弁護士法人心 新宿法律事務所に所属しております,弁護士の湯沢と申します。
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交通事故における入通院慰謝料
「慰謝料は一日いくらになりますか?」
交通事故のご相談で少なからずそういったご質問をいただきます。
結論としては、「使う基準や事案による」という回答なるかと思います。
ムチウチ損傷等、骨折を伴わない相対的に軽いお怪我にとどまる場合には、「自賠責保険」の補償の範囲内で示談となっている場合も多いです。
自賠責保険は、治療費や慰謝料等最大120万円まで補償されます(重過失減額が適用される場合は別です。)。
自賠責保険の基準では、大枠として「通院日数×2×4300円。ただだし総治療期間を上限とする。」という計算を採用しています。
具体例を挙げますと、事故から100日間で治療を終え、その間30日通院したとすると、30日×2×4300円=25万8000円という具合です。100日間の間に70日治療した方の場合、70日×2=140日ですが、これは総治療期間100日を超えますので、100日×4300円=43万円と計算されます。この2例だけでも、日額換算の慰謝料額は変わってしまいます。
また、自賠責での傷害関係の補償は上記のとおり、治療費等すべて含めて120万円までですので、あまりないかと思いますが、100日間で治療費100万円が支払い済みだったとすると、計算上43万円の慰謝料となっても、自賠責保険からは20万円以上の支払いを受け取ることはできません。
そのため、例えば「8か月240日通院したから4300円×240日=103万2000万円もらえるはずではないのか」というご質問をいただくことがありますが、半年以上も治療を要する事故の場合、治療費が通院期間、回数に応じてかかってきますし、数十万円の休業損害が既に支払われていることもあります。そのため、多くの場合賠償総額が120万円を超えてきます。
保険会社は、こういったケースでは、独自の社内基準に基づき算出した慰謝料(保険会社基準と呼ばれることもあります。)を提示してくる場合が多く、この額が自賠責の基準で103万2000円という計算をする場合はまずないと思われます(共同不法行為などの場合結論は変わってくるかもしれません。)。
弁護士が介入して示談交渉する場合、慰謝料の算出は通院期間を基礎に、裁判所基準、弁護士基準等と呼ばれる基準をもとに算出して交渉をします。
この場合の慰謝料計算は、治療期間が長くなるごとに徐々に増額幅が減少していきます。1か月通院した方と2か月通院した方では通院期間が倍違うわけですので、慰謝料も大きく違うのはわかると思いますが、12か月通院したと13か月通院した方とで慰謝料が大きく変わるわけではないのではないか、という考え方が基礎にあるのかと思われます。
イメージ的としては、自賠責の慰謝料は治療費等総額120万円を超えない範囲でエスカレーターのように増額しますが、120万円の頂上に達した後はずっと横ばいで、増額はありません。
他方、裁判所基準の慰謝料は、最初自賠責の基準より急勾配で上がり、徐々に山なりに増額幅が緩やかになっていくイメージです。
さて、最初の質問に戻って、「1日の慰謝料はいくらになるか」ということですが、裁判所基準満額で1か月の通院に対して19万円、日額は約6300円となりますので、自賠責保険の数字より高くなりますね。
他方、13か月に対する裁判所基準満額は120万円、日額にすると3000円程になります(これらはいずれもあくまで裁判を前提とした基準ですので、示談交渉で必ずこの計算金額が受け取れるというわけではない点はご留意ください。)。
以上の例のとおり、日額算定だけでみれば、一応「長く通うほど安くなる」、というような見方も無理をすればできますが、当然19万円より120万円の方が総額は多いわけですから、さすがに強引な切り抜きというか、日額を算出することがあまり意味のない話であることがわかるかなと思います。