交通事故でけがをされた後、仕事に行けず休業される方はもちろんいます。この際、会社員の方ですと、有給休暇を利用される方もいます。
交通事故で生じる請求は、「不法行為に基づく損害賠償請求」が基本となり、その基本発想は、生じたマイナスを補填してもとに戻すことにあります。
例えば事故で損傷した車の時価が10万円で、修理費が20万円かかるとされた場合、損害賠償実務では通常時価となる10万円しか賠償されないものとされています(事案によりますが、これを「経済的全損」等と呼びます。)。生じたマイナスが「10万円の価値ある車が損傷した」ということから、10万円を補填すればそのマイナスは元に戻る、という不法行為に基づく損害賠償のイメージとしてわかりやすい例かなと思います。
さて、有給休暇というのは、会社を休んでも給与が払われるわけですから、「損害が発生していないのではないか」という見方ができるように思われます。
しかし、有給休暇は、旅行等、本来自由なタイミングで取得しても給与をもらえる休暇であり、これを事故にあってけがをしたのでやむを得ず(望まないかたちで)利用することになった、という観点から見ると、損害と評価すべきものとなります。
ということで、弁護士実務上、有給休暇を利用した場合の休業については損害として認められています。
注意点として、「自由なタイミングで取得できるもの」というところから、企業内の独自制度や公務員の方の病気休暇等、使途を限定された休暇の場合は、通常賠償の対象と認められないものとされています。