遺産分割協議書を作らないとどうなるか

2025年5月も半ばになりました。

東京は気温も上がってきましたし、湿度も出てきましたね。

自律神経に影響が出ないように体調管理をしっかりとしたいところです。

前回は、自動車を相続した場合について書きましたが、今回は、遺産分割協議書を作らないとどうなるかについて書いてみようと思います。

ありがたいことに、相続に関するご相談を多くいただくのですが、被相続人が遺言を作成しておらず、相続人が複数いるケースであっても、相続が発生した後に遺産分割協議書を作成せずに放置してしまったり、口頭のみの合意で預金等を分割してしまい、その後のニ次相続の際に一次相続のときにどのような遺産があったのか、誰が何をもらったのかなど全くわからないケースも散見されます。

このような事態を避けるためには、相続人全員で遺産分割協議をして、だれがどのように相続財産を取得するかを決めなければなりません。

そうしないと、いつまでたっても、相続財産の帰属先が決まらず、遺産共有状態が続くことになってしまいます。

 確定的に権利の帰属先が決まらないと、相続登記も入れることができないことになりますし、相続税申告が必要な場合に、遺産分割協議がまとまらないと深刻な事態に陥ることになります。

相続税の申告と納税には、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内という期限があります。

遺産分割協議がまとまらず、申告期限に間に合わない場合は、未分割申告をして、申告書に3年内の分割見込書を添付しておくことになります。

申告書に3年内の分割見込書を添付しておくことで、申告期限から3年以内に遺産分割協議がまとまった場合、修正申告をする際に、小規模宅地の特例や配偶者控除の特例といった相続税額を軽減できる特例の適用が可能になります。

申告期限内に未分割申告をすればとりあえずなんとかなることも多いのですが、各相続人がいったん法定相続分で納付しなければならないので、預金が凍結されたままで自己資金がない相続人は厳しい立場に追い込まれる可能性もあります。

そういった意味では、早めに相続人間で協議をして、遺産分割協議書を作成するのが良いように思います。