例について,「大切なことは覚えることではなく理解することだ!」などとよく言われますし,それはその通りです。ただ,理解しようとする過程で結局はかなりの部分を記憶することになりましたかね。結果的に。。

 

受験予定の方はそろそろ追い込みの時期に入ります。体に気をつけつつ,頑張ってください。