可動域制限

さて,今回は後遺障害の話です。

取り扱っている後遺障害案件の中で,頚椎捻挫(むちうち),腰椎捻挫に次いで多い印象があるのが,腕や肘などの骨折の後遺障害です。

腕や肘が以前よりも曲がらなくなってしまった,という場合に,曲がらなくなった角度に応じて等級が認定されます。

可動域制限の後遺障害というものです。

ヒトの身体には個体差があるので,けがをしていない方の腕や脚がどのくらい曲げ伸ばしできるかを測り,それと比較してけがをした方の腕や脚がどれくらい曲がらなくなったのかを計測します。

腕であれば,手首,肘,肩が三大関節となりますが,このうち1つについて,3/4以下となれば12級,1/2以下となれば10級とされています。

角度は後遺障害診断書を作成する際にお医者様が測定します。

角度の測定について,もしかしたら「ごまかしがきくのではないか」と考えられる方がいるかもしれませんが,そう簡単にはいきません。

というのも,測定する際には,「自動」ではなく「他動」での可動域が基本的な判断材料とされます。言い換えると,「自分でどこまで曲げられるか」ではなく,「医師が手を添えてどこまで曲げられるか」で後遺障害が決まってくるということですね。

 

そのほか,変形障害などが絡むと併合等級といって,等級が上がるようなこともあります。

詳しいことは個別の案件について弁護士にご相談いただいた際にということになってしまいますが。。

ドラレコ

車を乗っていらっしゃる方,ドライブレコーダーは搭載しているでしょうか?

もしかしたらそもそも「ドライブレコーダーって何?」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

たまに交通事故のニュースなどで衝突の瞬間を捉えた映像が流れることがあるかと思います。この衝突前後の様子を映像として記録している装置がドライブレコーダーです。

 

弁護士のブログでなぜそんな話が出てくるかといえば,交通事故の事件で証拠として出てくることがあるからです。

証拠として出てくると,何十回も,場合によっては100回以上かもしれませんが,問題となる場面を停止して再生して確認します。少しでもこちら側に有利なものが映っていないかくまなく確認する必要があるためですね。

 

ドライブレコーダーは,良くも悪くも事故当時の状況を映像として記録しています。

一見すると不利に見えた事故状況と思われたものが,ドライブレコーダーの映像により,実は相手方の方に重大な交通ルール違反があったことがわかったりすることがあります。

逆に,こちら側にとって不利な映像として映ってしまっていることもないわけではありません。

映像が鮮明でなかったり,見たいところが運悪く映っていなかったりということも少なくないのですが,ドライブレコーダーの映像が結論に決定的な影響を与えることもあります。

 

ドライブレコーダーに映像が残ることから,普段の運転でも安全運転を心がけるようになる,といった心理的な効果もあるようです。安全運転のためにご自身のお車に搭載するのもありかもしれません。

バレー・リュー症候群

前回頚椎捻挫,ムチウチのお話だったので,続きというか,今回は関連するお話です。

「バレー・リュー症候群」という言葉をご存じでしょうか。

交通事故等で頚部を受傷後,事故前にはなかった慢性的な頭痛やめまい,吐き気,などの症状を訴えるようになることがあります。

このバレー・リュー症候群も,ムチウチ同様,主に14級の等級認定で問題となることがあります。

 

後遺障害の等級は全部で14等級あり,手や足,目,耳など様々な後遺障害が規定されていますが,個人的な経験では,ムチウチで14級の等級を獲得することが最も難しいのではないか,と感じています。

 

当法人には保険料率算出機構出身の後遺障害専門スタッフが在籍しているため,手前みそではありますが,後遺障害等級認定のサポートについては数ある弁護士事務所の中でもトップクラスであると思っています。

しかし,細部を詰めて認定の可能性を少しでも上げようと尽力しても,後遺障害に該当しないこともあり,そういった結果が出ると悔しい思いをすることがあります。

 

特に,追突事故は,被害者の方に何の落ち度もありません。もちろん,痛みが残るよりは完全に治ってしまうことが一番です。

他方,一定程度症状が残ってしまうケースは存在します。

その場合に,どのように対応すべきか,ご相談の際に見通しなどお話しできればと思います。

 

なお,余談ですが,バレー・リュー症候群という名前はバレーさんとリュー(ルー)さんというお医者さんが由来だそうで。。