休業損害について

東京も梅雨が明けて,ものすごく暑い日が続いていますね。

だんだん寝苦しくなってくるので,体調管理に気を付けたいところです。

 

今日は,休業損害について考えてみたいと思います。

休業損害の賠償基準は,交通事故による怪我やその治療のために休業したことによる現実の収入額とされています。

休業損害の一般的な算定式は以下のとおりです。

・休業損害=1日当たりの基礎収入額×休業日数

ただし,治療が長期にわたる場合は,治療により怪我から回復していくと考え,一定期間ごとに損害額を漸減させる方法で休業損害額を計算する場合もあります。

 

自賠責保険の1日当たりの基礎収入額は原則5700円とされていますが,この金額を超えると認められる場合には,1万9000円を限度として,その実額を基礎収入額として認められることもあります。

 

被害者様が給与所得者である場合,被害者様の勤務先等が源泉徴収票や休業損害証明書の提出に協力してくだされば基礎収入額について争いになることはほとんどないと思われます。

 

被害者様が個人事業主である場合,現実の収入減があった場合に休業損害が認められるのが原則になります。

なお,個人事業主の休業中の固定費(家賃や従業員の給料等)の支出については,事業の維持・存続のために必要やむを得ないものについては,休業損害として認められる場合があります。

 

被害者様が会社役員の場合は,労務提供部分の対価と認められる部分については休業損害と認められる場合がありますが,企業経営者として受領する利益配当の実質を持つ部分については否定されることが多いといえます。

役員報酬について,被害者側は,報酬が減額された事実だけでなく,報酬減額と交通事故との間の因果関係の双方を立証しなければならず,この点については立証の難易度が高まるところです。

このように,休業損害の請求にあたって立証が難しい場合もあることから,加害者側の保険会社が被害者様の休業損害がゼロ円だと主張してくることも少なくありません。

 

交通事故でお怪我をされた場合,休業損害の請求をどのようにすればよいかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

入院した場合に休業損害が認められる期間については,こちらもご覧ください。