自由財産

自分の財産を自由に使えるのは当然のことじゃないか、というところですが、何事にも例外はあります。

自由財産というのは自己破産にかかわる用語となってきます。

自己破産といえば、「借金がなくなる手続」と捉えられていることが多い印象ですが、自己破産手続には「財産を債権者に分配する手続」という側面もあります。

財産の分配は、「破産管財人」という弁護士が裁判所から選任されて行うことになり、これに関連して、申立人(破産者)の財産の管理処分権は一時的に破産管財人の手に委ねられます。

この権限があることにより、例えば本来自由に売買できるはずである申立人名義の不動産を売却し、現金化して、債権者に分配することができるわけです。他方、破産者は、自分の財産だった不動産が売られてしまうのを止めることができないことになります。

破産者の財産のうち、破産者本人の手元に残る財産等を自由財産と呼びます。

具体例としては、新得財産と呼ばれる、自己破産手続開始決定後の財産です。

日本の破産法は「固定主義」というルールを採用しており、自己破産手続開始決定後の給与等は手続きの対象外となっていますので、問題なく受け取ることができます。

また、開始決定前の時点に有していた財産についても、一定の範囲では自由財産と認められることも少なくありません。

裁判所ごとに運用には若干の違いがありますが、おおむね99万円程度までの範囲であれば、申立ての経緯等にもよりますが、認めてもらえる場合が多いといえ、99万円を超えると、特別の事情がないと自由財産と認められない場合が多いというのが一般的な傾向と言ってよいかなと思います。