和解と過払

過払金請求をする中で、過去の合意が問題となることがあります。

合意にいたる典型的な流れとしては、借入れ返済を繰り返すなかで、途中で返済が滞ってしまったところ、貸金業者からの提案を受け、その時点で残っている債務につき、あらためて毎月いくらずつ返済します、という合意をするケースです。

ところが、この合意をした時点で計算し直すと、そもそも借金はもうなくなっており、むしろ過払金の返還を求められる状態だった、という場合があります。

その場合、過払金の請求にどういった支障が出るのか、という点が問題となってきます。

この争点は、大きく分けると、民法でいうところの「和解」にあたるのか、当たるとしてもその合意の範囲に過払金請求はなお可能なのか、和解が無効(取消)とならないか、という3つに分けられるといえます。

民法上、和解というのは、「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめること」をいいます(民法上695条)。

要素としては、互いに譲ること、争いをやめることに分けられるかと思います。

ここからは事案によりけりですが、よくある事例では、その当時残っている債務を確認したうえで、その返済を合意します。

さて、この場合、債務者側は譲歩しているといえるでしょうか?

また、債務額について双方認めていた通りだったとするならば、やめるという前提の「争い」自体あったといえるでしょうか?

過払金請求と過去の合意に関する事件では、まずどういう合意だったのか、という法的評価から争われることが多く、貸金業者側にも弁護士がい選任されることが多い印象です。

過去の和解が争点となる過払請求については弁護士に相談することをお勧めします。