高次脳機能障害に関する交通事故研修

先日,事務所内部での交通事故に関する研修として,高次脳機能障害に関する研修を行いました。

高次脳機能障害とは,事故などによる頭部への大きなダメージにより,脳に損傷が生じ,

記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などが生じる障害です。

症状としては,この4つの障害にまとめられるように,

激しい物忘れをするようになったり,意思疎通が難しくなったり,

理由なく衝動的な行動をとるようになったり,と様々で,

複合的な症状が出ることも多いです。

後遺障害等級にすると,軽い場合には14級,重い場合には1級(常時介護を要する)と,

その程度に応じて幅広い後遺障害認定があり得ます。

ですから,高次脳機能障害があるにもかかわらず,その立証ができない場合,

非常に大きな損害を被っているにもかかわらず,その損害が補填されないということが

起こります。

そして,高次脳機能障害の場合,CTなどの検査画像ですぐにわかる場合は別として,

その原因がCTなどではわからない,ということも多くあります。

出血がある場合にはCTですぐにわかるのですが,びまん性軸索損傷のように

出血しない場合もありうる脳損傷だと,必ずしもCTではわからないのです。

そこで,MRIなどで出血の痕跡がないか,さらに画像の感度を変えることで

よりその痕跡を明らかにできないかなど,適時に適切な検査を受けておく必要があります。

高次脳機能障害が残るような事故の場合,大けがをしていることも多く,

当初はその大きな外傷に目が行きがちで,医師すら高次脳機能障害に気づかない,疑わない,

ということも多く,その場合には画像や医療記録という重要な証拠がないままに

治療が進んでしまうのです。

家族が言動や行動など,よく観察し,それを医師や看護師に伝えたうえで,

適切な検査等を受けていない場合には,どれだけ症状が出ていたとしても

その症状が交通事故によるものであると立証できないことも多いのです。

もし,高次脳機能障害が疑われるような場合には,できるだけ早い段階で,

交通事故,特に高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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