交通事故で主要な争点となる過失割合、100:0とか、3:7とかそういった合計100%、合計10割となる数字であることが通常かなと思います。
他方、実務においては、合計で100%でない合意の形が成立しているように思えることがあります。
このような過失割合での合意は、通常物的損害について行われていることが多い印象です。
たとえば、徒歩対バイクの事故で、徒歩側の損害が衣服等1万円、バイク側の修理費が5万円、過失割合は1:9と見込まれるとします。
徒歩側が相手に請求できるのは9割の9000円、バイク側が請求できるのは1割の5000円になります。
徒歩側からすると、差引4000円、半額以下しか物的損害の賠償を受けられないのは納得できない、という気持ちもわかります。他方、相対的な話ではありますが、バイクの修理費5万円のうち相手方に請求できる5000円は、そこまで高額でないともいえます。
そこで、バイク側の保険会社の方が、相手方に対する5000円の請求にこだわるくらいならば、5000円の請求を行わず、9000円を支払うことで紛争を終わらせよう、と判断する場合があります。
そうなると、この件では、徒歩側はほぼ満額の9000円を受け取れるわけですが、バイク側の修理費5000円に相当する負担はしなかったことから、0:9の解決、となります。
こういった解決はわりと柔軟に、弁護士が介入していない場合でも行われている場合があります。
事案によっては、相手方のいう1:9が適切でなく、5:95や0:10を目指すべき場合もありますが、割合が妥当であればこういった解決もありうるかなと思います。