遺言書の書き方と相続登記について

2022年8月ももう終わりですね。

東京もだいぶ涼しくなってきました。

前回は、相続税を申告・納付する義務者について書きましたが、今回は、遺言書の書き方と相続登記について書いてみようと思います。

相続全般を扱っていると、遺言書の作成のご相談も多くございます。

その中でも不動産をお持ちの方の遺言書の書き方については、注意が必要な点もございます。

遺言で不動産を推定相続人に渡したいという場合、「当該不動産を相続させる。」と記載するのが一般的ですが、「当該不動産を遺贈する。」と書いてある場合も散見されます。

「当該不動産を相続させる。」という記載の場合は、登記原因も「相続」となります。

この場合、当該相続人だけが相続登記の申請をすればよいことになります(「単独申請」といいます。)。

この書き方のメリットは、他の相続人の協力なしに不動産の名義変更が可能となる点にあります。

他方、遺言書の文言が「当該不動産を遺贈する。」となっている場合、受遺者が相続人であっても、登記原因は「遺贈」となるのが原則です。

遺贈を原因とする所有権移転登記手続をする場合、申請人は、受遺者本人と相続人全員とで共同で申請しなければならなくなるのが原則です(これを「共同申請」といいます。)。

この場合、非常に負担が大きくなりますので注意が必要です。

ただし、遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、相続人全員の関与は不要となり、受遺者と遺言執行者との共同申請で足りることになります。

遺言書で遺言執行者が指定されていない場合は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることも可能です。

このように、遺言書を作成する場合に注意すべき点は多いですし、相続発生後に手続を取ることで自分の負担を減らすことができる場合もあります。

ご不安な方は専門家にご相談されるとよいでしょう。