整骨院セミナー質問②健康保険に切り替えるべき場合1

先日の整骨院セミナーでの質問が多かった事項として、今回は、どのような場合に健康保険に切り替えるべきか、を取り上げます。

通常、交通事故被害者の方の施術については、相手方である加害者側の任意保険会社が支払対応をしてくれるため、いわゆる自賠責扱いとなり、自由診療にて施術を行います。

もっとも、交通事故被害者の方の場合であっても、相手方保険会社から健康保険で施術を行ってほしい、という連絡が入るケースも多々ありますし、そもそも相手方保険会社の対応にならないケースもありますので、このような場合にどう対応するか、というのが問題となります。

まず、被害者の方に一切過失がないケースを考えます。この場合、通常は自賠責扱いで対応いただけますが、怪我が非常に大きく入院や手術等で治療費が相当高額になる場合、交通事故直後から健康保険を使ってほしい、という依頼が相手方保険会社から入ることが多くあります。

理屈から言えばこれに従う必要はありませんが、すでに初診病院などで健康保険の第三者災害扱いになっていることが多いことから患者さんも健康保険で良いと考えていることが多く、かつ、治療が相当長期に必要になることも見込まれるため、結果的に一括対応の打切り時期なども考慮すると、健康保険に切り替えた方が患者さんにとって良いケースが多いと言えるかもしれません。

被害者の方に一切過失がなく、上記のような重傷事故でもない場合には、早く完治してもらうためにも、治療内容や治療効果の点から自由診療が望ましいということを患者さんにも相手方保険会社にもわかっていただき、しっかりと治療していくことが重要です。

整骨院セミナー質問①人身事故への切替

先日の整骨院セミナーにて多く質問があった事項から、いくつかピックアップさせていただきたいと思います。

交通事故の直後、患者さんが最初に来院されてまずよく聞かれるのが、「人身事故に切り替えた方がよいのか?」ということです。

交通事故で怪我をした場合、警察官に、「人身事故に切り替えますか?」といった確認をされるのが通常です。

そして、相手方本人からは「人身事故にしないでほしい」と言われたり、相手方保険会社からは「人身事故にしなくても補償はきちんと受けられます」、といった説明を受けたりするので、患者さんがより頭を悩ませることになります。

人身事故への切替は、あくまでも刑事手続の入口ですから、民事での賠償に即影響を与えるわけではありません。

ただし、事故そのものが争われたり、受傷したかどうかが争われるような場合には、人身事故への切替が重要となりますし、そうでないにしても、「人身事故に切り替えない=受傷の程度が小さい?」と推測される要因になる可能性はありますので、のちのち後遺症が残った場合の認定に関わる可能性も否定できず、被害者に過失がない場合には、基本的には人身事故に切り替えておいた方が無難です。

他方で、自身に過失がある場合には、その内容や程度にもよりますが、自身が刑事処分の対象となる可能性もありますし、行政処分として減点される可能性もあるので、慎重に検討する必要があります。

それと同時に、自身に過失がある場合、過失割合そのものが争点となっていることも多く、人身事故に切り替えた後に行われる実況見分や、その後の取り調べ、それを書面化した実況見分調書や供述調書に、どのような内容が書かれているかが重要となります。

最近では他のドライブレコーダー等の証拠も増えてきましたが、そのようなものがなければ刑事記録しか過失割合に関する証拠がないこともあり、依然刑事記録の重要性は残っていますので、自身に過失がある場合や過失割合が争点となっている場合は、その立証過程や自身への処分なども踏まえて、人身事故に切り替えるかどうかを検討することになります。

整骨院セミナーにて

先日、とある整骨院様よりご依頼を受けましてセミナーを開催させていただきました。

主催者様の、「患者さんも僕らもハッピーになるようにしたい」というお言葉には、大変感銘を受けました。

主催者様ご自身も、交通事故に遭われて大変な目に遭ったからこそ、医療従事者として患者さんと向き合うことはもちろん、被害者の不安や苦痛といった心情に向き合うことができるのだと痛感しました。

我々も、患者さんの治療がうまくいき完治し、かつ、適切な賠償が受けられるよう日頃より尽力しているため、そのようなご意見の先生方とお仕事を一緒にできるのはとてもありがたいことです。

多数の患者さんを扱っていると時に忘れてしまいがちですが、一人ひとりの患者さんと向き合うことをきちんと実践していらっしゃる整骨院様であり、私も改めてその大切さを感じる良い機会となりました。

セミナーの中では、交通事故対応の自賠責とは何ぞや、というところから始まり、日ごろより患者様の施術や、保険会社との対応において、よくわからないことや気になることなどをご質問いただきました。

日ごろのちょっとした悩みを解決できる場となり、患者さんへの対応力につながり、患者さんの満足度にもつながれば、嬉しい限りです。

弁護士法人心では、整骨院の経営サポートや交通事故対応に関するマスター講座などを適時開催しておりますので、ご興味おありの整骨院様は、当法人のお知らせ等をご確認いただけましたら幸いです。