一方が正しければ他方は必ず間違っているとは限らない、というのはよくあることです。

しかしながら、どちらが正しいのか、と最終的にはっきり結論を出す（というか出さなければならない）のが判決です。

裁判所は、機関としての性質上、話し合いで解決できなければ最終判断をしなければならない立場にあります。例えば「原告が主張するＡの事実が認定できる、そうすると被告が主張するＡの事実と矛盾するＢの事実は認められない、したがってＡの事実を前提とすればＸという結論になる。」という具合です。

判決を出してもらうところまで進むか否かについては事件を問わず非常に難しい問題だと思います。

勧善懲悪的なドラマのイメージ等からすると、判決が出るまで戦い、不利な状況から逆転勝訴、といった文字通りドラマチックな展開が繰り広げられることが少なくないため、最後まで戦うのが正しい弁護士像と捉えられてしまうかもしれません。ただ、現実はそう簡単ではなく、大いに悩まされることになります。

判決を出す前には通常裁判所から和解を打診されることが多いです。例えばこちらの主張が全面的に認められれば２００万円、認められなければ０円という状況で、「５０万円ではどうですか？」と提案された場合、この提案を受け入れた方がよいのでしょうか？

こちらの主張が認められれば提案された額よりプラス１５０万円の可能性がある、という見方にもなりますし、認められなければせっかく提案を受けた５０万円を失う、という見方にもなるわけです。勝ち目がほとんどないのに大博打を打って５０万円の和解案を蹴ってしまい玉砕することは、必ずしも当事者のためにはなりません。

もちろん勝訴の見通しが変われば選択も変わります。上記の場合、和解の提示金額が１５０万円の場合もあれば１０万円の場合もあります。さらに、当事者の感情等、必ずしも数字の多寡ではない点も無視はできません。

「受けるべきか蹴るべきか」、示談交渉や和解提案のたびに直面する問題です。

なお、古典ともなると解釈も入り乱れているようですが、ハムレットに触れたことはないです。。