慰謝料の話

慰謝料はどのように決まるでしょうか?

本来的には正解のないものです。

慰謝料というのは、「精神的苦痛を金銭に換算したもの」、ということになるわけですが、ある出来事に対する感じ方はそもそも人それぞれであるはずです。であれば、当然精神的苦痛も、類似の出来事だからといって同じであるはずがありません。

理想を語るのであれば、個々人の感じた苦痛に合わせた金額であるべき、ということになりますが、おそらくこれは外部から判断、数値化できるようなものではないでしょう。それに、「感じ方」という曖昧な基準で慰謝料の額が増減することになれば、「辛い思いをした」と言い続ければ慰謝料が多くなっていく、という、違和感のある結論に向かっていきます。

類似の出来事であるにもかかわらず、あるケースでは数千万円、またあるケースでは数十万円という結果で終わるとすれば、結果に対する不公平感は否めません。

古くは交通事故で即死した場合、精神的苦痛が生じる余地はないのではないか、という考えがあったり、事故後亡くなるまでの間に「残念、残念」と言っていたから慰謝料請求の意思はあったので相続が認められる、とした裁判例があったりします(本当に古い話なので今はそういったことはありません。)。

弁護士実務、裁判実務では、事案ごとに考慮すべき要素を検討し、個々の事案に応じて判断している、要するに「事案による」ということになるでしょうが、特に類似の事案が多い分野等の場合には大まかな裁判の傾向なども把握しつつ進めていくことになろうかと思います。

交通事故、離婚関係、犯罪被害あたりが相対的には多くなってくるでしょうか。

実際のところ、似たような類似の事案で「これだけしか受け取れないの?」という方も「こんなにいただけるものなんですか?」という方もいらっしゃるので、慰謝料に対する評価の仕方は絶対のものではないんだろうと思います。