車両保険の使いどころ

もう年末になってしまいました。

東京も寒くなり,風邪を引かないように気を付けていきたいところです。

 

前回のブログでは,いわゆる任意保険(総合自動車保険)は,基本的に,①賠償責任保険,②人身傷害補償保険及び③車両保険の3つに分類することができるというお話をさせていただきました。

今日は,上記3つの内,③車両保険を取り上げたいと思います。

車両保険とは,交通事故によって損害が生じた車両の所有者等を被保険者(ここでは,事故が発生したときに保険金の支払いを受ける権利を有する者をいいます。)とする保険をいいます。

車両保険は,被害者様の過失割合にかかわらず,契約した保険会社から,被害者様の車両損害に相当する金額が,保険金として支払われます。

 

物損に関する損害賠償については,分損と経済的全損という概念があります。

分損とは,修理費用が被害者車両の時価額を下回る場合をいいます。

経済的全損とは,修理費用が車両時価額を上回る場合をいいます。

分損の場合には,修理費用が被害者様の損害となります。

他方,経済的全損の場合は,車両時価額が被害者様の損害となります。

分損と経済的全損の考え方は,車両保険においても基本的には同様です。

 

交通事故に遭った際,相手方が任意保険に加入しておらず,かつ,資力がない場合などは,相手方から損害賠償金の支払いを受けることが非常に難しい状況になることが多々あります。

そのような場合は,基本的には被害者様ご自身の車両保険を使うべきだと思います。

ただし,車両保険を使う場合は,等級がダウンして,保険料が上がることが見込まれますので,被害者様の保険料がいくら上がることになるか,契約している保険会社に確認することをお勧めいたします。

 

一般的な自動車保険では,運転者に1から20までの等級が割り振られていることが多いです。

この各等級に設定された割引率及び割増率を適用することによって,保険料が算定されています。

そして,交通事故に遭って,保険を使う場合,運転者の等級がダウンすることによって,割引率が低下し,次の年度以降の保険料が増加してしまいます。

保険料の増加は,被害者様にとっては,重要なことであると思います。

そのため,事故に遭われた際は,保険について詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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