因果関係

刑事事件や民事の不法行為事件などでは,特に因果関係が問題となることが少なくありません。

弁護士を目指すにあたって,司法試験では主に刑事事件科目で理解を深めていったように思います。

民事の不法行為分野では,実務上は「相当因果関係」という考え方がまだ今のところ主流かなと思います。「保護範囲論」という考え方も有力で,個人的にはしっくりくる部分もあります。あまり結論は大きく変わらない,という意見もあるようですが。

 

因果関係は,広く考えればどこまでも広がっていってしまいます。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話といいますか。。

そうなると刑事上,民事上の責任も際限なく広がってしまうわけですね。刑事責任にせよ,民事責任にせよ,「何でもかんでも全部加害者のせいだ」,ということにはならないというのはわかると思います。そのため,ある程度範囲が限定される必要が出てくるわけです。具体的にどこまで認められるのか,というのは事件の内容によって千差万別です。このあたりのところが攻防の中心となることも少なくありませんので,主張,立証は十分に行わなければなりません。

民事の分野ですと,被害者側の弁護士として活動することの方が多いため,個人的な感覚としては,「これは認められてもいいんじゃないか」と思うようなことも少なくありません。何とかあれこれ主張,立証を尽くすのですが,昔から裁判で認められていないようなものだったすると,なかなか認めてもらえないというのは心苦しい限りです。

被害を受けた側からすると納得ができない部分が出てくることもありますが,限界はある以上,難しいところです。