顧問医の意見書作成について

当法人では、交通事故の被害者救済に力を入れており、その一環として、医師とも提携を行っています。

交通事故の被害を受け、加害者に損害賠償請求を行うにあたり、時に、医学的な知見が重要となることがあるためです。

 

たとえば、交通事故の被害に遭い、後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害申請を行います。

自賠責保険会社を通じて申請を行い、損害保険料率算出機構の調査事務所にて、

診断書や画像などの記録精査を経て、後遺障害等級の判断がなされます。

その際、等級が認定されるケースもあれば、非該当とされるケースもあり、

中には、医学的に見れば後遺障害等級が認定されるべきなのに、認定されなかった、ということもあります。

そういう場合には、再度の判断を申請する異議申立という手続がありますので、医学的意見が重要になるケースでは、

顧問医の意見書を添付資料として異議申立を行うことも可能です。

 

腱板損傷やTFCC損傷など外傷性について争われやすいケースや、

むちうちでも14級と12級の差を生み出す、画像上神経の圧排があるかどうかなど、

医学的に画像等の他覚所見が重要になるもの、事故態様や症状経過から医学的に外傷性の説明が重要になるものは、

医学的意見書の作成を検討した方が良いことが多いです。

 

また、後遺障害申請だけでなく、訴訟等になった場合でも、医学的な論点が争いとなることはありますので、

やはり医師の意見は重要です。

交通事故のご相談の際は、このような医学的な部分も含めてカバーできる弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

 

株式会社武蔵野の小山社長来訪

先日、当法人に、株式会社武蔵野の小山社長が来訪されました。

私の所属する東京法律事務所のメンバーはオンラインでの参加でしたが、全従業員で大変貴重なお話を伺うことができました。

お話の中でもっとも印象に残ったのは、見える化についてです。

見せていただいた資料では、誰がいつどのような仕事をして、いつ空いているか、

やるべき研修についても誰が受けていて誰が受けていないか、などあらゆるものが見える化されていました。

見える化することで、どこに何が足りないかがわかるようになり、何をしたらより効果がでるかもわかるようになり、

より業務が効率化すると感じました。

従業員にとってはシビアな一面もあるのでしょうが、見える化することでやるべきことがさらに見えてくるのは

間違いないと思います。

また、内部の業務だけでなく、対外的にも同様のことが言えます。

小山社長が例に挙げていた、パンフレットを配るにしても、何部持って行って何部配って、

そのうち受け取ったのは何歳ぐらいの男性なのか女性なのか、そうしたデータをひとつひとつとって、

解析しなければ何も得られないというのは印象的でした。

時に、こうしたデータは担当者が分担されていることで一つに集まらなかったり、

データとして存在していても適切に分析されていなかったりすることが多くあります。

流れがどんどん早くなる今後の時代において、会社がやるべきこと、従業員がやるべきことは、

非常にたくさんあると感じました。

まずは、今あるものを把握しないことには、改善も図れない、というのは間違いなさそうです。

 

妊婦さんが交通事故に遭った場合②

前回の続きで、妊婦さんが交通事故に遭ったケースについて、問題となりやすい点がいくつかあるので記載したいと思います。

・通院の間隔があきすぎてしまうことも、逆に、通院しすぎてしまうことも、問題です。

これは妊婦さんに限った話ではありませんが、特に妊婦さんの場合、体調がすぐれないためにこういったことが発生することが多いと思います。

時期によってはつわりなどで体調がすぐれないことや後期に入ると体も重く出かけるのも大変ということがあり、

通院の間隔があきすぎてしまうことがあるかもしれません。

しかし、通院の間隔があきすぎてしまうと、交通事故と治療との因果関係が証明できなくなってしまうため、

月1,2回の診察は最低でも受けていただきたいところです。

逆に、産休などで時間があるからと毎日のようにお散歩を兼ねて通院するというのも考えものです。

もちろん、痛みがあれば症状を改善するため通院をすべきですが、あまりに頻回な通院については、

治療の必要性などを争われる可能性もありますので、注意が必要です。

・症状について妊娠のせいでは?と言われてしまうこともあります

本当に悲しい話ですが、妊婦さんの中には妊娠によって体調がすぐれない方もいますし、

お腹が大きくなってくるとそれを支えようと腰痛が出る方もいます。

そのため、交通事故で首や腰をけがしているにもかかわらず、交通事故ではなく妊娠のせいではないか、

と言ってくる保険会社の担当者も中にはいます。

これについては、事実と異なる場合には毅然と事故前はなかった症状である旨を伝えていただき、

どうしても改善されない場合には、担当者の変更や保険会社全体の対応として指摘すべきケースもあると思われます。

また、事前の策として、診察時にもしっかりと事故前は何ともなかったが、交通事故で痛みが出たということを、

しっかりと医師に伝え、カルテや診断書に残してもらいましょう。

妊婦さんの場合、レントゲン撮影も難しいですし、MRI撮影についても勧められないことが多いため、

客観的な根拠を残すことが難しいですから、しっかりと医師とコミュニケーションをとり、証拠を残しておくことが重要です。

 

妊婦さんが交通事故に遭った場合①

相談を受けることが少なくない妊婦さんが交通事故に遭ったケースについて、問題となりやすい点がいくつかあるので記載したいと思います。

・整形外科でできる治療に限りがあること

月齢にもよりますが、基本的に妊婦さんの場合、痛み止めの処方を受けることは難しいですし、湿布薬も利用できるものが限られます。

そのため、通常交通事故の被害に遭った場合に整形外科に通院をしますが、診察で問診等を行うほかにできる治療は、かなり限られてしまいます。

物理療法、運動療法などのリハビリを取り入れているところであれば、できる治療が広がるようです。

・接骨院や整骨院での施術を保険会社に否定されやすいこと

整形外科ではリハビリが必ずしもあるわけではなく、そうすると接骨院や整骨院での治療を行おうとする被害者の方も多くいます。

ただし、接骨院や整骨院での施術については、妊婦さんの場合、特に相手方保険会社に否定されやすい傾向にあり、

事前に整形外科医からの同意をもらったり、産婦人科医から行ってよい施術内容についての指示をもらったり、

相手方保険会社とも医師からの同意を得ている旨を伝えて施術について事前了承をしっかりととっておかないと、

後日、接骨院や整骨院での施術を否定されてしまったり、その施術費の分を慰謝料から差し引くなどと言われてしまうこともあります。

特に、電気療法などについては、妊婦さんへの影響について解明されていない部分もあり、どのような施術なら行ってよいのか、

というのを産婦人科医からの許可をもらっておくのがもっとも安心です。